Category Archives: ライブ・コンサート

サザンオールスターズ LIVE TOUR 2019 札幌公演(初日)鑑賞記

ネタバレはしていないつもりですが、もしもネタバレと感じてしまったらごめんなさい。

サザンオールスターズのライブを6年ぶりに鑑賞してきた。昨年9月、北海道胆振東部地震の支援活動で厚真町を訪れて以来、約9か月ぶりの北海道。
移動中の機内、そして車窓から北海道の風景を眺めながら、当時のことだけではなく、なぜかぼんやりと父のことを色々思い返していた。


僕にとってサザンオールスターズは、晩年の父と交わした数少ない言葉の媒体だった。無期限活動停止を発表した後の最後のライブ。雨降る日産スタジアムで観た、最初で最後のサザンオールスターズ。

「面白がったが。」「ああ、いがったよ。」

そんな短い会話のやり取りだったような気がする。しかし、ライブの余韻に浸る間もなく、2週間後に父がこの世を去った。

それから5年後、サザンオールスターズは復活を遂げた。復活ツアーのファイナルとなった宮城スタジアムで観たライブ。5年前の横浜が、僕自身にとって最初で最後のサザンではなかったと感涙に咽びながら、父が二度と戻ってこないことへの寂しさを、ひしひしと感じることとなった…。


札幌に到着したのは15時近く。開演は18時だが、ここからの移動を考えるとあまり時間がないと思い、手早く用事を済ませてホテルにチェックインした。初めて訪れる札幌ドームへは、地下鉄南北線(さっぽろ→平岸)250円と、シャトルバス(平岸→札幌ドーム)210円で移動した。

地下鉄東豊線を利用すれば、札幌ドームの最寄り駅となる福住駅まで15分もかからずに移動できると聞いていたが、混雑を鑑みれば他のルートで移動した方が良い、とのアドバイスを受けていた。結局往路は40分ぐらい、復路は30分ぐらいを要しただろうか。行きも帰りもバス(普通の路線バスの車輛)は立ち席となってしまったが、まあ、駅までの行列に苦悶し、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車に揺られるよりはマシだったかな、というのが率直な感想だ。

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山下達郎 PERFORMANCE 2018(0720仙台公演) #山下達郎

遅ればせながらの観戦レポート。
このお方のコンサート会場に足を運ぶことは、僕らにとってもはや毎年の「恒例行事」となりつつあります。(チケットを入手するという大前提で、ですが。)

コンサートの序盤、そして終盤、更に締めくくりは、もはや「定型化」されたセットリスト。そして、何度も耳にした定番のナンバー、更には、毎度同じ顔ぶれのバンドメンバー。

それでもなお、飽きることなくまた何度でも足を運びたくなるのは、それだけクオリティの高い、濃密な内容だからなのでしょう。

今年は6月から11月までの全24都市49公演。残念ながら今回は青森での公演がなかったため、仙台で行われる2日間の公演の先行予約に申し込んだところ、仙台の初日、7月20日(金)のみチケットを入手することができました。

20日の午後から休暇を取り、東北新幹線で仙台へ。考えてみると、妻と二人で新幹線に乗車するなんていつ以来だろう…そんなことを考えつつうたた寝をしていると、あっという間に仙台に到着。
ホテルへのチェックインを済ませ、地下鉄南北線で勾当台公園を目指します。

今回の会場は「東京エレクトロンホール宮城」。
昭和39年に竣工した時から「宮城県民会館」として運営されていましたが、平成27年から「東京エレクトロンホール宮城」という、仙台なのに東京という不思議な名称に改称されました。
勾当台駅公園から歩いて約5分のところにある会場へ到着。身分確認等で大混雑しているのだろうと戦々恐々としていましたが、全くの杞憂でした。ビックリするほどスムーズに会場の中に入り、そのままグッズ売り場へと向かうと、既にこちらは大行列ができていました。開演まではまだ40分以上もあるし、席に座っても退屈なだけだと思い、汗をかきながら行列に並ぶことにしました。

