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大澤誉志幸 Song Book


大澤誉志幸のデビュー35周年記念作品はアーティスト・シンガー“大澤誉志幸”と、ソングライター“大澤誉志幸”が同時に楽しめる作品。大澤誉志幸自身のヒット曲と、大澤誉志幸が提供した楽曲を自身によるセルフカヴァー・バージョンで収録したDISC-1、大澤誉志幸が提供した楽曲をオリジナル歌唱アーティストの音源で収録したDISC-2による、単なるベストとは一線を画す、ミュージシャン・大澤誉志幸の偉大なる35年の足跡を音で刻んだメモリアル作品。

なかなか面白いアルバムです。もっと言うならば、結構マニアックなアルバムです。
簡単に説明するならば、ベストアルバムとコンピレーションアルバムとの合体盤。既に彼の「ベスト盤」はたくさん発売されていますので、こういう作品を発表することができるのは、大澤氏のソングライターとしての手腕によるところでしょう。
DISC-1は、本人の既発の楽曲と、新録1曲に新曲2曲を収録。
DISC-2は、様々なアーティストに提供した楽曲を、オリジナルの楽曲のまま収録しています。鈴木雅之、吉川晃司、中森明菜、沢田研二、本木雅弘、八代亜紀、石川セリ、松田聖子、アン・ルイス、ビートたけしなど、こんなバラエティに富んだ名前が並ぶだけでも、何かマニアックっぽい感じがしませんか。この2枚で、大澤誉志幸のアーティストとしての片鱗と、ソングライター・プロデューサーとしての片鱗との双方を垣間見ることができる、という点で「面白い」と評させて頂きました。ただし、オールタイムな作品ではなく、かつとりわけDISC-2については80年代の楽曲がメインですので、正直「古っぽさ」を感じるのは致し方ないところかも知れません。

数年前に佐橋佳幸が発売したアルバムのコンセプト(あちらは、佐橋氏がギタリストとして参加した楽曲のオリジナルを収録)とか、岡村靖幸の「Me-imi」デラックス盤(こちらはオリジナルアルバムと他のアーティストへの提供曲を同梱)のコンセプトに似ている感じでしょうか。

ただ、これでも充分なんですが、何かが惜しいんですよ。
ワガママでどうもすいません。すいませんと言いつつ、欲を言うならば…。

  • DISC-1は、DISC-2の楽曲と同じ曲を、同じ順で収録して欲しかった。恐らくDISC-2に収録されている幾つかの提供曲は、これまで自身の曲として発表していないものもあるため、結果的には新曲となってしまうけれど、それはそれで聴いてみたかった。敢えて「そして僕は途方に暮れる」とか「ゴーゴーヘブン」といった代表作を外す、という選択肢もあったのでは。「単なるベストとは一線を画す」というのであれば、尚更そうして欲しかった。
  • それができないのであればDISC-1は、できれば今の音、つまり全曲セルフカバーで聴いてみたかった。渡り鳥ツアーの時の音源でもいいし、別にアコギ1本と打ち込みだけでもいいので、「今の大澤誉志幸」を敢えて主張して欲しかった。
  • こういった作品から新しいファンを発掘することはもちろん大切。でも、古くからのファンも一つよろしくお願いします。大丈夫、古くからのファンはマニアな人が多いはずですから。
  • DISC-2に収録された各楽曲について、楽曲を提供するに至った背景とか今だから話せる裏話とか、何かそういった解説があったら、もっと作品への愛着が深まって良かったのに。
  • もっとも、5年ごとに毎回毎回ベスト盤を発表されるよりは遙かにマシ。ただ、正直言ってこのアルバムが何を意図するのかがよくわからない。だって、もっと前に発表できたような内容だと思うし。だからこそ、何とも言えぬ中途半端な感じが滲み出ているワケですよ。

といった感じで、欲を言い出せばキリがないとはいうものの、これだけのボリュームがありながら新曲・新録がたった3曲のみっていうのは、やっぱりちょっと寂しいですよ。まあ、DISC-2の録り直しはほぼ不可能とはいえ、何かもう一ひねり欲しかったなあ…というのが率直な感想です。

