4年ぶりのフルマラソン(後半) #NAHAマラソン

前半から続く)
周囲を走る人のゼッケンの大半がCとなり、AやBのランナーも混じるようになってきた。結構な人数を追い抜いてきたのかも知れない。しかしここまでやってくると、地力のあるランナーがしっかりとペースを刻んでいるのがわかる。
ふと、総合1000番以内に入ると、明日の朝刊に名前が掲載されることを思い出した。
今どの辺の順位なのかは知る由もないが、このまま走ったら案外1000番以内も狙えるかも知れない。
いやいや待て待て。ゴールは4時間半がターゲットなのに、そんな欲を出してどうする?
欲が出ているということは、走りに集中できていないということ。道路を蹴る足音もどんどん大きくなっていることに気づく。まずはいったん落ち着こう。
中間地点を通過。1時間55分って、上出来。さすがに後半は落ち込むだろうけれど、4時間半を切るには十分過ぎるペースだ。

気分を高揚させながら先へ進む。 25㎞付近の「ひめゆりの塔」には立ち寄らず、手を合わせるだけでご容赦を。
今回参加者に配られたTシャツには、「No Run No Life」と描かれていた。

今年の出場記念Tシャツ。

僕が着用しているシャツには、「No Apple, No Life」と描かれている。
25kmを過ぎた辺りで「No Apple, No Life、頑張れ!」と初めて女性に声援を送られた。

無性に嬉しくなり、手を挙げながら「ありがとう!」と返答した。
続いて30km手前。坂を下りきった付近、一人声援を送る男性。

笑みを浮かべながら手を挙げると、「その調子!行けます!行けます!いい笑顔です!」と声を掛けられた。
30km通過が2時間40分であることを電光掲示板で確認。これならペースを落としてもグロスタイムで4時間切れるじゃないですか!
ということで、ここからターゲットを4時間に上方修正しつつ、ペースを落とし、雰囲気を楽しむことにした。
もう少し頑張れは明日の新聞掲載も見込めるのかも知れないが、それが目的で走っているのではない。何せ4年振りのフルマラソン。無理は禁物。そして、欲は封印しないと。
顔や腕に手を当てると、ザラッと塩が浮き出ているのがわかる。両足もピクピク疼き始めている。脚攣りの前兆が現れていた。そしてここに来て、予想通り向かい風が吹いてきた。
風除けとなりそうな人を探せば良かったのだが、レース勘が戻っていないこともあり、そんな余裕はなかった。


糸満市の32km付近。橋を渡っている時に、川から大きな声が聞こえてきた。見ると、複数のカヌーに乗った学生(おそらく高校生)たちが声援を送っている。その姿に手を振ると、「おーっ!」と言って更に手を振って答えてくれた。
33km付近だろうか、吉野家の牛丼を無事に発見!
がしかし、口に運んだ途端、口の中の水分を一気に持って行かれた。

9年振り!日本最南端の吉牛で食べる、カップ牛丼!

「そばもありますよー!」
マジか!そっちにすれば良かった…。
ちなみに、ビールを提供する私設エイド、流し素麺、マッサージなど、エイドを見ているだけで楽しく、嬉しくなる。沖縄本島の住民にとってNAHAマラソンはきっと、お祭りみたいなものなのだろう。
糸満市から豊見城市にかけては、子どもたちがエイサーを演舞する姿を幾つか見かけた。その健気さに元気をもらい、走りながら拍手を送ったら、それに気づいた女子が太鼓を叩きながら満面の笑みを返してくれた。
そんな感じで、沿道からたくさんの元気をもらいながら走っていたが、チキンラーメンのキッチンカーはついに見つけることができなかった。口の中がチキンラーメンを欲していたため、これにはちょっと萎えた。というより、見つけられなかったショックが大きかった。
35km手前から、とうとう歩くと走るを交互に繰り返すようになった。それでもサブ4は充分達成できるペース。
辛い表情は浮かべたくなかったが、さすがにここまで来ると辛いと感じるようになった。
38km手前からは、徐々に歩く距離が長くなってきた。それなのに走り始めると、結構いいペースまで上げることができる。心が折れていたわけではなかった。
結局、残り1kmを切ってもなお、走ると歩くを繰り返していた。最後、陸上競技場に入ってからもう一度ペースを上げた。
ああ、楽しかったなあ。マラソン、やっぱり面白いなあ。ゴールゲートをくぐり、コースに向かって深々と一礼。沿道からの応援、私設エイドの設置、本当にありがとうございました。

ネットから発行された完走証

35km付近から完全に「流し」に入ったが、3時間57分15秒。まさかサブ4とは思わなかった。練習も積まない中で臨んだ復帰戦にしては、上出来だろう。ただ、久し振りのレースだったのでもう少し感動するのかと思ったら、意外と淡々としていた。
ひょっとして今日の走りっぷりには満足していない? 自問自答するも、答えは見つからなかった。

真の意味での「完走」ではなかったけれど、頑張りました。

中間地点を過ぎた時点で1時間55分、ゴールが3時間57分なので、後半の落ち込みは最小限だったと言えるだろう。35km手前から失速したのは予想通りだが、全く気負いも緊張もなく、淡々とペースを刻むことができたのは小さな自信になった。ブランクがあるとはいえ、走りながらの給水も難なくできたし、そんな極端に感覚は失われるものではないのだな、という実感があった。

おおお…途中まで1000位以内に入っていたんじゃないか!

何より、大会を心ゆくまで楽しむことができたというのが、今回一番の収穫だろう。
次をどうするのかは、現時点で全くの白紙。ただ、無駄な抵抗かも知れないが、もう少し実年齢に抗ってみようかと思った。
来年は、今年の自分に打ち勝つのだ。

また来たい!そして、この声援に最後まで応えたい!