20分ほどでお目当てのツアーグッズを購入し、いよいよホールへと足を踏み入れます。仙台サンプラザホールぐらいの規模(2000人程度)だと思っていたら、キャパ数は1600人程度という非常にこぢんまりとしたホールで、幾度となく地震などの災害に伴い改修工事が行われたようですが、それでもなお近代的な建物とは遠くかけ離れた、歴史を感じさせる素敵なホールでした。

1階の左手後方の座席は正直言ってかなり窮屈でしたが、それなりに後方でありながらステージの全景を確認できるぐらい近い距離に感じられたのは、会場の大きさによるものなのでしょうか。(舞台袖があったのも影響しているかも。)

18時30分の開演に合わせてホールにはどんどんお客さんがなだれ込んできますが、1階の一番後ろには立ち見席も設けられたようで、既にそちらにもかなりの人数の方の姿がありました。

開演前のアナウンス。
あれ?と思ったら、この日だけの特別なバージョンだそうです。この日は、今回7年ぶりに主題歌等を提供した、細田守監督の長編アニメ映画「未来のミライ」の公開日。ということで、声優を務めた上白石萌歌さんが特別にアナウンスを行っていました。

18時35分、いよいよ開演。
まだツアーの途中ですので、あまりネタばらしはしない、ということで、幾つかトピックスを。

・相変わらずの声量。そして、久し振りにアレが復活。
・そういえば珍しく、2度歌詞を間違えていました。
・MCでは会場にまつわるエピソードの他、MCの最中に合いの手を入れてくる観客を一喝するシーンも。確かにうるさいオッサンだった。人が話している時は静かにしましょうね。
・仙台はお母様の出身地ということで、翌日の公演では親戚の方が観覧に来る、というお話をしていました。
・客層は50代~60代の方がかなり多かったでしょうか。曲の合間にトイレへと足を運ぶ方も結構いたような気が…。
・毎回恒例のカバー曲、今回は色んな意味で驚きました。えっ?それやるの?みたいな。
・他者への提供曲は、好評だったという「あの曲」を再び披露。
・アルバムを製作する話をしておりました。が、これはいつものことなのであまり期待せずに待ちましょう。
・久し振りに演奏する曲、今回初めて演奏する曲、新旧織り交ぜて本当に楽しめました。あの曲とあの曲は嬉しかったなあ。

おっと、ちょっとネタをばらしすぎたかな?
正味3時間にも及ぶ、充実過ぎるぐらいの内容。幕を下ろしたのは、21時45分を過ぎてからでした。
今回は落涙することもなく、最後までしっかりとステージを凝視することができました。

毎回ツボを突かれますが、今回も始まる前に「聴きたいなあ」と思っていた楽曲が披露され、驚きと嬉しさと。
それにしても、本当に歌がうまい。65歳で年金受給者になった、と笑っていましたが、年齢を感じさせないバケモノです。そして、安定感抜群のバンドメンバー。ステージ上でアドリブ込みのセッションを楽しんでいる、そんな雰囲気に見て取れました。

ちょうどツアーの4分の1が終わり、脂の乗り始めた時期だったといったらいいでしょうか、思った以上にお客さんのノリもよく、本人も絶好調、といった感じでした。今年は野外フェスにも参加するようです。きっと素晴らしいライブを披露することでしょう。

正直、アルバムの製作にはあまり期待していませんが、ライブは毎年期待を寄せたいところ。また来年も観たいなあ。

#岡村靖幸 2018SPRINGツアー 「マキャベリン」 青森公演 観戦記【ネタバレあり】

隣(となり)の芝生(しばふ)は青(あお)い

《The grass is always greener on the other side of the fence. の訳語》

何でも他人のものはよく見えること。隣の花は赤い。

転じて、自分が観た以外の他県のライブが羨ましく思えること。

4月21日、青森市で開催された岡村靖幸スプリングツアー2018「マキャベリン」に参戦。2年ぶりの青森公演となったが、前回のツアー以降で彼が発表した楽曲は、DAOKOとの共演でテレビにも出演するなど話題を呼んだ「ステップアップLOVE」と、映画の主題歌となった「忘らんないよ」のみ。