ちなみにDISC-2には、現在同じレコード会社に所属している山下久美子が絡んでいる楽曲が3曲収録されており、長い間にわたって親交を深めてきたことを垣間見ることができます。お二人の最近の活動、共同名義のコラボレーションアルバムを2作発表したり、ディナーショーに一緒に出演したりしていたこととかは存じていましたが、実はそういう伏線、つまりレコード会社のあからさま過ぎる策略みたいなものがあるんじゃないか、と感じてしまったことに、ちょっとした違和感を覚えたのかも知れませんが。
まあ、それ以前にご本人が「昔のソングライティングのおかげで今でも別に好きなことやっても喰っていけるし、好きなことをやらせてもらう。」みたいなことを、前に観たライブでお話ししていたので、今更華やかな表舞台で日の目を見るような活躍を望んでいるわけではないんでしょうね。相変わらず斜に構えていて意地っ張りなのかも知れませんが、僕はそういうところ、嫌いじゃないです。
(以上敬称略)

エレファントカシマシ、30周年。

2017年3月21日、エレファントカシマシがメジャーデビュー30周年を迎えるそうです。

これに合わせ、デビューから直近までの全キャリアを網羅したオールタイムベストを発売するとのこと。
以下、公式サイトから。


2017年3月21日、エレファントカシマシはデビュー30周年を迎えます。それを記念して、キャリア史上初となるオールタイムベストアルバムのリリースが決定! その名も「THE FIGHTING MAN」。
デビュー30周年にちなんで30曲3,000円!宮本自ら260曲を超える楽曲群より厳選に厳選を重ねた30曲を収録。
このアルバムは、いわば“エレカシの基礎”であり、同時に決定盤となるベストアルバムなのです!!

全曲オリジナル音源よりマスタリングして収録!!

完全受注生産のデラックス版には、レア音源&デモトラックを収録したボーナスDiscに加え、1995年6月21日に行われ、その後の快進撃のきっかけとなった名曲「悲しみの果て」を初披露した下北沢シェルターのライブ映像と、あれから21年、デビュー30周年を前に行う下北沢シェルターでの奇跡のライブを完全収録!!
さらには、30年のバンドの歩みを凝縮したスペシャルブックレットを収録。

そして、一般販売される【通常盤】【初回限定盤】の他に、【UNIVERSAL MUSIC STORE限定 完全受注生産盤】が発売されるとのことで、こちらは1月20日までの予約受付となっています。

エレカシに関しては、2009年に発売されたEPIC、EMI、PONY CANYONそれぞれの自選作品集と、2012年に発売されたUNIVERSAL MUSICからのベスト盤、そして2013年のライブベスト盤の他、幾つかのベスト盤や編集盤が発売されています。正直申し上げますと、3月に発売される30曲入りのベスト盤に3,240円を払うんだったら、これらのベスト盤をコツコツ購入した方がいいと思うのであります。エレカシを嗜むという点において、個人的にはこちらの作品が基礎であり、決定版だと思っています。

その最たる理由として、バンドとしての変遷がレーベルによって異なるから。
創生→混迷→暗黒→転換→絶頂→凋落→停滞→復活→再生→成熟と、簡単に記すとこんな感じなのでしょうか、その時、その時代において曲調や歌詞にも変化が現れていて、それがバンドとしてのあり方をそのまんま表現している、そんな感じです。
しかも今回のオールタイムベスト、曲順が時系列になっていないため、これだとバンドの変遷がわからないわけですよ。何かもったいない!

