精根尽き果てた…

昨日携帯から送信した52センチの真鯛は、文字通り死に物狂いで釣り上げた一枚。では、改めて昨日一日のおさらいを…。

今季初の鯛釣りのため、午前2時30分(!)起床。
午前3時、いつものタガシ先生が愛車ステップワゴンでお迎えにやって来た。
既に畏友ザワとS先生が乗り込んでいる。その後更に二人の先生を迎えに行き、いざ津軽半島北西部に位置する小泊港へ向かう。
まだ日は昇っていないものの、あいにくの曇天で、いつ雨が降り出してもおかしくない空模様。風はあまりなさそうだが、沿岸には既に波が押し寄せているのがわかる。
出港できるのかという一抹の不安を抱きながら、午前4時30分頃小泊港に到着。
船頭のYさんはそれから約15分後に到着。冴えない表情で空を眺めながら、「厳しそうだな…」とつぶやく。


午前5時。立ちこめる灰色の雲、遂にポタポタと降り始めた雨。更に、徐々に強まる風。期待と不安を抱えた釣り人6名を乗せた船が出港。沖合500m程まで進んだ時点で、既に波が押し寄せてくる。ザブーンと白波を立てながら突き進む船は大きく上下に揺れ、まさにプチジェットコースターのような状態。
約20分後、最初のポイント到着。周囲には、一隻の船も見あたらない。

実は酔い止め薬とパインジュースを出港の30分前に飲んでいたのだが、プチジェットコースターに気が動転し、既に目が泳いでいたらしい。
最初のポイントで釣り始めると、最初に歓声を上げたのは、船尾右側で糸を垂らしていたAI先生。しかも開始10分ほどしか経っていない。流石、今季何度目の鯛釣りなのかは知らないが、ナイスサイズをゲットする。その後もS先生、そしてタガシ先生と、船の右側で糸を垂らす釣り人たちが立て続けに歓声を上げる。しかも、全て50センチ前後のナイスサイズ。
一方、船の左側チームといえば…ザワ、A先生そして僕は、終始無言のまま。
要するに、アタリもない状態。
それでも一度だけ、突然リールがジャーッと音を立て、糸が走っていったことがあったのだが、根掛かりと勘違いし、フッキングを行わなかったために獲物を取り逃した、ということがあった。しかしそれ以外は、餌は取られているものの、アタリが全くと言っていいほどわからない。
「底からしゃくるとアタリがあるよ!」というアドバイスはありがたいのだが、潮の流れが速すぎて底が取れないのだ。

そして約1時間が経過。
激しく揺れる船。いよいよ限界に達した僕は、第1回目のコマセ撒き(ゲロゲーロ)…。
早い!早過ぎる!いつかやってくるだろうと予想はしていたものの、あまりにも早くやって来たゲロゲーロに、動揺そして傷心の僕。酔い止めの薬もパインジュースも、全然効き目がないじゃないかぁ!!

と、ここで船頭からの合図。
「竿上げて。これじゃダメだ。戻るよ。待機だ、待機。」

周囲を見渡すと、潮の流れに乗った船は、既に竜飛岬が見える位置まで流され、雨風も強く、白い波がひっきりなしに船を叩きつけ、船は上下左右に激しく揺れている(あとで聞いたのだが、このとき風速は15?16m程あったらしい)。

「待機」という言葉に、内心これで帰れるという安堵感と、何もせぬままゲロゲーロに見舞われた失望感を抱いたまま、船はそのまま港へ到着してしまった…。

陸へ上がり時計を見ると、まだ8時前である。とりあえず押し寄せる船酔いとの格闘から解放されたのはよかったが、陸へ上がっても雨の量がハンパではなく、しかも雲の流れるスピードが尋常ではないのだ。
あくまで「待機」ということだったので、港の前にある大きな公衆トイレの軒下に身を寄せ、マグロ釣りの人たちと談笑する他のメンバー(30kgの本マグロが釣れたそうだ)。気がついたら僕は睡魔に襲われていた…。

約1時間も眠ったのだろうか。雨脚が弱まったのを見計らい、タガシ先生とAI先生が、「近場でもいいから」と船頭への交渉を開始。
結局そのままコールドゲームとはならず、9時前にプレー続行(再出港)が決定してしまった。

本日二度目の出港。
眠りについたおかげで少しは楽になったが、まだ酔いが抜けたわけではない。しかし、こうなったら意地でも一枚揚げてやる…と意気込んだまではよかったものの、ポイントに着いても、やはり完全に抜け切れていない酔いに、半ばフラフラのまま釣りに挑む。
深さ約60mのポイント。仕掛け(ルアー)を海に投入し、タガシ先生から言われたままにカウントを開始、50カウントの時点で一端糸が出るのを止める。再度糸を出し、10カウント。着底したかな?

