NHKの迷走

視聴者不在のドタバタ劇 NHKのラグビー中継問題
事前協議なしに審判のジャージーに「朝日新聞」という企業名が入ったことから、NHKが生中継を取りやめるとした12日のラグビー日本選手権準々決勝。試合開始約3時間前になって再び覆り、当初の予定通り午後2時から生中継された。二転三転の事態に、ラグビーファンや視聴者は終日振り回された。

事の発端は、ラグビー協会の失念。審判員の胸に「朝日新聞」の社名が入ることについて、NHK側から、企業名を入れる際には事前協議するとした協定違反だとして、ラグビー日本選手権の生中継はしないと、前日に番組が差し替えられてしまったというもの。その後ラグビー協会は、一方的に非を認める形で収拾。結局その日の午後、生中継された…。
とまぁ、12日はラグビーファンが注目する日本選手権の放映が中止になったということで、少々ガッカリしていたわけですが、今度は「やっぱり放映します」とお昼のニュースやネットでガンガン流していたらしいですな。僕なんか、雪かきを終えて家に入り、何気なくチャンネルを回して初めてその時に生中継しているってことに気がついたわけですよ。その時点で既に前半15分経過。大学チャンピオンの早稲田が、社会人4位のトヨタ自動車にリードしていた時間帯でした。
もう、最初から観られなかったことが悔しくて悔しくて、本当にNHKの考えていることは視聴者の側に立っているのかという問題を、再び噴出させてしまったと思うわけです(私的には)。


さて、この問題。なぜ視聴者の側に立っていないのかというと、NHKと朝日新聞といえば、例の従軍慰安婦問題のテレビ放映を巡って対立が表面化しているわけで、今回のこの放映するしない企業名を外す外さないも、そういった対立が伏線にあることは明らかだからです(NHKは関係ないといっていますが)。
まぁ、これだけ話題になっただけでも十分に宣伝効果はあったんじゃないのか朝日新聞さんよぉ。と思うし、じゃぁ試合の放映をしないで審判の胸ばっかり映しているのかNHKさんよぉ。と、こうなると意地と意地のぶつかり合いみたいな感じもするわけで、結果的に全ての悪をかぶることになってしまったラグビー協会がちょっとかわいそうな気もするわけで(ラグビー協会は多くの赤字を抱えており、宣伝に頼らなければならないという「事情」もあった)。
そう考えると、このNHKの「強硬手段」というのは、(ごく一部ではあると思うけど)楽しみにしていた視聴者の意志を全く無視したもので、しかも当初、録画中継は午前2時から行われる予定だったのですよ。
あんたなぁ…誰が夜中の2時から結果のわかっている試合を観るんですか…。
で、試合の内容は、本当に白熱した展開。後半30分リードと大善戦していた早稲田でしたが、その後トヨタに3トライを許し、結局そのままオフサイド。社会人と学生の力の差は毎年言われていることですが、今回は「ひょっとしたら…」と思わず淡い期待を寄せてしまう、素晴らしい試合でした(これを生中継しなければ、更に苦情の電話が殺到したことでしょう…)。
また話を戻しますと、その素晴らしい試合に泥を塗ったのが、他ならぬNHKですよ。ラグビー協会に非があったのは確かなる事実。でもそれ以上に、NHKには「大人の対応」ができないのでしょうか。
NHKでは、今回の件で「朝日新聞」は関係ないとか言っていますが、大体、野球の中継の時には、球場に掲示されている企業広告がバンバン放映されているじゃないですか。あれと今回の審判の胸と、何がどういう風に違うのかということですよ。確かに事前協議を行わなかったというエラーはありました。協定違反かも知れません。それと視聴者の声を天秤にかけて番組内容を二転三転させるとは、そもそも放映側のスタンスがあまりにも曖昧じゃないですか。
カメラは極力審判の胸(つまり「朝日新聞」の文字)を映し出さないように必死でしたが、観ている側からするとそれがとても不自然で、しかも事態が事態だけに、逆に注目を浴びたんじゃないですかね。
そこまで言うなら、夏の全国高校野球も録画中継にして下さいね。どうしても生中継するんだったら、ずっと空撮でよろしく。
だって、朝日新聞が主催者の一人で、球場内でバッチリ宣伝しているみたいですから(ちなみに春の選抜高校野球は毎日新聞社が主催です)。

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