ちなみに、彼らのキャリアの中でも僕が一番好きなのは、メジャーデビューを果たしたEPIC在籍の時代。彼らにとって決して恵まれた環境ではありませんでしたし、25周年の時にも同じ話題に触れていますので内容は敢えて割愛しますが。
・最近買った音楽

動画でもおわかり頂けるように、初期の頃のライブは客電が付きっぱなし、席を立つことは許されず着席のまんまで静聴、少しでも騒ごうものならステージ上から恫喝されるという、実に攻撃的、排他的かつ独裁的で、何でこんなバンドなんかに魅力を感じるんだろう、と思うところもありました。それでも今まで(決して熱心にではなく、何となく)聴き続けて来られたのは、恐らく英語の歌詞ばかりが並んだ軽妙かつポップなロックではなく、ドスンと重みの利いた音に乗せられた純和風で文学的な日本語の歌詞が耳に心地よかったのかも知れません。
もっとも、この頃のEPICにはエレファントカシマシのような「くせ者」「変わり者」がたくさん所属していましたが、一番輝いていた(と思われる)EPIC在籍時は何を出しても鳴かず飛ばずで、EPICを離れ、どちらかといえば一般受け、大衆受けするような楽曲を発表するようになってから、バンドとしての知名度がグンと上がるという皮肉も孕んでいたんですが。

初期の頃は反社会的というかアウトローというか、斜に構えている感じで、ネガティヴな感じの歌詞が比較的多かったんですね。「ファイティングマン」、「おはよう こんにちは」、「デーデ」…決して自分のことを投影しているわけではないのでしょうけれど、ボーカルの個性(アク)が強すぎて、初めて聴いた時にはガツンと頭を拳骨で殴られたような感じでした。「一発録り」の雰囲気がプンプン漂っていて、決して雑多ではないんだけれども、どこか投げやりっぽい感じ、だけど音作りはしっかりしているという。僕はそれを勝手にこのバンドの「味」なんだと解釈して聴いていたのですが、ドラマやCMのタイアップとして曲が使われるようになったのが約20年前。これが一つの転機となってバンドとしての地位を確固たるものとする一方で、外部のプロデューサーを迎えることで以前からの荒々しさが影を潜め、人生の賛歌みたいなポジティヴな楽曲が多くなっていったこともあり、何となく違和感を覚えたのも事実です。ドラマやCMで使われてヒットした曲も色々ありますが、それまでのバンドのカラーが損なわれてしまった、強いていうならば没個性的といいましょうか、商業音楽っぽいといいましょうか、そういうのもあんまり好きになれなかったですし、この頃を境に「エレカシ、エレカシ」と、初期の頃の彼らを知らない連中がこぞって囃し立てていたのも、何かイヤだったな。

それでも、30年もバンドをやっていく中で、一度もメンバー変更することなくここまでやってきたというのだから、この4人はかなり強固な絆で結ばれているのでしょう。

…と、何かデビューから知っているようなディープなファンを装っていますが、実は私、今まで彼らのライブを一度も生で観たことがないので、いつか機会があれば観てみたいと思っています。ちなみに今日は日本武道館で新春ライブが行われ、3月20日は大阪城ホールで30周年記念ライブが行われるそうです。

しかし、観たい観たいと口では軽々しくいうけど、行動しなければ叶うわけがない。手あぐら組んで黙り決め込んでいたって夢は叶わない。夢は自分から引き寄せるもの。夢の実現のために、行動した者の夢が一番最初に叶う。夢って、そんなもんでしょ。

…いやでも、さすがに3月20日(月・祝)の大阪は、年度末が近すぎてちょっと無理か。残念。

2016年の音楽指向、嗜好又は偏向に関する集計

僕は通勤時やランニングの際にスマートフォンを音楽プレーヤーとして使っています。「Last.fm」というSNS、ほとんどSNSとしては使いこなせていないのですが、このアプリで音楽再生の履歴を記録するように設定していて、普段どんな楽曲を聴いているのかを(勝手に)集計してくれます。今年はあと10日ほどありますが、そのLast.fmに2016年の再生履歴がまとめられていたので、今回はそれをチェックしてみようと思います。アルバム、楽曲、アーティスト毎に集計されているものの中から、今回はアルバムだけをチョイス。

