危うく焼き討ちに遭う

昨日は下北半島東端の東通村に出張していました(昨日の画像は、ちょっと足を伸ばしてホントの東端、尻屋崎を訪ねた時のものです)。

用務が少し遅く終わることを想定し、むつ市内に宿泊先を確保しておりました。
そして夜は、大学時代からの友人で、この仕事に採用された当時から同じ釜の飯を食った畏友H氏(ちなみに二人ともこの職に就くとは想像していなかった)と二人での飲み会でした。H氏との飲みの席は、毎回馬鹿話に終始し、常に笑いが絶えないので、昨晩もホントいい意味で息抜きが出来ました。あまりに爆笑の連続で涙が止まらなかったため、今朝は目が腫れていないかが心配でした。

H氏と別れ、明らかに遠回りをしやがったタクシーでホテルに戻りました。
所詮タクシー商売でさえもアップアップのような状態なのでしょうか、遠回りしてでもメーターを稼がなければならないのが業界の現状なのかと思ったら何だか情けなくなり、バカにするなと苦言を呈する気にもなれず。

結局タクシーは、釣り銭を渡す際に「どうも」と言ったきりで、「ありがとうございました」も「お忘れ物にご注意下さい」もなく、僕が降りるとすぐに走り去っていきました。


フロントで鍵を受け取り部屋に戻り、試合の途中で負けを確信した日本対サウジアラビア戦を観ながら、気がついたら浅い眠りについていました。

寝苦しさで何度も目が醒めましたが、空が白めいて来た頃にようやく爆睡モードに。

静けさを破ったのは、突然の館内放送でした。
けたたましいサイレンの音。そして…

「緊急指令。緊急指令。只今火災を検知しました。次の放送までしばらくお待ち下さい。」

え?火災?どうせ誤報でしょう。というか、次の放送云々の前に、避難口に誘導するのが先でしょうが…。ムニャムニャとベッドから起きると、時間はちょうど7時でした。
ふぁぁぁ…ったくよぉ。しょうがない、着替えるか…。

と、そこへ再びサイレンが。

「緊急指令。緊急指令。只今、4階で火災が発生しています。従業員の指示に従い、速やかに避難してください。」

またまた冗談きついよなぁ…。
って、4階ってちょっと!ここ4階じゃねえか!?

慌てて財布と携帯電話、車の鍵をポケットに突っ込み、廊下に出てみます。
同じく慌てふためいて着の身着のままで出てきた宿泊客が7?8名。

女性客に「どこですか?火事はどこですか?」と聞かれても、どこからも煙らしい煙も出ていないし、誘導してくれるはずの従業員の姿もなし。

非常口を確認するのを忘れていたため、実は僕が泊まった部屋の目の前に非常階段への扉があることも知らずに右往左往。

ホントに火事なの?訝しげに思いながらも、非常階段を使い、他の客と一緒に1階のロビーへ。
フロントの前には、既に20名を超える宿泊客が、まさに着の身着のままの状態で避難していました。

ところが…。
フロントにいる従業員は平然とした顔をして、こちらの心配をよそに粛々と宅配便の荷物の受け渡しをしているのです。

その間も、サイレンと警報は鳴り響いたまま。
一体どうなっているの?何があったんだ?こりゃドッキリか?

宿泊客一同、訳がわからぬまま動揺を隠しきれずにいると、そこへ息を切らした従業員が非常階段を駆け下りてきました。

「大変申し訳ございません!只今のは誤報でございます!本当に申し訳ございません!」

やっぱりなぁ、といった表情を浮かべる一同。
ま、何事もなくて良かった良かった…。
呆れ半分安堵半分で再び部屋に戻っていきます。
ちなみにこのとき、エレベーターは電源が落ちたまま。

しょうがないな。朝食喰って部屋に戻るか…。
何故かポケットに忍ばせていた朝食券を手に、予定より1時間も早い朝食を済ませました。

さて、部屋に戻るか。

あれ?

部屋の鍵がないぞ。

何と、冷静さを装いながらも慌てていたのか、部屋の中に鍵を置き忘れていたことに、その時になってようやく気がつきました。

フロントに行き、事情を説明すると、さっきまで平身低頭で宿泊客に頭を下げていたあの従業員が、一瞬「しょうがないヤツだな…」という表情を浮かべ、こちらを一瞥したのです!
そして、隣にいる従業員に「鍵。マスター。」とつぶやきながら、接客を避けているのがわかりました。

な、何なんだこのホテルの従業員は!?

結局、胸に「研修員」の札をぶら下げた、僕よりもはるかに年上の従業員がエレベーターに同乗し、部屋まで一緒にやってきました。

「お客様、大変申し訳ございませんでした。」
「いえいえ、こちらこそご迷惑をお掛けしてすいません。でも、誤報で良かったですね。」
「はい…。」
とお詫びの笑顔の一つでも振りまくのかと思いきや、まるで生気のない従業員。その姿、既に焼き討ちにあったかのような覇気のなさ。

部屋に到着しても鍵を開けるのに苦慮し、結局僕が自ら鍵を開ける羽目に。
おいおい、ホント大丈夫なのか?このホテル。

まぁ、200円の追加で食べられた朝食にはとても満足しましたが、他のサービスはまるでダメでした。

帰り際、フロントで鍵を渡し、領収書を受け取る際、思い出したように「ご迷惑をお掛けしました。」と言った(元)平身低頭な従業員。

「いえいえ、どういたしまして」という僕の顔は、恐らく相当引きつっていたことでしょう。

畏友H氏はこの4月に転勤でむつ市の住民となりましたが、彼が言う「こっちはいろんなものが遅れているよ。」と寂しそうに語っていたのが、何となくホテルでもタクシーでも垣間見ることが出来たような気が。

営業妨害になっても困るのでホテル名もタクシー会社名も伏せますが、万が一にも下北半島、むつ市内に宿泊予定がある方は要注意です。
むつ市に宿泊予定がある方は、私にご相談ください(笑)。

2 thoughts on “危うく焼き討ちに遭う

  1. とーます

    10年以上客商売やってましたので、ボクも接客態度にはかなり敏感になりますね。
    同業者の目で見てしまいます。
    かといって文句たれるかというと?nonveyさんと同じで、平静を繕いつつ、心の中で怒るパターンですが(笑)
    へな子は、そーいうときは「一言文句言わずにはいられない!」という人ですけどw
    まぁ、上の問題でしょうけどね・・・コンビニひとつとっても、きちんと指導してる店とそうでない店はこうも違うのかっていうことがよくあるし。
    バカな客だと思っても、ゼッタイ顔に出しちゃいけません(笑)
    まぁ、ストレスはホント溜まりますけどね?。

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  2. nonvey

    どれぐらいの頻度でああいったトラブルが起きているのかはわかりませんでしたが、客商売でその態度はないんじゃないの?というのがひしひしと感じられましたね。
    こちらも客商売ではありませんが、下手なことをすると好奇の目にさらされますからね。気をつけよう(笑)

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