大鰐町のこと

弘前市の隣に大鰐町というところがある。
昨日は仕事の関係で、終日この町にいた。
残念ながら一つの建物の中にずっといたため、町の雰囲気を見ることはもちろん、日食を見ることもできなかった(といっても仕事中なので見ることができないのは当たり前か)。

それにしても、大鰐町の窮する状況は思った以上に深刻のようだ。
県内でも有数の温泉街でありながら、客足はさっぱり伸びていない。(それなりに)立派なスキー場も抱えているが、ランニングコストが嵩み、今後の運営には暗雲が立ちこめている。追い打ちをかけるかのように、地球温暖化による少雪も、スキー場の運営にとっては悩みの種になっているようだ。

ことの発端は、リゾート法に乗じて次から次へと財政投下を行った結果、スキー場等を運営する第三セクターがパンク状態に陥ったことにある。要するに、典型的なハコモノ依存。

結果、大鰐町の財政基盤は数年前から綱渡りの状態で、いつ財政再建団体に陥ってもおかしくない状態まで疲弊してしまった。周囲の市町村からはそっぽを向かれ、「平成の大合併」においても、周辺市町村からは全くお声がかからなかった。

さらに、どうやら現在の町議会は野党多数の状況にあるらしく、このこともあまり建設的な意見が生まれてこない一つの要因にあるように考えられる。

単独での行政運営を強いられている大鰐町。
特急も停車するJR奥羽線・大鰐温泉駅の付近は、駅前とは思えぬほど閑散としていて、少なくとも我々が車で通りがかった際には、人ひとり見かけなかった。

スキー場がある阿闍羅山といえば、小学校時代の遠足コースで、冬はスキー教室が行われていたところだ。話を聞くと、今も周辺市町村の学校のスキー教室は行われるものの、いくら人が集まっても「客単価」が低いために、町を活気づけるところまではいかないのが実態らしい。もっとも、スキー場まではバスで移動するので、商店街にお金が落ちることはないのだが…。

駅前から続く商店街は閑古鳥が鳴いている状態、せっかくの温泉街も、後継者不足と客の入りの低下により廃業を余儀なくされているところが多いという。他聞に漏れずこの地域も、イ○ン系スーパーの進出が地元の商店に暗い影を落としている。悪循環のスパイラルが、底なし沼のように続いているようだ。

町を活性化させる手っ取り早い方法としては、町外からの人とカネを集めるよう仕掛けることだが、町も各団体も、そのアイディアすら出てこないような状況にあるらしい(アイディアはあっても、それを実行する金がない、というのが現実のようだ)。

数年前まで、僕の畏友が大鰐町内にある小学校で教鞭を執っていたのだが、児童が「どうしたら大鰐町が金持ちになれるか」なんてことを平気で(しかも真剣に)口にしていたというのだから、事態は本当に深刻だ。

関係者といろいろ話をしながら策を練ってみるものの、最後は「何をするにもお金がない」の一言。それも、まるで万策尽きたような口調である。
どうやら町の財政事情のみならず、町民の中にも「金がないので何もできない。」と意識が深く根ざしてしまっているらしい。
どちらかというとあまり自分のことを多く語りたがらない人が多い、という話を聞き、この地域は山菜採りを好む人が多いのだろうか、と思ってしまった(山菜採りは、家族を含め誰に対しても死ぬまで自分のテリトリーを誰にも明かさない人が多い)。

スキー客や温泉客が闊歩したかつての賑わいを、朧気ながらではあるが知っているだけに、このまま衰退の途を辿るのはあまりにも寂しい。

もはや大鰐町に投入するカンフル剤はないのだろうか…。
だた、この町にある「いこい食堂」の手打ち中華は美味い。駐車場がないのが玉に瑕だけど。

2 thoughts on “大鰐町のこと

  1. shinyai

    貧すれば鈍する、ですね、まさに。
    お金なくてもできることって、いろいろあると思うんですけどね、気持ちが落ち込んでしまうんでしょうね。
    Gremzに動物が出ていたので、キャプチャしておきました。気付いてました?
    http://www.flickr.com/photos/shinyai/3748748719/

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  2. nonvey

    全くその通りですね。
    一部の人は頑張っているんですけどねぇ…。
    gremzには、実はこれまでもちょこちょこ動物を登場させています。ブログの内容と、キーワードが一致するかで変わるそうです。

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