ハタハタの大漁と乱獲

雪が少ないなんてことを言っていると、次の日ドッと雪が降ったりするものだ。
今朝は一面雪景色。時折吹雪模様に見舞われている。さて、今日はハタハタの話。
ここ3年ほど、ハタハタが豊漁だという。我が家でも、毎晩のようにハタハタが食卓を飾っているが、いい加減ウンザリというのが本音である。
ハタハタといえば秋田名物として知られているところであるが、青森県に近い側での漁となるため、青森県の日本海沿岸にも接岸する。僕は試したことはないのだが、陸からだと「サビキ釣り」と呼ばれる釣り方で釣れるらしい。
そもそもこのハタハタ、かつては乱獲の影響で絶滅が危惧され、資源保護のために平成4年間から3年間も禁漁を実施した経緯を持つ。この間、ハタハタ漁で生計を立ててきた漁師の忍耐を思うと、頭が下がる思いである。
平成7年から再びハタハタ漁が解禁となったが、資源を保護する観点から、青森、秋田、山形、新潟の4県間で全長15cm未満のハタハタは採捕しないという管理方法を取り決めしたり、秋田県では漁業禁止区域や採捕禁止期間の設定、創業隻数や漁具の制限を実施している。
(参考)秋田県漁業協同組合
今となっては漁もかつての賑わいを取り戻し、漁師もホッと胸をなで下ろしているところだろう。
実際ハタハタの大群が青森県の日本海沿岸に押し寄せた02年は、活気に沸いたものだった。
ところが、である。


接岸したハタハタの群れを、一般住民が押しかけ、大量に捕獲しているというニュースが報じられている。実際その現場を見たわけではないので何とも言えないのだが、土日平日を問わず、港にはビッシリと人が張り付いた状態で、釣り竿だけではなく、中には網やクーラーで直接掬い上げる人もいるんだとか(網での捕獲は禁止されているはず)。その人の数、ハンパではないというのは、目撃した人の話。
余談ではあるが、この港というのは、僕が3年前まで勤務していた職場で管理していた港。港湾施設の利用率は極めて低調なのに、こういう時になると人で活気づくというのは何とも皮肉めいたものだと思う。
さて、その釣り上げあるいは掬い上げたハタハタ。クーラーに2つも3つも持ち帰る人が後を絶たないという。獲れるものなら獲れるうちに、という気持ちもわからないわけではない。だが、その後でそのハタハタをどう処理しようというのか。実際、我が家で「獲ってきた」というハタハタを頂いた時も、とても食べきれる量ではなく、結果捌ききれずに知り合いに差し上げようとしたところ、同じような状態で困っている、という家庭が数件あった。もちろんこういう人ばかりではないだろうが、こういう乱獲行為を行った時に、どういう事態が待っているかということを、恐らく捕獲した人たちは知らないのではないだろうか。なぜなら、漁のプロではないからだ。
津軽に住む人たちがこの日、全員ハタハタを食したというわけではないだろう。捕獲が禁止されていない以上、捕獲することにケチをつけるつもりはないし(禁止されている漁法での捕獲は御法度だが)、知り合いに配るのも一向に構わない。ただ、食卓を賑わすに有り余る量のハタハタを捕獲して一体どうするのか、ということを問いたいのだ。もし捌ききれずにゴミになった、というのであれば、それは3年間生計を犠牲にしてまで禁漁に耐えた漁師さんに対する冒涜とも言えよう。
「いや〜今年はハタハタが大漁でなぁ!」って、言うじゃない。
でも…漁師でもないあなたのやっていることは、ただの乱獲ですから。残念っ!
「ハタハタ乱獲で価格も暴落し、漁師が白旗上げてます」斬りっ。
日本海沿岸ではここ数年、これまでほとんど釣れたことのなかった真鯛が釣れていることは、このブログでも紹介したとおりである。これは、潮流や水温が大きく変化したためと思料され、今回のハタハタ接岸もこの影響ではないかと容易に推測することができる。このことが、一過性のこととして終息すればいいが、5年も続くような状態であれば、資源保護のことを本気で考えた方がいいと思う。このままでは数年後、かつての二の足を踏む可能性も、大いにあることを念頭に置くべきである。
一般の人たちが行っているハタハタ乱獲の話を聞いていると、まるで一攫千金とばかりに、ギャンブルにも似た快感を味わっているような、そんな風に見えてしまうのは気のせいだろうか。いくら獲れるからと言って、資源には限りがあるということをお忘れなく。

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