アルバムの再生順に上位50位を並べて見てみると、相当な偏りがあることがわかります。

1 岡村靖幸 — 幸福
2 Prince — The Hits/The B-Sides
3 Prince — Art Official Age
4 山下達郎 — OPUS ~ALL TIME BEST 1975-2012~
5 氷室京介 — L’EPILOGUE
6 布袋寅泰 — 51 Emotions -the best for the future
7 Prince — HITNRUN Phase One
8 Prince — HITNRUN Phase Two
9 Prince — Crystal Ball
10 Prince & 3rdEyeGirl — PLECTRUMELECTRUM
11 Janet Jackson — Unbreakable
12 福山雅治 — 福の音
13 奥田民生 — 秋コレ ~MTR&Y Tour 2015~
14 布袋寅泰 — HOTEI NONSTOP BEAT EMOTIONS Mixed by DJ Fumiya(RIP SLYME)
15 Prince — Emancipation
16 Prince — 1999
17 Babyface — Return of the Tender Lover
18 Prince — The Gold Experience
19 Judith Hill — Back In Time
20 宮原学 — I,MANABU MIYAHARA
21 東京スカパラダイスオーケストラ — The Last
22 Prince — Batman
23 Prince — One Night Alone… Live!
24 Prince — 3121
25 Red Hot Chili Peppers — The Getaway
26 Prince — Black Album
27 浜田省吾 — Journey of a Songwriter ~ 旅するソングライター
28 Prince & The Revolution — Parade
29 The Original 7Ven (The Band Formerly Known As The Time) — Condensate
30 吉川晃司 — WILD LIPS
31 Prince — Ultimate
32 岡村靖幸 — OH! ベスト
33 Prince — Come
34 Prince — Lovesexy
35 佐野元春 & THE COYOTE BAND — BLOOD MOON
36 吉川晃司 — SINGLES+
37 Steven Tyler — We’re All Somebody From Somewhere
38 岡村靖幸 — 靖幸
39 岡村靖幸 — Date
40 大滝詠一 — DEBUT AGAIN
41 岡村靖幸 — Me-imi~Premium Edition~
42 Prince & The Revolution — Purple Rain
43 Prince — Rave Un2 the Joy Fantastic
44 Luther Vandross — Hidden Gems
45 Prince and The Power Generation — Love symbol
46 The New Power Generation — NewPower Soul
47 The New Power Generation — Gold Nigga
48 Chaka Khan — Come 2 My House
49 Prince — Sign O The Times Rehearsals
50 桑田佳祐 — ヨシ子さん

(1位から9位までのアルバム一覧。)

こうやって見ると、プリンスと岡村靖幸のアルバムだけで50作品のうちの半分以上を占めています。更に海外アーティストを見ると、ジャネット・ジャクソン、レッチリ、スティーヴン・タイラー、ベビーフェイス、そしてルーサー・ヴァンドロス以外は全てプリンス絡みの作品ばかり。
それにしても女性陣がホント少ないですね。50作品のうち、女性アーティストのアルバムは3作しかなく、日本人の女性アーティストは一人もいません。…いや、女性アーティストも(かなり偏りはありますが)聴いているんですけどね、年間を通してとなると、なかなか厳しいものがあるみたいで。

ちなみに、1位「幸福」の再生曲数が274曲、2位「The Hits/The B-Sides」の再生曲数が177曲と、ほぼ100曲近い差がついています。11年振りに発表されたオリジナルアルバムということで、確かに年がら年中ずっと聴いていてような気が…。
僕の場合、アルバム1枚を通して聴くということは最初の数回だけで、基本的には楽曲をシャッフル再生する方がかなり多いです。なので、楽曲数が多いアルバムほど上位に来ている、という傾向があるようです。4位から6位に日本の男性アーティストが3人続けてランクインしているのは、間違いなくそういった理由からだと思いますし、2位と9位のアルバムも同じ理由でランクインしたのだと思います。

