さようなら、モモ

亡父が生前、「今年は毎月喪服着なくちゃダメだ。どうなってるんだ!」と嘆いていたことがありました。
何となく今年は、それに近い感じ。大事なもの、大切な人たちがどんどん僕の周りからいなくなっているというか、何というか。
2月に高校の同級生、4月に敬愛してやまなかったプリンス、6月に愛犬ハナ、9月には愛車を失い、更にこれから色々学ばせて頂こうと思った方までも…。

我が家にとってのお騒がせナンバー1だったハナが、最後の最後まで騒動を起こしてこの世を去ったのが、6月6日。
奇しくもそれからちょうど4か月が経った10月6日の早朝、我が家にとってアイドル的存在だったモモ(推定16歳・ポメラニアン・♀)が静かに息を引き取りました。

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これ、ホントどうでもいいことなのですが、うちの母と妻の母さんが同じ誕生日だったり、うちの妹と妻の亡父さんが同じ誕生日だったり、うちの亡父と妻の妹の旦那さんが同じ誕生日だったりと、なんか凄い偶然なんだよね、という自慢を一時期していたのですが、妻の実家の愛犬が亡くなったのが、ちょうど4年前の10月6日。こういう偶然はいらないから、ホントに!

2年前の9月、いわゆる子宮蓄膿症のため、14歳の高齢ながら子宮の全摘出手術に耐え、動物病院の先生にも感動を与えたモモ。ただしその代償は大きく、それを機に歩くことがままならなくなって、ほぼ寝たきりというか座ったきりの状態になりましたが、食欲だけは亡くなる直前まで旺盛で、朝と夜の食事は欠かしていませんでした。

dsc_0945(手術のあと、抜糸を控え、毛羽立つモモ)

ただ、ここ数日は尿の出が悪く、食欲も急に落ちたので気にしていたところ、昨晩は明らかに様子がおかしくなり、そろそろ山場かなと思っていたら、いつも寝床を一緒にしていた母親と寝ていた夜中2時30分頃に筋弛緩状態に陥り、そのまま回復することなく…。
朝5時に起きると、「モモが動かない…」と母が狼狽していたため、母の寝室に急いで行くと、既に瞳孔は開きかけ、呼吸もないような状態でした。
慌てて抱きかかえると、全身の力は完全に抜けきっていて、まるでぬいぐるみのよう。
最期は母と妻、そして私、更にはもう1匹の愛犬チョコに見守られながら、本当に寝たかのように息を引き取った感じ。なんか、ここ最近ずっと寝ている姿ばかり見ていたので、全く実感がないという…。

うちの犬はみんな波瀾万丈なんだけれど、モモも大変だったんですよ。
2003年頃、某消費者金融のCMに出てくるチワワが人気を博していた時代。母が嬉々として「チワワをもらうことになった♪」と張り切っていたのですが、やってきた犬は、ケージの中に入ったままプルプルと震えを隠すことのできない、何とも貧相な犬。

「これって…チワワじゃないよね。」

口を揃えてみんなからチワワではないと指摘されて「じゃあ、返しに行くわ。」とふてくされた母が手にしていた血統書には、「ポメラニアン」と書かれていました。
何でも、犬好きのおばあちゃんが飼い始めたところ、程なくしておばあちゃんが他界、猫好きの親類宅で預かることになったのですが、何せ猫がいるためにケージから出してもらえなかったのだそうで。
もうこれだけでかわいそう過ぎて、うちにも猫がいたにもかかわらず、飼うことを即決。すぐにモモと呼ばれるようになりました。(血統書の名前は「モモコ」だった。)

最初の頃は本当に臆病で、ケージから出ることすら嫌がっていたのですが、徐々に雰囲気に慣れてくると、既に先にやってきていた同い年の雑種犬ハナ(♀)や老猫2匹(♂・去勢済)と一緒に遊ぶようになりました。

dsc_2077(ハナとモモ。ハナはモモが大好き、モモはハナが大嫌い。)

犬に対して「猫を被っていた」という言い方も変ですが、慣れてくると不思議なもので、誰に対してもしっぽを振って喜ぶ姿が、みんなのハートを鷲づかみ。時々ハナと散歩に出かけると、老若男女問わず誰からも声を掛けられる人気者でした。ホントにアイドルみたいだった。

dsc_2157(カット後は、毛をむしられた鶏みたいだった)

一方で、気性の荒い一面もあって、不機嫌になると牙をむき出しにすることもしばしば。とりわけ、体調が悪くなってからはハナに対して牙をむくことが多くなり、よく母や私に叱られていたものでした。ミニチュアダックスのチョコ(♀)とは仲が良かったはずだったのですが、ここ数日、明らかにチョコを嫌がる素振り。今思えば、相当具合が悪かったのかも。

img_0782(チョコとモモ。相性が良かった。)

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寒いのが苦手、暑いのはもっと苦手。小さく刻んだりんごが大好きで、なんかおばあちゃんみたいでした。(実際、母方の親戚にこういうおばあちゃんがいたんです。)

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元気だった頃はトイレに行きたくなると外に行きたがり、玄関の前や庭先にてくてく出て行って、用を足してくるという…。そのまま県道に出ようとしたことも何度かありましたし、姿が見えないと思ったら県道を挟んだ向かいのお寺にいた、ということもありました。思い出しただけでも恐ろしい…。

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しかし寄る年波には勝てず、晩年は自分の身体を支えることもできないぐらい足腰が弱ってしまい、かなり苦しそうにする時もあったのですが、それでもハナと同じく約16年生き存えました。我が家に来てからは約13年もの長い時間を一緒に過ごせて、我々も楽しかったしモモもきっと幸せだった、と信じたいです。

本当に、本当に、本当にかわいい犬だった。
多分、犬じゃなくて人間だったら、惚れていたかも知れない。それぐらい、かわいかった。

長い間一緒に過ごしてくれて、ありがとう。
亡父やハナが待つ黄泉の国で、昔のように自由奔放に駆け回ってちょうだいな。

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じゃあ…またね。バイバイ。

合掌

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