NPOへの誘い

個人的な話になるが、小学4年から高校1年の頃までボーイスカウト活動に勤しんでいたことがあり、ボランティアそのものは決してイヤではない。
しかし、あれからもう20年も経過し、時代は変遷を辿り、今は違う形の「ボランティア組織」が多く見られるようになった。その一つが、NPOだと思っている。

このNPO、雨後の竹の子のようにあちらこちらで一種ブームのように登場したのはいいが、一体何をやっているのかよくわからない胡散臭い組織や、単なる政治団体、あるいは税金逃れのための団体も数多くあるらしい。

実はここ最近、NPOの設立に参加しないか、と声を掛けられた。


それも、ここだけの話であるが(というか公開性の高いブログで「ここだけの話」なんていうのはあり得ないのだが)、設立を検討しているのは、同業者である。しかも、同業者による同業者ばかりのNPOを設立したい、というのだ(注:同業者による同業者のためのNPOではない)。

火曜日、その呼びかけを始めた人と一緒に酒を酌み交わした。
僕がこの業界で働き始めた頃、仕事の「いろは」のみならず、仕事の後の「いろは」も教えてくれた人だ。
彼が言うには、同業者から年会費3,000円と有給休暇を提供して貰い、いろんなイベントのボランティアをしながら、地元のみならず、周辺地域のために活動したい、ということらしい(当面の目指すところは、「秋田わか杉国体」でのボランティアとのこと)。

実はこれには先行事例があり、東京都港区には同じような理念を持つNPOが設立されているとのこと。
見様見真似ではあるが、同じようなNPOを設立したいらしい。

しかし、どうも聞いていると理念や使命がしっかりしていない。
そこで、思い切って聞いてみた。
「活動するに当たっての理念は何ですか?」
「理念…?(しばらく考えた後)今は、ない。ハッハッハ…」

こんな感じである。正直、唖然とした。理念なんぞクソ食らえ、という人もいるだろう。しかし、外向けに自分たちの活動を説明するのに、理念がない、というのでは、いくら呼びかけても人は集まらないのではないか、そう思い、生意気と思いつつその点を指摘してみた。

沈思黙考の後、「ウン。分かった。考えてみる。」とのこと。やりたいことが比較的ハッキリしているだけに、その先のビジョンがないというのは、正直言って辛いと思う。その場限りの自己満足で終わってしまう可能性があるからだ。もっともこれは、今の僕にも言えることだけれど(笑)。

「5年先も同じような状態だったら、やめればいい。」

イヤ、それは違うと思う。5年先には違う状態にしなければならないのだ。
5年先じゃない、3年経っても結果が出ないようなNPOなら、最初から設立しなければいい。

今回、同じ職種にある人たちの中で、ある程度NPOに対する理解があるだろうということで、僕に白羽の矢が立ったらしいが、敢えてその場での即答は避けた。

掲げた理念、目標に賛同した人たちが参加することが最も望ましいこと。しかし、下手をすると呼びかけ人のイエスマンばかりが集まり、結果的に単なる馴れ合いの集団になることだけは避けたい。

先行き不安かも知れないけれど、この人のNPOにかける情熱というのは、よく分かっているつもりなので、前向きに検討している。しかし、甘いお汁粉に一つまみの塩を入れると味がガラリと変わるように、時として毒となり、時としてスパイスになるような、そういう立場で臨んでみようかと思う。
もっとも、まだ駆け出しの段階なので、今後どうなるかは全くわからないけれど。

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