公共交通機関としての路線バスを考える


今日は、ちょっとだけ真面目ぶったお話。
突然ですが皆さん、最近いつ路線バスを利用したか、覚えていますか。
僕もかれこれ2か月ぐらい利用した記憶がありませんが、実のところ僕の身近なところでは、多くの方が「いつ利用した記憶がない」ぐらい路線バスを利用されていないのではないかと思います。

「路線バス」と聞けば僕はまず、太川陽介と蛭子能収のゴールデンコンビがパッと目に浮かぶわけですが、あの番組を見ていても、とりわけ地方の山間部や県境付近に行けば行くほど路線が繋がっていなかったり、運行時間がとんでもなく間延びしていたり、民間主体の路線バスではなく行政主体のコミュニティバスが運営されていたりするのが実態で、かなり苦労しながら旅を続ける姿が放映されていますよね。(…って、皆さんあの番組をご存じだろうか。)

車社会と言われて久しい昨今、道路がどんどん整備され、マイカーでの通勤はごく当たり前のこととなり、ご子息の通学の送迎、そして夜の塾の送り迎えにもマイカーを用いる、そういう方が多くなったのではないかと思います。(…うちらの頃は考えられんわ。)

路線バスは公共交通機関の一つではあるとは言うものの、実際のところは人口減少や車社会の発達により、利用者数はどんどん下がっているのが現状。特に地方に行けば行くほど苦戦を強いられているようで、青森県内においても先月、南部地方のバス会社が民事再生法適用の申請を行い、岩手県のバス会社に事業譲渡することが明らかとなりました。

同じ公共交通機関でありながら、鉄道とバスが大きく異なるのは、鉄道網の場合は動脈のような役割を担う一方、路線バスは毛細血管のような役割も担わなければならないということ。
そして、恐らく路線バスを利用しない一番の理由は、その必要性がないから、ということに尽きるのかも知れませんが、前述の毛細血管の末端に行けば行くほど、地元の足として存続させなければならない、という言葉を耳にします。不採算路線であろうとも、じゃあ実際どれだけ利用されているかというと、さて…ということにもなりかねないわけですが、一方で、その末端に近い路線でこそ黒字をはじき出している、ということがあるようです(弘前市内では、そういうデータが過去に示されたことがあります)。なので、郊外の方だからバスに誰も乗らない、というのは大きな誤解であることは、一応付しておきたいと思います。

僕は専門家ではありませんが、一般市民の見地から、これからの路線バスがどうあるべきかを少し考えてみたいと思います。

昨年4月、僕の家のすぐそばを走るバス路線が、事実上廃止されました(朝6時台に弘前駅へ向かう1便のみ運行)。弘前駅を出発し、市中心部の土手町を抜け、大学病院、弘前市役所の前を通り、僕の卒業した中学校の前を通ってから再び弘前駅へと向かう、循環型のバス路線でしたが、特に日中の利用者はほとんどないような状況が続き、とうとう廃止となってしまいました。廃止後は近くを走る路線バスの一部ルートを変更して代替性を保っているようですが、見たところこちらの乗車率も芳しくないようです。しかしながら、前述の通り毛細血管的なルートでもあることから、路線廃止までには至らないようです。

なぜバスが利用されなくなったのかというと、
・そもそも自分が行きたいところまで行かない
・バス停に行くまでが面倒
・時刻どおりに走らないし、渋滞などに巻き込まれ、時間を要する
・料金が高い

などといったことが挙げられると思います。実際、うちの近所を走っていた廃止路線は、市内を遠回りしながら走ることとなるため時間を要しており、僕も路線バスを利用する時は、家から100メートルもない至近距離にあるバス停ではなく、約500メートル離れたバス停まで歩いていました。(実際そちらのバス停を通過する路線の方が本数も多い。)

ちなみに。
弘前駅を出発して、僕の家から500メートル離れたバス停を通るバスの最終便は、21時35分発。20時42分に青森を出発する電車に乗車すると、このバスにちょうど間に合うという計算になりますが、実際のところ最近では、よほど悪天候の時以外はほとんど乗車することがなくなりました。なぜなら、弘前駅に電車が到着した直後に歩いて家に向かうと、大体このバスに追い越されるのが、僕が下車するバス停のすぐ手前だからです。直線距離にして約2キロ、弘前駅からこのバス停までは210円。回数券も持っていますので、バスに乗ってくればいいじゃない?と自分でも思うのですが、酔い醒ましも兼ねて歩く、ということに慣れてしまうと、バスに乗車するきっかけって減ってしまうものなのです(…というバスに乗らない言い訳)。一時期22時台のバスが運行されていたことがあり、そちらは青森市内での飲み会の後でちょこちょこ利用していましたし、乗客数もそれなりにいたように見受けられたのですが、あっという間に廃止されてしまいました。まあ、運転手の負担や採算を考えた上での廃止だとは思いましたが、タクシーのように割増料金を取っても運行して欲しかったなあ、と思うことがあります。(ちなみに駅から家までタクシー利用だと1,100~1,300円程度)

信号や道路事情など、様々な要因で遅れてしまう。それが路線バスの常であります。
他方、鉄道路線の廃止が取り沙汰され、その代替案としてバス運行を提案しても、地域住民は頑なに鉄路にこだわろうとします。

