静寂の朝

昨日の帰りは、吹き飛ばされそうなくらい物凄い風でした。
関東で吹き荒れた使い古しの風が、青森でも猛威を振るったのでしょう。
それが今朝になると、一面銀世界に変わっていました。

今年初めての、冬らしい朝でした。

気温はマイナス5度。静かに降り積もった約10センチの雪が、街の喧噪をかき消してくれます。
車の音、動物の鳴き声…普段僕の家からだと、せいぜいこの二つぐらいしか聞こえませんが、今朝は毎朝6時に鳴り響くはずの近くの寺の鐘も、雪のせいでほとんど聞こえませんでした。

朝の電車の車内も、皆一様に押し黙ったまま。乗り込んできた時は騒がしかった若い女性二人も、いつしかその雰囲気に飲み込まれ、静かになっていました。
いつもはガタンゴトンと音を立てて進む電車も、レールの継ぎ目に雪が積もっているのか、今朝ばかりは音もなく滑るように進んでいきます。

途中駅から乗り込んでくる乗客は、靴底についた雪を取り払おうと、コンコンと音を立てながら乗り込んできます。

電車は再び静かに走り出します。
車内に漂うのは、寒気を伴った霞んだような空気。
やがてその寒気が温められ、更にモワッとした空気に変わります。
それが乗客の睡魔を呼び込み、車内には再び静寂が訪れます。

惰眠を貪るほんの僅かな時間。
この空気、雰囲気が、僕はたまらなく好きなのです。

しかしこの雰囲気を楽しめるのも、恐らくこれが今年最後かも知れません。
別れの3月出会いの4月。

4月から僕は、どこで何をしているのかな…。

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