定期的にスマートフォンのmicroSDの中の曲(アルバム)を更新しているのですが、プリンス関連のアルバムと岡村靖幸のアルバムは別枠みたいな扱いになっていて、今の機種になって間もなく2年、一度もデータを削除した記憶がありません。
その中にあっても、プリンスのアルバムが数多くランクインしているのは、ご存じの通り本人が今年4月に急逝したということもあり、例えようのない悲しみに打ちひしがれながら相当聴いていましたので(そしてそれは現在進行形)、まあ、当然といえば当然の結果です。…ちなみに1枚だけブート盤が紛れ込んでいますが、たまたまです。30位から40位までは、再生楽曲数が同数又は1曲違いで並んでおり、ムラなくランダムに聴いていたことが何となく窺えます。

日本人アーティストで言えば他に、スチャダラパーやTM Network(TMN)、Fence Of Defence、宇多田ヒカルや渡辺美里のアルバムも結構聴いたような気がしていましたが、どうやら聴いていた期間が限られていたようで、いずれもランク外。いずれにせよ、新旧織り交ぜて聴いているつもりでも、かなり嗜好に偏りが出ているような感じです。余談ではありますが、再生回数トップのアーティストは、もちろんプリンス。再生回数トップの楽曲は、アルバム1位となった「幸福」に収録された「新時代思想」でした。

しかし、50位にランクインされた最後のオチがなかなかでした。シングル盤なのに、そんなに聴いたかな…。

Prince / 4EVER

2016年もあと1か月ほどで幕を下ろします。
今年はとにかく、喪失感を味わい続ける年になってしまいました。こういう忌々しい年はできることならば早く忘れ去りたいものではありますが、恐らく一生忘れることのない年になることでしょう。そう、永遠に(4EVER)。

4月、あまりにも突然すぎるプリンスの訃報に唖然としながら、人生の儚さをつくづく思い知らされた2016年。
そんな主が不在となった今、「満を持して」ベスト盤が発売されました。タイトルは、「4EVER」。

prince4ever
DISC 1
01. 1999
02. Little Red Corvette *
03. When Doves Cry
04. Let’s Go Crazy *
05. Raspberry Beret
06. I Wanna Be Your Love
07. Soft And Wet
08. Why You Wanna Treat Me So Bad?
09. Uptown
10. When You Were Mine
11. Head
12. Gotta Stop (Messin’ About)
13. Controversy
14. Let’s Work *
15. Delirious
16. I Would Die 4 U
17. Take Me With U *
18. Paisley Park
19. Pop Life
20. Purple Rain

DISC 2
01. Kiss
02. Sign “O” The Times
03. Alphabet St. *
04. Batdance
05. Thieves In The Temple
06. Cream
07. Mountains
08. Girls & Boys *
09. If I Was Your Girlfriend
10. U Got The Look
11. I Could Never Take The Place Of Your Man
12. Glam Slam *
13. Moonbeam Levels **
14. Diamonds And Pearls
15. Gett Off
16. Sexy MF
17. My Name Is Prince
18. 7 (Album Edit)
19. Peach
20. Nothing Compares 2 U
* 初CD化 ** 未発表曲

2枚組、40曲。フィギュアスケートの羽生結弦選手が今年のSPでプリンスの「Let’s Go Crazy」を採用して話題になっており、それも相まって改めてプリンス再評価の兆しが生まれるのでしょうか。いや、もう十分すぎるほど再評価はされているのか…。
実際このアルバム、国内盤輸入盤問わずジャケットのフィルムには、「フィギュアスケート2016使用楽曲 Let’s Go Crazy 収録」という赤いシールが貼られています。羽生選手の名前がないとはいえ、ここまでやられると、売り時なのはわかりますが、輸入盤にまで貼るか?といった感じで、ちょっと複雑な心境です。

ちなみに、11月29日付け日刊スポーツの記事から。

羽生効果 プリンスベスト盤売れ行き「予想以上」
フィギュアスケート男子の羽生結弦(21=ANA)が今季の演技で起用した米歌手のプリンスに再び注目が集まっている。ショートプログラム(SP)に使っているのが、今年4月に急逝したプリンスのヒット曲「レッツ・ゴー・クレイジー」。その曲が収録された10年ぶりのベスト盤「4EVER」が25日の発売からわずか数日で1万5000枚の出荷と、海外ミュージシャンとしては異例の売れ行きを見せている。

