3年目の防災、4年目の危機管理


このブログで仕事の話をするのは極力避けたいと思っていますが、この一年、職責を全くというほど果たすことのできなかったことに対する懺悔と屁理屈と言い訳を重ねるための長文駄文をお許しください。


先日、若手職員向けの講話を行った際に、こんなことを聞かれた。

「防災の人は、災害がない時は何をしているんですか?」

ええと…特に何もしていません。みんなで談笑しながら、災害が来るのを待ち構えています…というのはもちろんウソだ。

一言に「防災」といっても、非常に多岐にわたる。その対象として真っ先に思い浮かぶであろう地震、津波はもちろん、大雨、大雪、雷、暴風、高潮、洪水、土砂崩れといった風水害、そして火山や大規模火災、交通災害(事故)もあるし石油コンビナート、原子力関係、更にはミサイル攻撃やテロなど、枚挙に暇がない。

こういった事象に対応するための備えはもちろん、どうしたら住民の皆さんに、より防災に対する意識を持っていただくことができるかの検討、市町村が防災に係る各種計画を整備しているかの確認、住民の生命や財産を第一に守るため、我々がすべきことなどの検討・検証や、県が策定している様々な計画の見直しや修正、災害時における体制の強化、住民や行政職員向けの研修・セミナーの開催や出前講座、図上訓練の実施等々、口から余るぐらいやること、やらなければならないことがあるし、その内容も朝令暮改とばかりに日々刻々と変化している。

ここ最近、時期を問わず防災に対する注目が集まっているのは、社会の防災に対する意識が変化してきた現れだと僕は勝手に思っている。
東日本大震災はもとより、その後も相次いだ災害の直後、住民の防災意識を高めようという声が上がったと記憶しているが、実のところ何からどうすればいいのかわからなかった、というのが実情だったのではないだろうか。
大なり小なりの「被害」はあったけれど、直接身に危険が及ぶようなほどのものではなかったからなのかも知れない。

かく言う僕も、今の業務に取り組むまでは、防災というのは誰かが「やってくれるもの」だという他人事のように捉えており、「自助」なんてことは念頭にもなかったのが正直なところだ。
しかし、毎年のように各地で大きな地震や風水害が相次ぎ、いつか自分の身に危険が及ぶ可能性が高まっていること、つまり災害が他人事ではなくなりつつあることが、防災や減災への心構え、意識付けを加速させる契機となっているといっても過言ではないだろうし、事実、僕自身もどうやって身を守るか、どうやって応急対策に取り組むかということを考えるようになった。「自助」「公助」「共助」そして、「互助」

さて、各自治体が公表している地域防災計画、簡単に言えば防災対策を講じるための土台、基礎のようなものだ。これをベースにしてさまざまな取組が進められる。ハザードマップの作成や公表然り、各種避難計画の策定然り、指定緊急避難場所指定避難所の指定然り(この二つの違い、わかりますか?)

しかし、前述のとおり防災への取組は、結構なスピード感で日々見直しが進められている。
そして、その見直しを踏まえて計画や取組を改めて行く必要が生じてくる。

ところが。
実は、こういった計画の見直し自体が追いついていない可能性も敢えて指摘しておこう。
(自治体に限られたことではないが)今、行政職員は削減傾向にある。その中で、防災に携わる職員も減少することとなり、何かあった時には自治体全体で対応に当たる、といったことになる。しかし、実際のところは防災ばかりに時間を割いているワケにいかず、どうしても手をつけなければならない他事案に対処することとなり、今すぐに対応しなければならないという場合を除くと、防災対策は後手に回るということもあり得る、のが現状だろう。

さて、皆さん。
3月の卒業シーズン、そして4月の入学シーズンを迎えるわけだが、ここで質問。

お子さんが小学1年の入学式の時に着た衣装を、小学6年の卒業式でも着せられますか。

防災の怖いところは、ここにある。例えるならば、衣装は計画だ。
つまり、身体(防災の対象となる範囲)は大きくなっていくのに、それに見合った衣装が着せられていない(計画の中身が実情と合っていない)可能性があるのだ。

衣装を誂えた(計画を策定した)ことに満足して、身の丈に合った衣装を作ることを忘れている。やっかいなのは、その服は既に着られないはずなのに、何かあった時にはその服を着るから、という勘違いをしてしまうことだ。

その一方で、防災組織の中で働いていると、とある方面からやたらと「あの計画を策定しろ。市町村にハッパを掛けて全体の策定率を上げろ。」と突かれるが、数字や体裁ばかりに気を取られた名ばかりの計画は、文字通り計画倒れとなってしまうよ。

また、防災こそ関係機関同士の横断的な対策を講じなければならない最たるものだと思うが、実際は(特に中の組織が)縦割りで物事が進められていること、それによってしっかり連携が図られないこと、縦横斜めの繋がりが構築されないことが、被害の拡大を招いてしまうのではないかと危惧している。「防災」に対するアレルギーは、意外と「なかのひと」に多いのですよ。

気がついたら危機管理の部局で4年目、防災の主管課に身を置いて3年目の春を迎えるが、この年齢になってもまだ学ばなければならないことが、山ほどある。それにめげず、2019年度は(せめて7割ぐらい)職責を全うできるよう努力しようと思う。いや、生きているうちは毎日が学習か。

何か変な決意表明みたいな内容になってしまったが、この投稿を読み終えた後で、皆さんが「あれ?そういえばうちの非常持ち出し袋の中身、大丈夫かな?」なんて思って頂けたらちょっと嬉しい。

一番安泰なのは、大きな災害が発生しないこと。これに尽きるんだけどね。


投稿者: のんべ

1971(昭和46)年 青森県生まれ。弘前市在住の青森県職員。 プリンスとビールと豆腐とラーメンを愛する。安いカメラでいかに安っぽくない写真を撮影するかに興味あり。 ブログの内容の多くは、いつの間にか趣味となった「走ること」がメインです。