ハナの企み

パワーアップでオーッ!

…あら。ごめんあそばせ。
ようやく私に出番が回ってきたわね。
私がnonvey家の犬を取り仕切るハナです。凛々しい顔をしていますが、これでもメスです。既に登場したアホのモモとほぼ同い年です。知恵と頭脳は彼女とは比べものにならないくらい優秀よ。見ての通りの雑種なんだけど、一体何の雑種なのかは私にも謎だわ。というか、誰も知らないみたい。
堅苦しい挨拶はこれくらいにして。
私の話は長いから、覚悟して聞いてね。


私がnonveyさんのところに貰われてきたのは、かれこれ5年前のことだったかしら。nonvey母さんの知り合いの方が「どうしても見て欲しい」ってことで、nonvey母さんに私のことを紹介したら、すっかり一目惚れ。強引に家に連れて行かれたの。
最初はみんな怒ったわ。猫が2匹もいるのに、何を考えているんだ!ってね。
でもnonvey母さんは、どこ吹く風だった。私を育てる自信があったんでしょうね。
nonveyさんのところにやって来た時は、見るもの聞くもの全てが初めてのものばかりだった。ちょっと玄関が開いていたから、コッソリ外に出てみたの。月明かりに照らされて庭を歩いてみたんだけど、気がついたら私、知らないところにいたの。nonveyさんの家じゃ大騒ぎだったみたい。「チビ!チビ!」って呼ぶみんなの声は聞こえるんだけど、大体私の名前はチビじゃないし、どこから声が聞こえているのかわからなくて、仕方がないからクンクン泣いてみたの。そしたら、近所の家の人が出てきてくれて、私を助けてくれたのよ。
かなり遠くまで来たような気がしたけれど、実は隣の家だったのよね。nonvey母さんが「子犬を探しているんですが…」って翌朝迎えに来てくれたわ。
でもその時、私の写真が撮影されて「尋ね犬」の張り紙が作られていたことを、私は知らなかったわ。
その2?3日後だったかしら。nonvey奥さんとnonvey母さんが、じゃん子のところに遊びに行ったの。nonvey父さんも出かけていて、その夜はnonveyさんだけが家にいたの。猫デブが外から帰ってきた時に、戸が開いたのよね。また隣の家に遊びに行ってみようと思って、思い切って外に出てみたの。とにかく走ったわよ!うしろからnonveyさんが「チビ!チビ!」って叫びながら追いかけてきたのがわかったわ。空からは冷たいものがこぼれ落ちていたわ。追いかけてきたものだから、隣の家には行けなかったんだけど、とにかく探検してみようと思って、がむしゃらに走ったの。
ブブーッ!!
大きな目をした鉄の塊みたいなものに、何度も叫ばれたわ。鉄の塊の中から、nonveyさんも何か叫ばれていたみたい。「気をつけろ!」とか「早く捕まえろ!」みたいな?よくわからないけど。
でも、そんなことはお構いなしだった。だって、nonveyさんったらサンダル履きで追いかけてくるんですもの。私の足に追いつけるわけがないわ。
ところが途中で、nonveyさんの呼ぶ声が途切れたの。nonveyさんったら半泣きで、私を追いかけるのを諦めて、家の方に戻っていくのよね。私もそんなつもりじゃなかったから、ビックリしてnonveyさんの背中を追ったわ。
nonveyさん、ほとんど号泣したまんまで家の中に入っちゃった。誰かと電話でお話していたみたい。nonvey奥さんに諭されていたらしいわ。
結局私も、面白くないから家に戻ったの。その時は、nonveyさんの匂いを嗅ぎながら家に辿り着くことが出来たわ。
その後のnonveyさんの怒髪天を衝くような姿は、今でも忘れられないわね。最高に怖かったけれど。
そんな感じで小さい頃は、ただただやんちゃだった。色んなものも壊したわ。スリッパはもちろん、テレビのリモコンにnonveyさんの携帯電話、あとポータブルMDプレーヤーのリモコンも壊したっけ。…固いというよりも、電化製品が好きだったのよね。
でも、そんな悪さを繰り返しながらnonveyさんのところでは、きっちりみっちり躾を仕込まれたから、トイレは完璧よ。それに、おねだりする方法だってちゃーんとマスターしてる。散歩にご飯、私の欲求を満たすためなら、取りあえず誰かのそばに近づいて「おすわり」して、頼まれてもいない「お手」と「おかわり」を何度も繰り返すの。
ただ、小さい頃はこれも通用したんだけれど、最近じゃ全然駄目ね。お陰でストレスが溜まりっぱなしなの。