ライブ直前まで一度もテレビやラジオでのCMを見聞きしなかったため、これは「ステップアップLOVE」効果でチケットが完売してしまったんだろうか…なんてことを思いながら、逸る気持ちを抑えて電車に乗り込み、青森の会場へ向かう。

18時からの開演に合わせ会場に到着したのは17時15分。てっきり30分からの開場だと思っていたら既に開場となっていて、ツアーグッズの販売コーナーには長蛇の列が出来上がっていた。

奇しくもライブの翌日はプリンスがこの世を去った日。

色々思うところもあってプリンスのシンボルマークが入ったトートバッグを肩に引っ掛けて入場すると、どうやらそれと気付いた他のファンが数名、好奇の視線を送ってくるのがすぐにわかった。

さて、今日は前回のようにプリンスの曲を演ってくれるだろうか。いや、それはないか。

幾つかツアーグッズを物色した後、いよいよ客席へと足を踏み入れた…。

※これからツアーを楽しまれる皆さん、期待して間違いないと思いますよ!

 

↓↓↓↓↓この後ネタバレあり↓↓↓↓↓

     セットリストを含む

  ↓↓↓↓ネタバレあり↓↓↓↓

    ↓↓↓ネタバレ↓↓↓

      ↓↓ネタ↓↓

        ↓↓

 

いつもの如く開演前のステージは幕が閉じたままで、全貌はわからないが恐らく大きな装飾や仕掛けはないはずだ。

僕の席は前から10列目の右寄り。前回よりもやや後方になったような気がするが、ステージ全景を眺めるには絶好の位置だった。

肝心のお客さんの入りは…あれれ?前列に空席があるぞ。そういえば僕の隣りも2席空いたまま。圧倒的に女性が多いが、男性の姿もちらほらと。僕みたいなお一人様参戦も、それなりにいたようだ。

ふと後ろに視線を送っても、まばらに空席がある状況。僅かながらの2階席には、人がいる気配がなかった。ああ、そういえばグッズ購入の際に並んだのは、2階席への階段だったな。

18時05分、客電が落ち、演奏がスタート。観客のボルテージが上がる。カーテンの向こうに彼の姿を捉えた観客が、歓声を上げる。

幕が開き、いよいよスタート。
ステージ中央に鎮座するピーチマークは、すっかり「見慣れた光景」だ。
以下、個人的には「意外な曲」が多かったセットリスト。

ステップUP↑
ステップアップLOVE
Dog Days

どぉなっちゃってんだよ
Lesson
青年14歳
ぶーしゃかLOOP
愛の才能

できるだけ純情でいたい
ヘアー
忘らんないよ
彼氏になって優しくなって
Out of Blue

あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう
だいすき

Superstition
どんなことをして欲しいの僕に
Punch↑
祈りの季節
SUPER GIRL

ギター弾き語り(青森ベイベ)
ちぎれた夜
愛はおしゃれじゃない
ビバナミダ

冒頭で「隣の芝生は青い」という話をしたが、実はツアー初日の静岡とは、後半のセットリストがかなり違っていた。
演奏した曲数も異なっていて(静岡の方が多かった)、ちょっと羨ましくもあり。

カバーは3曲。
「愛の才能」はこれまでも何度か演奏してきた川本真琴への提供曲のセルフカバー。
「Lesson」は一青窈が作詞し、作曲編曲を岡村ちゃんが担当した楽曲。
歌詞が女性目線なので、ちょっぴり恥ずかしい。

アンコールで演奏した「Superstition」は、Stevie Wonderの楽曲。密かに期待していたプリンスのカバーはなかったけれど、このチョイスはナイス。
今回の一つのハイライトは、バンドメンバーの田口慎二さん(ギター)が青森市出身だったということ。何と冒頭のMCで自らが「凱旋帰国」を高らかに宣言、会場が大いに沸いた。それは、MC担当のマニュピレーター白石さんが嫉妬するほどの盛り上がりだった。

