JOY POPS / INNER SESSIONS #joypops

まさに阿吽の呼吸。ギター2本で生み出される楽曲に、ここまでの幅を持たせることができるのは、恐らく国内ではこの2人を置いて右に出るものはいないだろう。

ライブで聴いたとき、あー、この曲のスタジオ録音した音源も聴いてみたいなあ、なんて叶わぬ淡い期待を抱いた事が思い返される。まさかその期待が、こんな形で叶うとは!

よもやの発表となったJOY POPSによるミニアルバム「INNER SESSIONS」。このタイミングでのスタジオアルバム発表に小躍りしつつ、凄いのをぶち込んで来た!と独りで興奮してしまった。


今回のコロナ騒ぎでツアーが延期となった頃、公平から「レコーディングやろうよ」とのアイデアが。
幸い新曲も煮詰めていたので「この機会に録るか」という事に。
二人のギターと歌を中心にいい感じに仕上がったよ。
皆さんお楽しみに。

村越 弘明

JOY-POPS 2020年ライブ・ツアーの直前に全公演延期を決定せざるを得なかった
僕らの行き場を失った心に再び火を灯すべくレコーディングを決行、
外界を遮断し最少人数(僕らとエンジニアだけ)によるスタジオ作業に掛け値なしの
「今の二人のハートビート」を突き詰め、集中させた音像は
過去に聴いたことの無いようなサウンドになったと自負しているよ。
今年何事もなくツアー延期で待っていてくれる皆さん。
このセッションを聴いて思い切り楽しんでくれよ。
ハリーちゃんとのスタジオレコーディングは何と20数年ぶり、
この年月で変わった、あるいは変わらない僕らのとてもいい部分が凝縮され
音に現れているはずだよ。
この音はヤバいね~~という皆さんの感想が聞こえてくるようです(笑)。

土屋 公平

二人からのコメントからも、期待感ばかりが高まる。

7月10日に、アルバムが送られてきた。早速聴いてみる。
…ヤバいね。確かにこれは、ヤバい。
久し振りにギュッと心を鷲掴みにされる音を聴いたような気分。

The Street Slidersの双璧による、ギター2本のセッションで生み出された、「イカしたヤバい音」だった。(当然のことながらThe Street Slidersのメンバーだったジェームスのベースもなければ、ズズのドラムもないが、ギター以外の音については、公平さんが担当している旨のクレジットあり。)
アルバムに収録されているのは、昨年のライブでも披露された「デルタのスー」「新しい風」、The Street Slidersのセルフカバーとなる「陽炎の道」「Boys Jump The Midnight」、更には2020年に予定されていたツアーのために書き下ろされたという「曇った空に光放ち」「おれの悪魔」の全6曲。

うまい表現が見つからないが、曲が流れる28分足らずの間、正座しながら固唾を飲んで聴き惚れてしまう…そんな珠玉の音の数々が並んでいる。

気がつけばハリーさんは既に還暦を迎え、公平(蘭丸)さんも今年還暦を迎える。お二人とも年齢を重ねた結果、いい意味で刺々しさがなくなり、円熟味を増した。例えるならばそれは、The Street Slidersから移し替えたJOY POPSという名の樽の中で、ずっと熟成されている蒸留酒みたいな。
我々アラフィフ世代にはとても優しく、でもどこか懐かしい音を奏でてくれるのは、非常に嬉しいこと。

今回のミニアルバム、(残念ながら)ベースの音もドラムの音もないので、僕らが30年以上前に聴いていたズンズン系のロックンロールではなく、一昨年前のツアーでも披露された「新しい風」を筆頭に、公平さんがギターで醸し出す「いぶし銀」のようなブルースっぽさに更なる磨きがかかり、それがまた、ハリーさんのしゃがれた声と程よいバランスが取れていて、非常に心地よい。

そんな中にあって今回、思い切ったアレンジが加えられた「Boys Jump The Midnight」には、彼らの今のポジション、そしてこれから進んでいくであろう方向性が暗示されているようにも思えた。

ただ、残念ながらこのアルバム、6月20日までの完全限定受注生産とのことで、既に入手不可となっておりまして、ハイ。(オークションで高額販売している輩もいるみたいですが、手を出すかどうかは皆さん次第です。)