軽くしゃくりを入れると…ググッ…グググッというアタリがあるのを感じた。ん?と思った次の瞬間、竿先が大きく撓った。

来たっ!?

まさにガツン!という勢いで竿を上げると、リールがジーッと大きな音を立てた。

き、来たぁ!!!(嬉涙)

いつもはここで慌ててバラすことが多いので、獲物へのフッキングが確実にされていることを確認し、慎重にゆっくりと糸を巻く。真鯛独特の急激な引きがないため、まだ見ぬ獲物が何なのかわからない。

あと10m…ようやく姿を現した獲物…。

真鯛だぁ!!!(号泣)

おおおっ!歓声と感嘆の声が混じるが、当の本人、まだ酔いが抜けていないため、嬉しいんだけど素直に表現することができない。まぁ、釣れたから嬉しいんだけどね。今季第一号、52センチ。

タモ網から真鯛を外し口にしっかりと刺さった針を外す(何故か針の向きが逆だったが)。血抜きの処理を施し、再び餌を付ける。その間も、生暖かく激しい雨がボディブローのように身体を打ち付け、どんどん体力を奪っていく。

そして、ここで二度目の撒き餌(ゲロゲーロ)…。

更に、激しい雨で体温を奪われた挙げ句、両手がまるで痙攣を起こしたかのように動かなくなり、遂にここでダウン。
これで釣れていなければ多分無理もしただろうが、一枚釣り上げているからいいや…そんな思いを抱きながら、船室でぐったりとしたまま、再び1時間ほど仮眠を取る。その間、「釣れた!」という声は一度も聞こえてこない。
雨脚が収まったのを見て、重い腰を上げ、再度釣りに臨む。周囲からは「復活だ!」と言われたが、復活ではなく、様子見に来ただけなのだ。その間も、再び打ち付ける雨、そして強い風、更に激しく揺れる船体に、もはや僕は完全にグロッキー状態。僕ってひょっとして、雨男を超えた嵐男!?というか、これじゃ『パーフェクト・ストーム』と大差ないよ…。

突き刺さるような雨が痛い。風も更に強まり、まともに前を見ていられない。こうなるともはや、釣りどころの話ではない。
ようやくここで船頭から「今日はもう終わりにしよう」の声。
結局二度目の出港で釣り上げたのは、一番釣りにならなかった僕の真鯛一枚のみだった…。

後で時間別降雨量を見ると、どうやら僕らが釣りをしていた時間帯は、断続的に5?20ミリの激しい雨が降っていたらしい。
今思うと、よくあんな風雨の中で釣りをしていたものだ。
大体、帰港した後に全員が「こんなに酷い天気は初めてだ」というくらいなのだから。

15時過ぎに帰宅後、ドッと疲れが押し寄せ、更には節々に痛みを覚える。これは…と思い熱を計ると、案の定38度を超えていた。体温計を見た途端、まさに精根尽き果てた…バタッ(布団に倒れ込む音)。
しかし、その後の2時間ほどの爆睡で、痛みも熱も抜けたのが不思議だった。

反省も込めて考えてみると、みんなが釣りをしている4分の1は、僕寝てたのね(苦笑)。

「慣れ」の部分も大なるところはあるかも知れないが、今回のこともあって、船釣りに対する恐怖感にも似た嫌悪感が芽生えたのも事実。
ううむ…新たな酔い止め対策を考えなければ。

2 thoughts on “精根尽き果てた…

  1. ラヴ

    祝!真鯛52cm!
    何故、船酔い攻略にパインジュースが一役買うのか、
    その経緯はわかりませんが・・・
    むしろ逆効果のような気がしますなぁ。

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  2. nonvey

    以前どこかのサイトで、「柑橘系はダメだけど、パインジュースが胃の働きを助長するので、船酔いにはいい」というのを見たんですが…どうやら俺には関係ないようです(苦笑)。
    釣りに出かけたのが、じゃん子の帰省の前日だったので、昆布締めにした真鯛は、彼女にとっては思いがけぬ「酒の肴」だったみたいです(笑)。
    しかし…ここに来て腰痛が発症。やはりあの船の揺れは尋常ではなかったらしく…ハイ。

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