【以下、個人的な感想。あくまでも個人的なので、石打無用。】
・お客さんは比較的おとなしめな感じ。ノリはいいけど声は出さない、みたいな、
・時折ふと見せる岡村ちゃんの険しそうな表情がとても気になった。
・最前列の男性がいじられていたけど、醒めたような観客の溜息吐息が切なかった。
・珍しい曲を演奏した代わりに、あれ?あの曲やらないの?も数曲。
・グッズにパンフレットがあったのは嬉しかった。ただただ、嬉しかった。
・5000円以上グッズを購入した人がもらえるシールのデザインも可愛かった。

・ミュージックステーション出演後に話題となった「ダンスが上手なおじさんの色気」は衰え知らず。
・好みはあれど、何度観てもいいものは、いい。ほとばしる汗が凄かった。
・大御所のアーティストに定番ソングは付き物だけど、そんなに古くないはずの曲が既に定番っぽく聴こえるのが凄いなー。
・ステージがとてもシンプルなので、集中してステージを観ていられる。
・今回に限ったことではなく、岡村ちゃんの休憩時間みたいな演奏とダンスタイムとMCがコンパクトならばもっといいけど。
・まあでも、あれを楽しみにしている方もたくさんいると思うから、これは個人の感じ方ということで。
・提供曲をカバーするだけでアルバム1枚出来上がっちゃいますよね。
・「あの」頃、アレンジを変えたリテイクやセルフカバーが続いたけれど、ライブでのアレンジも格好いい。
・でも、やはり新曲が聴きたいです。

ステージ上のパフォーマンスにつられて、一緒にデンス・アンド・シンギングに明け暮れた、正味2時間30分のステージ。
2度目のアンコールで楽しそうな顔を見られて良かった。

あっ!明朝4時起きで花巻に向かわなければならないんだった!ハーフマラソン走るんだった!と我に返ったのは、会場を出た直後のことだった…。

4月26日の投稿に続く)

エレファントカシマシ30周年記念ツアー 2017 「THE FIGHTING MAN」 in 弘前 #エレファントカシマシ #弘前 #青森

(本日、敬称略につき予めご了承くださいませ。)

高校1年の頃、深夜にテレビ放映されていた「eZ」という番組。エピック・ソニー所属のアーティストのプロモーション番組なのだが、ある日この番組を観ていた時に、目が釘付けになったアーティストが1組。当時放映された時の映像が、こちら。

ぶっきらぼうというか邪というかやる気がないというか、それでいて攻撃的、しかもステージ上はもちろん会場全体の照明(いわゆる客電)もついたまま、誰一人席を立つことなく、拍手も私語もない…。何だこれは、誰だこいつらは…。(ちなみにこの時のライブの音源は、デビューアルバムの「THE ELEPHANT KASHIMASHI」25周年記念盤に全曲ノーカットで収録されています。)

これが、エレファントカシマシとの最初の出会い。その後もこの番組に何度か登場していたけれど、客のヤジに「うるせえなバカヤロー」と返す宮本。何か怖いぞ。でも、ちょっとこのステージ、観てみたいぞ…。
いわば怖いもの見たさと好奇心から抱いた彼らへの興味。
気が付いたらあれから30年という月日が流れ、私も大人になりました…ええ。

ただ、彼らの曲を聴くときはなぜか正座したくなるというのは今も昔も変わらぬまま。

鳴り物入りで登場した割には鳴かず飛ばずの不遇の時代。
厭世的、反社会的、排他的で自己中心的、だけど近代文学的。
それでも4ピースは一度もメンバー変更することもなく、たとえレコード会社との契約を打ち切られようとも、その姿勢を貫き続けた…がしかし、やがて転機が訪れ、ドラマやCMのタイアップ、テレビやラジオへの露出が続くうちに、現代社会に対する応援歌やメッセージ性の強い曲が増えるようになり、現在に至るわけで。

ファンクラブに入っているわけでもなければ、全部の曲を知っているわけでもない。それでもこの30年間、「大好き」とまでは恥ずかしくて言わずとも、ずっと聴き続けてきた「アーティスト」。
そして今回、なんと47都道府県を回るツアーで、青森県に久しぶりにやってくる、しかも会場は、自宅から約1kmの弘前市民会館!!!