発売元ワーナーミュージック・ジャパンの担当者は「プリンスが亡くなってから初のベストということもありますが、ユヅ君の効果も大きいと思います」と反響に驚いている。CDのジャケットには羽生の名こそないものの「ユヅ効果」を狙い「フィギュアスケート2016ショートプログラム使用楽曲 Let’s Go Crazy収録!!」と記された赤いシールが貼ってある。都内有数のCD店、タワーレコード渋谷の担当者も「予想以上にすごく売れ、品薄です」と話す。

ベスト盤発売日の25日、羽生はグランプリシリーズNHK杯で、プリンスをイメージした紫の衣装でSPを滑った。今後も結果を出すほどプリンスの曲の売り上げが伸びるかもしれない。

プリンスに関してはこれまでも数回ベスト盤が発売されていますが、残念なことに今回も、全キャリアからの楽曲をチョイスしたオールタイムベストではなく、デビューから90年代初頭までの約15年間、所属レコード会社と揉めて改名騒動を起こす前までの作品からの選曲となっています。裏を返せば、その後の20年以上にも及ぶキャリアは、またしても日の目を見ることがなかった、ということに。もっとも彼の場合、毎回発表されていたアルバム1枚1枚が「ベスト盤」みたいなものだから、敢えてベスト盤を発表する必要もないんですけどね…と嘯いてみたり。
後述しますが、「あの曲が収録されていない、あの曲はどうした。」という話になってくると、「ベスト盤」なんていう中途半端に作品をまとめたものじゃなくて、廃盤になってしまったオリジナル盤を再発してくれよ、と思ってしまうわけです。

閑話休題。
今回のこの「4EVER」、注目点は3点。まずは初CD化となるシングル・バージョンが7曲収録されていること、2点目は未発表曲が1曲収録されていること、そして3点目、リマスターが施されていること。

例えば羽生選手がきっかけとなって初めてプリンスを聴く人にしてみれば、単純に「ああ、プリンスってこんな曲を歌っているのね。」と感じるのかも知れませんが、オールド・ファンにしてみれば、色んな角度から、色んな評価があるんだと思います。
全体を通した感想としては、既に他のレビューでも拝見したのですが、一言で言うならば過去に発売されたベストアルバム「THE HITS/B-SIDES」のうち、「B-SIDES」の部分を除いて内容を練り直し、更にリマスターも施した、そんな作品といえばいいのでしょうか。2枚目のディスクに12インチシングルの楽曲を収録した「Ultimate」とはちょっと違う感じ。
でも、個人的には「それなりに」楽しめる作品だと思いました。
シングル・バージョンの収録に関しては、どちらかと言えばコアなファン向けなのでしょう。新しいファンの方々にとってみれば「何が違うの?」ってことになるのでしょうけれど、楽曲によってはアルバムと比べると曲の長さが半分近くになってしまっているものもあって、何となく物足りなさを感じるところではあります。しかし、それがまさに初CD化された「シングル・バージョン」なんだと割り切ると、それはそれでちょっと得した気分になりませんか。今回初CD化となった7曲以外の楽曲も同様のバージョン(既発)が多数収録されており、これらがあったからこそ1枚のディスクに20曲も収録されることとなったわけです。

今回初めてプリンスの音楽に触れる皆さんに、バラエティに富んだ彼の楽曲をたくさん聴いてもらえるのであれば、それはそれで「アリ」なのかな、と。そしてこれをきっかけに、オリジナル・アルバムにまで触手を伸ばして頂ければ、なお結構なことなんですけどね。そういう意味ではこのアルバム、入門盤の一面も魅せつつオールドファンでも楽しめる内容に仕上がっていると思うのですが、どうでしょう。

未発表曲は「Moonbeam Levels」というナンバー。僕自身は「A Better Place 2 Die」というタイトルの方がしっくりくる楽曲ですが、初めて海賊盤で聴いた(←ダメじゃん)時と比較すると、当然のことながらAMラジオの雑音というかノイズが一切なくなっており、非常に美しい曲だな、ということを改めて感じました。まあでもこんなのは氷山の一角どころか氷山の一粒にもならないようなもので、彼の未発表曲は数千曲にも及ぶとも言われていますので、この先どういう形で他の未発表曲がこの世に現れるのか、個人的には注視していきたいと思います。

リマスターに関しては、(恐らく)本人が手がけたものではないため、聞く耳の肥えたファンからすれば色々言いたいところもあるようですが、こういう形でまた一つ整理されたというだけで充分じゃないですかね?