東日本大震災で大きな被害を受けたJR大船渡線や気仙沼線では、一部区間においてBRT(Bus Rapid Transit, バス高速輸送システム)による「仮復旧」を行っています。鉄路としての復旧には莫大な経費がかかることを鑑みると、恐らく現状では「仮復旧」が「本復旧」になるのではないかと思います。

それでもなお鉄路にこだわるのは、恐らく周辺の大きな都市との「繋がり」を鉄道で保ちたいからなのだろうな、という気がします。そして、鉄道があるから優位だとか、そういうことではないとは思うのですが、廃線=地域そのものが寂れているか廃れているという誤解や、一気に寂れてしまうか廃れてしまうという懸念・認識を与えるということも、廃線に対する抵抗が根強い理由の一つなのではないかと思います。

さてさて。鉄路の話をしたからでしょうか、話がちょっと脱線してしまったので、軌道修正。

どうしたら公共交通機関としての路線バスをうまく存続することができるか、ということをふと考えてみたわけですが、車社会の到来が足かせになっていることを認めつつも、一番大きな問題は、ダイヤの見直しはしても、路線の見直しを行っていないからじゃないか、と思うことがあります。
路線バスがどこから発着するかというと、大概が駅やバスターミナルを起点とし、そこから路線は放射線状に広がったものになっています。
確かに交通の要衝(動脈)である鉄道の駅を起点として、放射線状に路線(毛細血管)を張り巡らせるというのは、ごくごく当たり前の考え方だとは思うのですが、現実問題として、駅が一番混雑するのは朝と夕方ではないでしょうか。私も毎朝駅を利用していますが、各地から駅を目指してやってくる朝の路線バスには結構な数の乗客がおり、この時間帯だけを見る限りでは、決してバスが閑散としているという印象は受けません。
しかしながら、それ以外の時間帯に駅を利用する人というのは、なかなか限られてくるような気がするのです。
弘前市の場合、市役所や病院を迂回して運行されている路線バスが相当数ありますが、実際そこを利用したいと思って乗車している人はどれぐらいいるのでしょうか?
路線バスの終点、すなわち毛細血管の末端の地域にいる人たちが目指したいのは、本当はどこなのか。これは一概に一か所だけを指すことは難しい問題ですよね。最小公倍数の世界で、目指すところは通したい、と思うからああいう複雑なルートを辿るバス路線があるわけで。
ただ、数の中には明らかにこの時間帯でここを通る必要はないだろう、と思う路線もあるような気がするのです。放射線の上にかぶせた網目といえばいいのでしょうか、縦と横の組み合わせといえばいいのでしょうか、鉄道と異なり、乗り継ぎ等の利便性に乏しいというのも、路線バスを利用しない理由の一つなのかも知れません。
奇をてらったところで例えば、飲み屋街のすぐ横から出発する夜だけのバス、とか。…あ、でもこれは車内が汚される可能性が高いから危険か。

弘前市には市営バスがなく、路線バスは民間事業者一社のみによる運行ですが、地域の足を支えるという点からも、行政の力添えなくして運行を継続するのは非常に難しい時期に差し掛かっているのだと思います。路線バスのライバルはタクシーではなく、マイカー。そしてそれはもはや、太刀打ちできないほどに増え続けているのが実情。

人口減少も進む中、利用者が減っている事業者にしてみれば、一刻も早く廃止したい不採算路線がたくさんあることと思います。住民サービスの一つとして行政主体のコミュニティバスなどに切り替えている例もたくさんあるようですし、実際弘前市内でも、駅を起点とした循環バスを運行しており、観光客も含めた利用が見受けられます。今はまだ議論にはなっていませんが、仮にそれ以外の毛細血管に血が行き渡らなくなった時にどういう事態を引き起こすかは、言うまでもないと思います。

既に有識者による路線バスをはじめとする公共交通機関のあり方は多くの地域で議論され、行政をはじめとする手厚い支援もされているようですが、南部地方のバス会社による民事再生法適用の申請は、決して対岸の火事ではないと考えた方がいいと思います。金融機関が県を跨いで連携を始めつつある中、いよいよバス業界にも、そういった波が押し寄せているのだろうか…こういうのを皮切りに業界再編が本格的に始まるんじゃないか…なんてことをふと考えた次第です。

でも、関係ないんですけどこれはダメでしょ。

路線バスではなくて貸切バスなのですが、忘年会の送迎で来たようです。完全に横断歩道塞いでます。降りてきたガイドと運転手を睨んだら、思いっきり睨み返されました。交差点内って、そもそも駐停車禁止じゃないんでしたっけ?バスもタクシーも、交通ルールを都合のいいように自己解釈し過ぎだと思います。実はこういうのが嫌で、公共交通機関を利用しないというのは、僕だけなのかな。


投稿者: のんべ

1971(昭和46)年 青森県生まれ。弘前市在住の青森県職員。 プリンスとビールと豆腐とラーメンを愛する。安い一眼レフカメラでいかに安っぽくない写真を撮影するかに興味あり。 ブログの内容の多くは、いつの間にか趣味となった「走ること」がメインです。

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