5年ぶりのハーフマラソンは地獄 #八戸うみねこハーフマラソン

大会当日の朝6時に弘前を出発、在来線2本と新幹線を乗り継いで2時間、会場に到着した8時頃には、既に20度を超えていることを知る。

最寄りの八戸線・陸奥湊駅。下車するほとんどがランナーでした。

開会式でのアナウンスでも「今日は暑くなるので記録を目指さないように」と訴えている。

10時のスタートまで1時間ちょっと。日差しを遮るところがほとんどないのは辛い。朝から既に1リットル前後の水分を補給、更に500mlのペットボトルを手にしていたが、それも3分の1以上空いている。

会場の館鼻岸壁。暑さで完全に戦意喪失。

スタート15分前。控えめに後方へと陣取る。キャップを忘れて来たことを激しく後悔する。
そしていよいよスタート。5年ぶりのハーフマラソンが始まった。
多少風があるものの、暑い。しかも往路はほとんど追い風となり、既に汗が噴きこぼれている。
設定タイムは1時間50分。あわよくば1時間45分。

前半は1キロ4分50秒~5分00秒でラップを刻みながら、順調に歩を進める。先行している仲間を追い抜く際にも、軽く一言二言掛けるぐらいの余裕。ホントに余裕だったのだ。しかし、この余裕が油断となり、そして足かせとなろうとは。

一通りのアップダウンがようやく終わり、折り返し地点となる10㎞過ぎから、身体に異変が現れる。

まず、突如現れた疲労感。走り込みが足りないという自覚もあったが、エネルギーが枯渇。ハンガーノックのような状態に陥る。往路のアップダウンは復路のアップダウンでもある。走り始めれば5分15秒ぐらいのペースで走れるのだが、それが長続きしない。走っては歩き、の繰り返しが始まる。やがて走るより歩く距離の方が長く感じられる。こうなったら小刻みに繰り返していくしかない。

もっとも、アップダウンがあるだけ、まだメリハリがあって良かったのかも知れない。

蕪嶋神社が見える辺りまでやってくると、ようやく16km地点へ到達。ここから平坦な道のりが続く。往路で追い抜いた数名のメンバーには追いつかれ、後塵を拝することとなったが、別に悔しいという気持ちすら湧いてこなかった。

16キロ付近から蕪島を望む。この付近から思考回路がショート。

それよりもあと5kmもあるのかと考えると、げんなりしてきた。
更に嫌なのが、残りの3㎞が直線ではなく、何度も何度も右折左折が続くこと。

汗はもうほとんど出ていない。代わりに顔にはザラッと塩が浮いているのがわかる。
もしかしたら、この時点で既に熱中症になりかけていたのだろう。残り2㎞、何となく頭がぼーっとしている。惰性で走っている感じ。今思えば、よくそんな状態で走っていたな、と思うわけで。

そういえば、救急車のサイレン音が遠くでずっと聞こえている。
開会式直後、程近い距離で女性がケーブルみたいなものに足を引っかけ、鈍い音を立てて転倒、顔から流血しているのを見た(その後救急車で搬送された模様)。
その直後には、アップをしていた男性が段差に足を引っかけ、豪快に転倒する姿を見てしまった。
自分も気をつけないといけないな、なんて思いつつ、既に炎天下に晒されていた時点でアウトだった、ということなのだろう。

残り1km。既に走り終えていたSさんが僕のことを見つけ、声を掛けてきた。そこでハッと目が覚めた感覚。
ふと時計に目をやると、スタートしてから間もなく2時間が経とうとしていた。ハーフマラソンでこれほど時間を要したのは、過去に同じような酷暑で全く走れなくなった「日本海メロンマラソン」以来。このままだと、ちょうど2時間でゴールすることになりそうだ。

…待てよ。ダラダラしていたら12時39分発の列車に間に合わない!そこから次発の列車まで1時間待つのは、ちょっと辛すぎるぞ!と思ったら急に気力が沸き上がり、1時間59分50秒という絶妙なタイムでゴール。
実はゴール直前で1時間59分59秒を狙ったことは、今だから明かそう。
ちなみにこのタイムは、これまで出場したハーフマラソン大会ではワースト2位。あー情けない!
そしてゴール後、水が欲しい…と思ったらそこに水はなく、まずは完走証を受け取れ、とな。うう…まずは水が欲しいぞ。
完走証を受け取り、給水ブースへ。しかし、この後に本当の地獄が待ち受けていた。

ゴール直後。全身から吹き出した汗が乾き、ウェアが真っ白に。実は頭の中も真っ白。Aさん撮影。

ところが、給水ブースへたどり着くと、「すいませ~ん、水が切れました~」と。マジか。

仕方なくアクエリアスを一口入れ、時計を見たら蒼褪めた。駅までは1㎞ちょっとある。間に合わないぞ、ということで挨拶もそこそこに陸奥湊駅に向かう。近くにある銭湯にも立ち寄らず、黙々と駅に向かう。
しかし、足どりが重く、身体も怠い。頭痛もするし、軽い吐き気も。これって、完全に熱中症じゃないか。
人目につかないところで着替え、列車に乗り込む。大勢の乗客が乗り込んでおり、座る席はなさそうだ。
つり革に掴もうとしたら、目が回ってつり革をつかみ損ねる。おっと、今度は眩暈か。と、たまたま空いている席を見つけ、思わず座り込む。そこからの記憶はまだら。食欲もなく、八戸駅で購入した炭酸水を流し込み、すぐにやってきた新幹線で新青森に向かい、一路弘前へ。新青森駅で弘前へと向かう奥羽線のホームに佇む頃には、完全にグロッキー。よくこんな状況で無事に自宅まで帰って来たものだと、我ながら呆れる。

結局、フラフラで帰宅した直後に口にしたパピコ1本で一気に回復したことに鑑みれば、なぜこれを八戸でやらなかったのかと思うところもあるが、そんな余裕もなかった、ということ。

この日参加した仲間たちと。この他にもたくさんのラン仲間、ラン友が激走。皆さんありがとうね!

とにもかくにも、練習すらまともにやっていないまま、よくもまあ大会に出場したなあ、という話でした。最後にふり返り。今後に繋げられればいいんだけどねぇ。

不足してたもの:水分、塩分、固形物、日よけ、練習、気力、体力、負けん気
余計だったもの:体重、気負い、自意識