前述の通り、40年近くも活動しているアーティストともなれば、ファンの感じ方だって千差万別。あの曲が収録されていない、この曲はいらなかった、という評価は、失礼を承知で言わせてもらうと、単なるエゴ。その声一つ一つに耳を傾け、目くじらを立てていては、キリがないわけですよ。最後は自分がどう感じながらこの作品を受け止める(受け入れる)か、そこに尽きるんじゃないですかね。
僕はこれも今のプリンスなんだと素直に受け止め、「NOW AND 4EVER」の気持ちでしばらくの間、愛聴したいと思います。
ちなみに僕はこの作品を、最初から順を追って聴くのではなく、ランダムにシャッフルして聴いています。次に何の曲が流れてくるかワクワクしながら聴くのも、なかなか楽しいですよ。

久保田利伸 「THE BADDEST ~Collaboration~」

久保田利伸ファンの皆さまであればご承知のとおり、「THE BADDEST」というタイトルのアルバム、これはいわゆるベスト盤でございます。goodの反意語はbad、goodの最上級はbest。逆にbadの最上級はworst。敢えてbestでもなくworstでもなく、「bad」に最上級の意味を示す「est」、これを付した造語として「BADDEST」を確立し、最初の「THE BADDEST」を発表したのが1989年のこと。最初の「THE BADDEST」に収録されている一部の楽曲は、プリンスの城ともいうべきペイズリーパークでリテイクされており、これだけでも十分興奮のるつぼにハマることができたわけですが、これを皮切りに、実はこれまでもたくさん出ておりまして、今回が通算6作目の「THE BADDEST」となります。デビュー30周年で6枚のベスト盤…いや、「THE BADDEST」が多いのか少ないのかはわかりませんが、今回もまた違った切り口で攻めてきました。

2016年6月21日にデビュー30周年を迎えた久保田利伸。その30周年を華々しく飾るべく、2016年11月23日(水)に久保田利伸自身初となるコラボーレーションベストアルバム、「THE BADDEST~Collaboration~」のリリースが決定!!
このコラボベストアルバムは「日本語歌詞編」と「英語歌詞編」の2枚組からなり、選りすぐりの全30曲を収録。それら豪華アーティストは日本国内からはKREVA、MISIA、EXILE ATSUSHI、JUJU、小泉今日子等を始め、海外からはLive Hip Hopの頂点The Roots、Mos Def、R&B界の申し子Raphael Saadiq (Tony Toni Tone)、ファンクギターの神様Nile Rodgers、UK Soulの女王Caron Wheeler等々、久保田利伸でなければ不可能な圧巻のコラボレーションの数々を収録。
さらに新曲として、日本でダントツのSoul Flower、AIとのFunkyでHappyなバウンス・チューン 「Soul 2 Soul feat. AI」が「日本語歌詞編」に。「英語歌詞編」には “21世紀一番スティービーワンダーに近い存在”と称されるシンガー、Musiq Soulchildとの最高峰コラボ「SUKIYAKI ~Ue wo muite arukou~」が今回このアルバムにて初収録されるのも目玉のひとつ。