30年間興味を持ち続けてくれてありがとう、のご褒美を頂いたような気分だった。
天変地異が起きようがミサイルが飛ぼうが、何が何でも行く。這ってでも、絶対行く。

‐‐‐

肌寒さすら感じる金曜の夕方。17時過ぎに会場に到着、気になっていたグッズ販売コーナーへ。16時からグッズ販売が始まっており、既にプチ行列が。うーむ、わかっていたことだったけれど気になるアイテムが豊富。
別に購入する気のなかったアイテムもうっかり購入。まあ、いいか。エレカシのコンサートをこの会場で観ることなんて、この先ないと思うし。

客層は男性・女性比で4対6ぐらい。40代が中心といった感じかな。

入口手前には御朱印みたいなスタンプコーナーがあり、47か所+1か所で全てデザインが異なるらしい。集印帳なるものも販売されており、これを持っていなければ押すことのできないスタンプもある。がしかし、たかがスタンプのためにこの集印帳を購入する気にもなれず、チケットの裏に1個押印。

ちなみに余談だけど、チケットへの押印は表ではなく裏がおススメです。表に押印すると、印が浮いて乾かず、高い確率でブレます。

チケットは何とソールドアウト。平日だし弘前だし、正直売れ残ると思っていた。

そうそう、今回はデビュー30周年ということで47都道府県を回るツアー、平日開催は唯一この青森県のみなのですよ。

18時過ぎ、既に伸びている行列に並ぶ。この日は19時開演のところ、21時45分頃終演であるアナウンスがされている。直近にある弘前市役所の駐車場が、22時で閉鎖されるためとのこと。

 

 

↓↓↓【ネタばらしあります。閲覧注意】↓↓↓

 

 

会場に入ると、何やらスモークかドライアイスが焚かれたかのような雰囲気。
前から8列目は、ステージからかなりの至近距離。アリーナ級の会場であれば、最前列ぐらいの距離なんじゃないでしょうかねえ。ホール会場ではあるけれど、飾り気のない小ぢんまりとしたステージセットを見ても、なんかライブハウスに来たような感じ。逆に変な仕掛けがあるより、ステージに集中できるのでこれぐらいの方がいい。

なぜか周囲は女性ばかり。見たところ、僕のような「おひとり様」で参戦している人も多いらしい。隣は会話から30代前半の女性二人組。後ろにはもう少し若そうな女性3人組。そのうちの一人が事前にセットリストを見たらしく、「今その順番に曲入れて聴いてるんだよね」とぶちまける。いいか、開演前にその内容は絶対に言うんじゃないぞ。例えその曲が、「ファイティングマン」であろうとも、だ!

公演は19時ちょうどにスタート。
袖からメンバー6人(キーボードとギターのサポートを含む)が現れ、会場から割れんばかりの拍手と声援。あれ?宮本がいないぞ…。と思って観ていたら、センターに立った短髪の男性はスタッフではなく宮本だった!「こんばんはエレファントカシマシです。」の第一声とともに宮本がライトに照らされた途端、会場一斉にこの日一番のどよめき。

「皆さんようこそ青森、弘前へ!オレたちもようこそ!」
「今日は満席だそうです。ありがとう、エブリバデ。っていうか一人一人が集まって、5万6千人ソールドアウトです。」 →会場から笑いと拍手。

「ここに来るときに車で見ましたよ、門。立派な門ですね。追手門っていうんでしたっけ。実に素晴らしい。興奮しました。」 →盛り上がる観客。

しかし…「桜の花、舞い上がる道を」のMCで桜の話。

いい話をするのかと思いきや、「桜を観て喜ぶなんて、よほど絶望が深いんですかね。」みたいなことを言い始める。 →自分含め、周囲の皆さん口をあんぐりしながら茫然。

「おいおい、ここ弘前なんですけど…。」

その後、何となく気まずい雰囲気に気付いたのか、「ここ弘前もね、桜があれですけどね。一つ一つの花びらが…」と口を濁すも、手遅れ。がしかし、僕自身はこの曲を聴きながら、ホロリと涙。昔、自分もこんな感じだったな、と感情移入。