そうそう、ストレスで思い出したんだけど、私って腸がとても弱いの。散歩が疎かになっても駄目、ちょっと怒られても駄目、とにかくしょっちゅうお腹を壊すのよね。ま、結局のところ相当の「神経質」だってことね。これは確実にnonveyさんの影響だわ。
そんな中でも私が一番苦手としているもの。
それは、雷よ。
遠くからゴロゴロ?っていうあの音が聞こえてきただけで、足がガクガクとすくんじゃうの。もう、ハンパじゃなく全身に震えが走るのよね。
これってひょっとして、小さい頃に電化製品ばかり囓っていたから、私の身体が帯電しているってことかしら?
そんなことはないわよね。
ピカッと光り始めたらもう駄目。どんなものか見てみたい半面、やっぱり怖くて、テーブルの下でブルブル震えているの。nonveyさんの家族は、そんな私を見て可哀想だって抱きしめようとするんだけど、私って人間に抱っこされることが大っ嫌いなのよね。
そうそう、私に会った時は「抱っこ」は厳禁よ。下手をすると痛い目に遭うから、気をつけてね。
犬だってプライドはあるの。だから、他の犬たちとは一緒にして欲しくないのよね。
nonveyさんは最近それがわかってくれているのか、散歩の時は私だけ連れ出してくれるの。私が散歩の時に走ると、サラブレッドも真っ青な華麗な姿なの。以前、何回か3匹一緒に散歩したことがあるんだけど、あのバカどもが向こう見ずで我先にと進んじゃうものだから、nonveyさんったらヘロヘロだったのよね。あれ以来、3匹一緒に散歩することは懲りたみたい。ま、私も懲り懲りだったけど。
大体、足の長さも歩幅も違うあのバカどもと一緒に散歩するなんて、私のプライドをズタズタにするようなものよね!
それからこの間、散歩する私の立ち姿を見て、「キツネだ?!」って言ったク○ガキがいたわね。ふん!犬とキツネの区別もつかないようなガキは、相手にしないの。
一応nonvey宅の犬猫の取りまとめ役、相談役ってことで、喜怒哀楽は全て私の担当。悲しい時は悲しい声を出す、寂しい時は寂しい声を出す、言いたいこともワンとハッキリ言う、嬉しい時は尻尾を振る、イヤなものはイヤだと表情に出す。これが私のポリシーよ。
この間もnonveyさんが「手を噛まれた」って大騒ぎしていたけれど、あれだって私に言わせればモモとnonveyさんが悪いの。大体、私が気持ちよく眠っている上に乗っかってくるモモもバカだけど、そんなことを知らずに私を叱りつけたnonveyさんも酷いわ。だから、お仕置きってことで噛んであげたの。
ただ…これまで人間を噛んだことなんてなかったから、ちょっと加減を知らなかったのよね。nonveyさんの傷は未だ癒えていないみたいだけれど、ごめんなさいね。
私ってほら、1匹だけ身体が大きいものだから、どうしても他の犬猫と差別されちゃうのよね。だから、どんどん自分の性格が曲がっていくのがわかるの。仲のいい犬猫?今の家には、そんなヤツいないわ。私は1匹で強く逞しく育っていくの。
もちろん、生きていく術も知恵も全て取得済み。その気になればいつだって家を出て行けるんだから!でも、今は一番のおりこうさんって褒められているから、ただそれを演じているだけ。いろいろ私にも企みはあるのよ…フフフ。
まぁ、私の話ばかりしてもつまんないでしょうから、今日はこれくらいにしてあげるわ。
それじゃ、ごきげんよう。

3 thoughts on “ハナの企み

  1. ネッチャ@mizmi

    あはははははははははははは!
    もう大爆笑!!!
    いつだったか、3匹と私とじゃん子で猛ダッシュしながら散歩したんだけど、
    結構キツかったねー。
    キツネっちゃーキツネだけど(笑)
    私は、ハナがいちばん好きだよ。(笑)
    よろしく伝えておいてね。

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  2. nonvey

    >>ねちゃ
    3匹を一人でまとめて散歩すると、ホント大変です。リードが勝手に編み込みされていきます。気がつくと3匹接近して歩いているという…(笑)。あの3匹の中では、ハナが一番従順だろうね。多分。
    >>てつさん
    目がキラキラ?おりこうそう?あらまぁ。てつさんもハナの毒牙に掛かっていますね(笑)。

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