thebaddest

DISC 1
1  M☆A☆G☆I☆C (KUBOTA meets KREVA)
2 LA・LA・LA LOVE SONG (Toshinobu Kubota with Naomi Campbell)
3 無常 (feat. Mos Def)
4 FLYING EASY LOVING CRAZY (TOSHINOBU KUBOTA feat. MISIA)
5 Let’s Get A Groove ~Yo! Hips~ (Bass: Meshell Ndegeocello, Saxophon: Michael Brecker)
6 MIXED NUTS (P funk Chant: George Clinton, Bass & Guitar: William “Bootsy” Collins)
7 Soul 2 Soul feat. AI
8 POLE POLE TAXI (feat. Maceo Parker)
9 Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI
10 Is it over ? (Hook Vocal: JUJU)
11 Keep it Rock (feat. WISE, Tarantula from Spontania)
12 a Love Story (KUBOSSA ver.) (Flugelhorn: TOKU)
13 Moondust (poetry reading by Kyoko Koizumi)
14 Keep Holding U (SunMin thanX Kubota)
15 Messengers’ Rhyme ~Rakushow, it’s your Show!~ (Rakushow Voice: Naoko Iijima)
16 Love under the moon (Harmonica Solo: Toots Thielemans)

DISC 2
1  Never Turn Back (Feat. Pras)
2  Funk It Up (Guitar: Nile Rodgers)
3  LIVING FOR TODAY (Feat. Mos Def)
4  HOLD ME DOWN (Duet with Angie Stone)
5  Till She Comes (Produced by The Roots)
6  Nice & EZ (Produced by D’wayne Wiggins)
7  SUKIYAKI ~Ue wo muite arukou~ (feat. Musiq Soulchild)
8  Masquerade (Produced by The Roots)
9  Just The Two Of Us (Duet with Caron Wheeler)
10  VOODOO WOMAN (Feat. Renee Neufville)
11  Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars) (Acoustic Piano: Daniel Jobim, Guitar: Goro Ito)
12  NEVA SATISFIED (Produced by Ali Shaheed Muhammad)
13  Pu Pu (Produced by Raphael Saadiq)
14  FOREVER YOURS (Duet with Alyson Williams)

初回生産限定盤には10曲のMVが収録されたDVDが付いています。
正直言うと、一番気に入っているのが89年に発売された「THE BADDEST」で、この後に続いたII、そしてIIIは、まあまあ一聴の価値はあるかな、とは思いつつも、実はあまり聴き惚れるところまではたどり着くことができませんでした。裏を返すと、それだけ最初の「THE BADDEST」のインパクトが強すぎた、とも言えるわけです。

前回の「THE BADDEST」が5年前、デビュー25周年の際のオールタイムベスト。30周年でも出るんだろうな、と思ったらやっぱり発売されました。が、今回はちょっと切り口が違っていて、これまでの数々のコラボレーションを集めた2枚組のベスト盤。DISC 1が日本語詞、DISC 2が英語詞だそうですが、DISC 1にもたくさんの海外アーティストが参加しています。もっとも、今回収録された楽曲以外にもいろんな形でさまざまなアーティストが参加しており、すべてを網羅しきれていない(というよりも、容量の関係で収録しきれない)というちょっと残念な面も顔を覗かせているアルバムです。正直、正直申し上げるならば、DISC 1の2と15、この2曲はもういい加減いいでしょう!という感じ。この2曲が他の楽曲にすり替わっているだけで、恐らく全然評価は変わったと思います。

次回は、奇をてらったリミックス・アルバムが聴きたいですね。某大手飲料メーカーの抽選でカセットテープが当たるという企画があり、未発表の4曲が収録された「GHETTO BLASTER」というタイトルのテープが商品だったんです。テープの現物は見たことがないのですが、今はモニョモニョすると、この4曲を聴くことができます。せっかくなら12インチで発売された「TIMEシャワーに射たれて」や「流星のサドル」をはじめ、シングルのカップリングで収録された別バージョンとか、そういうのも含めて聴きたいな。

ともかく今回の「THE BADDEST」、30曲も収録されているので聴き応えは十分ありますし、これはこれで「当たり障りのない、ありがちなベスト盤」ともまたちょっと違う(必ずしも全曲シングルカットされているわけではない)ので、25周年の際の「THE BADDEST」よりは聴き惚れることができそうな感じです。