Time To Share / TOSHI

1. Beating of My Heart
2. Living For Today (featuring Mos Def)
3. Breaking Through (w/Interlude)
4. Hold Me Down (featuring Angie Stone)
5. Neva Satisfied
6. Shadows of Your Love
7. It’s Time
8. ‘Cause You’re So Bad
9. Hope You’ll Be Well
10. Voodoo Woman (featuring Rene Neufville)
(以下日本盤のみ収録)
11. Living For Today/D-Moet Toshi’s Joint Remix


TOSHIこと久保田利伸の、ワールドワイドアルバム第3弾。
この作品を気に入った米の名物番組「Soul Train」のプロデューサーが、彼の出演を打診、異例のトップゲスト扱いでの出演が決定。さらに私事では、結婚そして1児のパパとなることも明らかになり、公私ともにノリに乗っている。
さて、3作目ということもあり、若干余裕も出てきたのかな、という気もするが、全米デビューを果たした『Sunshine,Moonlight』同様、どうも「ゲスト頼み」の感が強い。そのデビュー作のナイル・ロジャース、キャロン・ウィーラー、前作のアンジー・ストーンに続き、今作でも再びA・ストーンが参加。しかし今回は、彼も負けてはいない。彼なりの真面目さやひたむきさが垣間見え、聴き応えは十分ある。また、A.ストーン以外にも、「ネオソウル」シーンのアーティスト(ちなみに私、誰一人として知りませんでしたが、結構有名どころらしいです)との共演も果たしており、やはり制作に携わった人たちの豪華さが際だつ。
ただ、そんな豪華さとは裏腹に、前作『Nothing But Your Love』と比較してみると、何かが足りないような気がするのだ。その「何か」とは、彼独特の「ねちっこさ」だということにふと気づいた。日本盤でも聴かせてくれる声の「ねちっこさ」が、若干欠けている、そんな印象を受けるのだ。5ではその彼流の「訛り」を感じることができるのだが、どうも他の曲だとインパクトに欠ける。それは決して、全て英語で唄っているからとか、歌唱力が落ちたとかいうことではない。これまでの作品と比較しても、むしろ、英語力も歌唱力も格段にアップしているといっても過言ではないだろう。ただ結局は、ゲストとして参加した他のアーティストの独自色に隠れてしまっているような気がしてならないのだ。ブラコン路線から若干ヒップポップ路線へ軌道を修正しつつあるのかな。ただ、その過程で彼の個性でもある「ねちっこさ」を、より前面に打ち出していけば、もっと面白い作品が仕上がるだろう。彼の売りは、その独特な「訛り」にあるのだから。
誤解していただきたくないので敢えて記しておくが、この作品を否定するつもりもないし、別に「駄作」というわけではない。むしろ、相当な名盤だと思う。ハッキリ言って僕にとっては、かなり好きな部類に入る作品だ。だからこそ、もっと耳障りでもいいから、しつこいくらいの久保田節が聴きたいと思った。
全米で3作も発表するということも凄いが、一歩一歩着実に足固めをしていることが明白であり、そういう意味でも、今後の活躍に更なる期待を寄せたい。
しかも、日本人が「Soul/Hip-pop」というジャンルでその地位を確立しようというのだから、並大抵のことではないのは周知の事実。
彼のやっていることは、単なる話題作りや真似事ではなく、「TOSHI」という一アーティストとして、全米を主戦場にやっていこうという、まさに「ジャパニーズ・サムライ」の気概が感じられる。だから、是非ともその本気を聴いて欲しい。
これは、紛れもない洋楽アルバムである。
国内盤はボーナストラックを収録。そして何より、レーベルゲートCDを回避したというのが一番の収穫だろうか。

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