Me-imi / 岡村靖幸


DISC 1(CD)
1.5!! モンキー
2.モン・シロ
3.ア・チ・チ・チ
4.ファミリーチャイム
5.ミラクルジャンプ
6.未完成
7.軽蔑のイメージ
8.マシュマロハネムーン 〜 セックス
DISC 2(DVD)
1.ミラクルジャンプ (Video Clip)


石野卓球とのユニット「岡村と卓球」でシーンに復帰、これまでの沈黙がウソのように精力的な活動を開始した岡村靖幸の復活アルバム。
とはいえ彼のこと、どうせまたアルバム発表で一区切り付いたところで、再びご隠居様のような状態になるとは思うが。
さて、本人名義としては実に9年振りのオリジナルアルバムとなるわけだが、収録曲数はわずか8曲と、やや不満が残るところもある。昨今のCD事情を考えた場合、収録時間が60分以上、あるいは70分を超えるのは「当たり前」にも近いと思っていたのだが、トータルでも40分弱では、やはりちょっと物足りない感がある。
この作品からは、不惑の40代を目前に控え、「大人になった」岡村靖幸が垣間見える。それは、いい意味で言えばまとまりのある作品に仕上がっているという評価をすることができると思うし、辛口に批評するのであれば、かつてと比較して、若干毒が薄くなったような気がする。と同時に、彼の個性でもある「エロエロした雰囲気」も若干影を潜めた感じ。
20代の頃の、真っ直ぐな「がむしゃらさ」がないのだ。
だから、歌詞のインパクトも、以前よりは欠けた感がある。多分それは、エッチな男の企みや、ほろ苦い青春、純粋な恋愛感情などといった内向的な歌詞から、より外向的(外面的)な歌詞に変わっているからかも知れない。それでも、相変わらず韻を踏んだ意味不明な歌詞は散りばめられ、それなりに円熟味を増した「岡村ワールド」は健在であるが。
それなりに円熟味を増したのは、歌詞だけではなく、曲もである。これまでではそれほど意識されなかった、曲間の繋がりが絶妙なのだ。ただ、アルバム全体を通して「格好いい」という印象はあるが、「お、さすが岡村ちゃん」といった感じではない。「岡村と卓球」の影響も大いにあったのかも知れないが、テクノやハウスといった要素も取り入れられている。やはり年月の流れであり、昨今の流行も取り入れなければならないだろうが、この際とことん「岡村ワールド」を貫いて欲しかった。あ、別に「らしさ」が損なわれているという意味ではなく、何となく全体に「落ち着き払った感」があるのが、かれこれ15年以上も彼の音楽を聴いている僕からみれば癪なのだ。
8曲目。恐らく、レコード会社を移籍した関係で「マシュマロハネムーン」と「SEX」を繋ぎ合わせて全く違う曲にしてしまったのだろうと思うが、別にそんな必要はなかったんだよ。もっと、もっと激しい曲を、もっとオリジナルナンバーを聴かせて欲しかったなぁ…。
全てを聴き終えたあと胸に去来した物足りなさ。「Young Oh! Oh!」の、あのがむしゃら感、「家庭教師」の、あのスケベさ、「Dog Days」の、あのもろさがもっと欲しかった。
ファンの間から沸き起こる、彼の復活を喜ぶ声は、アルバムの評価を高くしている。でも僕は、あえて辛口に評価したい。岡村ちゃんよ、『Me-imi(自分の意味)』を問いたいのであれば、童心に戻ってくれ。
とはいいつつも、39歳にもなる男が、よくもまぁこう飄々とした曲を作り上げるものだ、と思わず笑ってしまった。
初回盤は 「ミラクルジャンプ」 ビデオクリップDVD付き。

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