県内行脚も終盤戦突入

6月下旬から始まった県内行脚もいよいよ佳境を迎えた。

昨日は五所川原市を訪れ、関係者の方々と意見交換を交わした。
昼の時間になり、昼食がてら五所川原駅前を歩いてみた。五所川原市は、最近では「立佞武多(たちねぷた)」が有名となり、今年は5日間で140万人の観客動員数があったという。しかしながら五所川原市が盛り上がるのは実質この5日間のみであり、少なくとも駅前から中心商店街に向かう地域については、平日の昼ということもあってだろうか、実に閑散としている。

「レトロな町並みで味わいがありますね」なんて、思ってもみないようなセリフを口にしてみたが、例えて言うならばこの街は「ねずみ色の街」である。実際に歩いてみても、ねずみ色のシャッターが閉まったままの店舗が立ち並び、中には廃墟のようなビルもある。せいぜい異彩を放っているのは、駅前にあるパチンコ屋ぐらいだ。

五所川原といえば立佞武多も有名だが、吉幾三を凌ぐ有名人になってしまった羽柴誠三の出身地でもある(といっても二人とも合併前の旧金木町出身)。
五所川原市役所の向かいにあるビルには、羽柴誠三の名前と「決戦 大阪城攻略」と書かれた謎の看板が屋上に掲げられていたようだが、今でもその看板はそのまま設置されているのだろうか。

ちょうど五所川原駅からは、「リゾートトレインしらかみ」が出発するところだった。風光明媚な景色が広がることでも知られる五能線沿線の中で一番大きな駅がこの五所川原駅であり、隣にはストーブ列車で知られる津軽鉄道の駅舎もある。しかし見たところ、この列車から五所川原駅に降り立った人はほとんどなかったようだ。

こうやってみると何だか活気のない街にも見えるが、駅の東側約2キロのところには「エルムの街」というショッピングモールが存在する。
イトーヨーカドーを核テナントとするこの商業施設は、周辺にもユニクロをはじめとする店舗が集積しており、五所川原市内のみならず、西北津軽地域、青森市、はたまた県外からも客がやってくるほどの集客力を有している。

ちなみに、五所川原市の中心商店街は駅西側の南北に広がっており、現在も周辺で区画整理が進められている。しかし、「エルムの街」をはじめとする東側の地区が先に区画整理されてしまったこと、更にこの「エルムの街」自体が第三セクターにより運営されていることを鑑みても、商圏がこちらにシフトすることは、市としても織り込み済みだったのかもしれない。更に昨今の不景気により投資の手控えが始まり、区画整理後の土地への物件建築が進まず、空き地が多くあるようだ。ただ、市としてはエルムとの共存共栄を考えているようだが、肝心の中心商店街と言えば、3つあった地元資本の大型店が相次いで撤退し、現在では食料品店ですら皆無の状況らしい。

さらに五所川原市と岩木川を挟んだ対岸、つがる市には、イオン系のショッピングモールがある。その距離、五所川原駅から5キロ足らず。つまり五所川原駅前から広がる市の中心商店街は、二つの郊外型ショッピングモールに挟まれてしまっている、という訳だ。

こうなると果たして五所川原市の中心市街地はどうなってしまうのか、と他人事ながら危惧してしまうのだが、まだ区画整理も終わっていないので、これから何とかなるのではないかという楽観の声も聞かれた。

確かに弘前駅前の再開発(区画整理)も、開始から数十年経った今でも空き地があることを考えると、区画整理が終わったからといって再開発が進むというものではない。

ただ、五所川原を巡るそれは、弘前とは何となく事情が違うような、そんな気がしてならない。

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