三種の神器

最近、青森県内の大型店舗などで、これがあれば何とか店が持つだろう、と思われているもの。
『ドトール、100円ショップ、ドラッグストア』
以前は
『マクドナルド、100円ショップ、雑貨屋』だった。
弘前駅に隣接するテナントビルが今日、改装を終えて開店した。予想通り、この「三種の神器」が入店。
しかし「神器」というには古すぎるというか、この手法で売り場スペースを稼ごうという発想から、いい加減脱却できないものだろうかと思う。
まだ開店の広告を見ただけなので何とも言えないのだが、このままだと弘前市内の大型店舗は、どこもかしこも金太郎飴で、魅力が全く感じられない。


弘前駅は、青森県内の中では3本の指に入る乗降客がいる。中でも観光客の占める割合は高いと思われる。
でも、今日改装オープンした駅ビルの全体を見ると、1階はミスタードーナッツにコンビニ、ドラッグストア(マツモトキヨシ)と地元名産品を扱う店が配置され、2-3階は洋服や鞄を扱う店が多く、特に3階は3分の1が100円ショップ。更に、駅に隣接しているにもかかわらず、旅のお供には必需品と思われる書店やCDショップが完全に消え、4階にはエステが入店しているのだ。同じ階に以前あった飲食店はほとんど消え、フロアーそのものに空きスペースが目立つ。
これでは、観光客が喜んで立ち寄るという雰囲気があまり感じない。
地元の物産品を取り扱う店はあるとはいうものの、スペースそのものは大分小さいようだ。例えば地元のおみやげ品を販売するような店を思い切ってワンフロアにまとめたり(もちろん店そのものを集めるのが大変だとは思うが)、中には実演販売するくらいの店があってもいいと思ったのだが、やはりそこまで期待をするのは無駄だったようだ。
24時間営業のコンビニ(サンクス)まで入店していることにはちょっと驚いた。駅から直近という利便性を考慮すると、確かによさそうな気がする一方、わざわざテナントとして入店させる必要があったのかという疑問も拭えない。というのも、近くにコンビニはあるからだ。競争を図ろうとしているのかも知れないが、最近の駅周辺の利用状況を考えると、共倒れする可能性も否定できない。
僕に言わせてみれば、コンビニなんてすぐそばにあるから必要ないわけだし、衣料品だって他で買うことが出来る。だったら、駅に隣接というメリットを最大限生かすためにも、生鮮食品を扱え、とまでは言わないけど、例えば電車の中でも食べられるような惣菜を扱うような、小さな店舗を数店舗集めてみるとか、思い切って、リンゴで出来た商品(パイやジャム、生ジュースなど)ばかりを扱う店を一つおいてみるとか、これまでにはない斬新さを持ったというか、地元民でも一目置くようなスタイルのテナントを集めて欲しかった。
特に100円ショップ。
なぜ、これほどまで青森県、とりわけ弘前の人間は100円ショップが好きなのだろう。
僕に言わせれば、105円を払う価値のある商品は1割で、残りの9割は「がらくた」ばかり。
ホント、「空き店舗→100円ショップ」の構図には辟易。
確かに、僕みたいに毎日通勤している者もいるわけだし、そういう意味では客層のターゲットを絞るのが難しいのも事実。しかしこのままでは、電車通勤する学生(高校生)の溜まり場となるだけで、観光客がお金を落としていくような魅力的な建物にはなり得ないだろう。
要するに、何だか中途半端なのだ。観光客にも利用して欲しいけど、地元の人も来て欲しいし、通勤通学客にも立ち寄って欲しいし…と、ターゲットが見えない。もう少し客層を絞り、かつコンセプトを持って臨めば、こんな「どうでもいい寄せ集めのテナント」にはならなかったような気がする。
このままだと、いわゆる「勝ち組負け組」が、時間の経過とともにハッキリ分かれるだろう。そして、「負け組」は結果的に空き店舗となり、客が寄りつかなくなり…という悪循環が待っているような予感がしてならない。
12日には弘前駅が改装工事を終え橋上駅化され、東西を繋ぐ自由通路も開通する。長く地元で生活する者の一人として、弘前の玄関口にふさわしい駅が出来ることに誇りを感じながらも、誰が来ても恥ずかしくないような店づくり、街づくりを考える岐路に立たされているのではないだろうか。
このままでは、「弘前には100円ショップしかない」と笑われるぞ。

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