「弘前は2回目なんですけど、町の中にあった本屋、もうなくなったのかな。岩波の新書とか、新書が凄くてね。古本屋だと思ったら全部新書(新刊)で、都会じゃ中古で売っているような本も普通に定価で売っているんですよね。今回は行ってないんですけどね、まだあるんですかね、あの本屋。」 →紀伊国屋書店のことかな。というか、あまり弘前の印象って良くないんだろうか(笑)。

セットリストは他で公開されているので割愛。基本的には30周年記念で発表されたベスト盤を聴いていれば概ねOK。ただし、これしか聴いていない、これしか知らないという人は、後半(終盤)辛い時間帯が続くかも。

個人的には、超攻撃的な「ガストロンジャー」、私はこのリズムが大好きなのでありますが、この曲を目の当たりにして客が引きかけたところへの「やさしさ」。この流れ、最高。またしても泣きましたとも、ええ。

正直、最初から最後まで座ったまま、それこそ正座してでも聴くつもりだったけれど、客電が落ちた途端にスタンディング状態に。周囲が何をしようとも手拍子はしないし、拳なんて小恥ずかしくて上げられるか…と思っていたけど、感情を抑えることができず、気が付いたら力いっぱい拳上げておりました。嗚呼…恥ずかしい。でも、それすらもごく当たり前のごとく受け入れる宮本、懐深くなったなあ…オレもあなたも大人になったんだなあ、と何だかしみじみ。初めて会うくせに。

「弘前中の電気を消して、夜空を見上げて…」という替え歌でまたホロリとし、公演終了。
終演は21時44分。ほぼピッタリ終わるところが凄い。いや、もしかしたら何か端折ったのかもしれない。それでも30曲近く演奏しているんだから、もう本当にありがとう、ですよ。

他に聴きたい曲もあったけれど、そんなのを言い始めたら人それぞれみんな違うだろうし、キリがないので止めておきます。
ただ、足を運んで本当に良かった。僕の周りでも涙をぬぐっている人、たくさん見た。それ見て、またもらい泣きした。弘前に来てくれて、ただ感謝。もう、それしか出てこないっす。

願わくば、桜が「絶望」ではないことを、その目でしかと確認してもらうためにも、是非とも春に来てください。
願わくば、もう二度とないかも知れない、弘前市民会館でもう一度…。

山下達郎 PERFORMANCE 2017 青森公演を観てきました。

過去の記事を辿ったところ、山下達郎の公演に足を運ぶのは今回で5度目。
自分で足を運んだライブ・コンサートについては、なるべく熱の冷めないうちに備忘録としてこのブログに記録を残すようにしていますので、今回も記述できる範囲で残しておこうと思います。
まだまだツアーが続きますので、ネタ晴らしは極力しない方向で。

公平性を保つという観点からなのでしょう、チケットは毎回抽選販売となるのですが、今回も何とかゲット。しかも、送られてきたチケットは1階の比較的良席。ただし徹底した転売防止対策から、これまで以上に入場方法が厳しくなっており、チケットに記載された名前の人以外は入場ができないというお触れが同封されていました。チケットを販売しているウェブサイトでも注意喚起がされ、公演前日にはメールまで送信されてきました。事実、今回の青森公演においても本人確認ができずに入場できなかったという人がそれなりにいた、というお話を翌日になって聞きました。(青森在住Sさんから画像も提供頂きました。ありがとうございました。)

前述のとおりチケットには入場者の名前があらかじめ記載されており、入場の際には本人確認が行われます。「顔写真付き身分証明書」の持参は必須、ない人は事前に用意しろ、社員証の類はNGよ、とのこと。
こうやって見るとかなりの強硬策とも取れますが、実際、以前のコンサートのMCでもこの転売に対する不満を口にしていて、ちょうどその前後からオークションでのチケット転売が減り、かつかなり入場でも厳しい本人確認を行うようになったような気がします。

一方、そのことが違う問題も生み出しており、例えばサザンオールスターズのコンサートでは入場までに長時間を要した結果、熱中症で倒れる人が続出する、なんてこともありました。
確か僕自身、初めて本人確認を求められたのがサザンオールスターズのコンサートで、その時はそんなに厳しいものではありませんでした。また、浜田省吾のコンサートでは会場に到着するまで座席がわからず、本人確認の後で席番号の記載されたチケットを印字され、その番号を見てかなり困惑したことを覚えています。

本人確認を行います、ということは、本人が当日どうしても行くことができなくなっても、代役を立てることは不可、ということ。チケットの返金ももちろん行われません。よって、コンサート当日までに自分自身の体調管理を万全に保つことは、最低限かつ最大のノルマ、と言っていいと思います。

さて、今回の入場については本人確認が徹底されているということをお話ししましたが、本人確認の後に、腕にリストバンドを着用します。

終演まで外すことを許されないこのバンドの着用も、念には念を入れてのことなのでしょう。しかし、このリストバンドを巻いていれば、会場の外に出ることもできるし、このリストバンドをしていることで再入場も可能、とのこと。実は僕の同行者(妻)、「私、これならリストバンドが抜けるわ。」と口走るぐらいこのリストバンドの巻き方が緩々で、対策として万全なのかどうか、と言われると、ちょっと「?」なところもあったこともここに記しておきましょう。(だったら最初から「終演まで退場した場合、再入場できません」でいいような気が…。)

さて、ツアーのお話。青森での公演は1年5か月ぶり、約2,000人の会場はもちろんソールドアウト。今回のツアーは春から始まり、今回で13本目。(リストバンドの丸数字も13公演目を意味しているものと思われ。)
8月まで全国49本のツアーが組まれており、延べ10万人の動員が見込まれるとのこと。チケットが9,000円ですので、これだけで最低でも約9億円のお金が動くという…(あ、下世話な話ですいません。)

18時開演のところ、約5分遅れで開演。いよいよ2017年のゴールデンウィーク、最大のメインイベントが始まりました。

【すいません、ここから詳細については秘密、ということで。】

セットリストについては触れませんが、ツアーメンバーは安定の顔ぶれ。客席は50代前後の人が圧倒的に多く、僕らも含めてリピーターの方は結構いるようで、ステージの楽しみ方を心得ているような感じでした。

楽しみ方をざっと挙げますと…
・1曲目から総立ちでノリノリ…ということはありません。あり得ません。(本人も「そういうステージは演らない」とのこと。)
・ちなみに1曲目と最後の曲はほぼ毎回一緒です。なので、無駄にアンコールを求めることもしません。
・毎回外さない定番の曲(ギネスの記録を作った曲、とか)が幾つかありますが、久しぶりに演奏する曲や他アーティストへの提供曲、カバー曲も演奏します。
・演奏している曲の間奏では、この日演奏しない楽曲をちょいちょい挟んできます。
・心臓にはクラッカーを。指鉄砲では足りません。

ツアー再開後、今のツアーメンバーでほぼ固定されている中、これまでのツアーで演奏した曲のレパートリーは約80曲、持ち歌の約3分の1を披露したのだそう。

毎回コンサートの前に、当日のセットリストを予想するのが楽しみなのですが、今回「この曲、いつか聴きたいなあ」と思っていた曲を思いがけず聴くことができました。結構始まって早い段階で演奏されたその曲を聴きながら、絶対に聴くことはないと思っていたので、不覚にも落涙してしまいました。

双璧のような楽曲、こちらを演奏すればあちらは演奏せず、みたいな楽曲がいくつかありますが、今回はことごとく裏をかいてきた、そんな感じです。…これも、泣きました。

そしてもう1曲。これは口が裂けても言えませんが、これはあまりにも衝撃的過ぎて、開いた口が塞がりませんでした。これからツアーをご覧になる皆さん、お楽しみに。

ということであっという間の3時間10分、至れり尽くせりの大感動コンサートでした。
入場の際は絶対に本人じゃないとダメですし、誰かにチケットをプレゼントするのであれば、その方のお名前がチケットに記載されるように留意しましょう。オークションではチケットの転売がされていないような気配ではありますが、くれぐれもオークションでは購入しないように。それは、本人が望んでいないことなので。

それにしても今回のツアー、願わくばもう一回観たいなあ。