Category Archives: 読書感想文

Murakami Diary 2009




ご存じ、ノーベル文学賞に最も近い日本人と言われる、村上春樹の2009年版ダイアリー的文庫本です。
この作品はUKからの輸入盤で、要するに洋書です。よって、内容はほとんど英字表記です。とはいっても英字表記が延々と続くかというとそうではなく、あくまでダイアリーということですから、365日のスケジュールを書き込むすることが出来ます。
ただ、これを「一作品」として見るか、あるいは「ダイアリー」として見るかによって作品の質が全く異なりそうな感じです。

私的には2008年という年そのものを、自分の人生の中から、いや全地球の歴史の中からも綺麗に抹消してしまいたいのですが、それはあまりにも非現実的。
いつまでも後ろを振り返るわけにも行かず、来年を過ごしていくのに何かヒントが隠されているのではないか思い購入したこの書籍。見方によっては和み系に化けそうな予感です。
内容をお見せすることは敢えて避けます。英国での版権を有しているVINTAGE社から発刊された村上氏の書籍の表紙が沢山登場しています。そして、本文の一部(全て英字)や、何ともまぁいい味を出している写真が織り込まれていますが、何よりも日本の主要な祝日や季節の催事が「日本語」で記されているのも魅力的です。一見すると紙質もかなり分厚く、重厚な仕上がりになっているようです。しかし、カバーの折り目がかなり適当だったり、製本の糊付けが怪しかったりと、いかにも洋書!みたいな雰囲気も醸し出しています。

とはいえまぁ、前述の通り恐らく「なごみ系」文庫本として開くことがあっても、このダイアリーに何かを書き加えるということはあり得ないでしょう。大体、村上春樹の作品に筆を加えるなんぞ、もったいないし恐れ多くて…(笑)



ダイアリーもちらほらと登場しているこの時期、そろそろ忘年会シーズンですか…。忘年会とは別に、ぼちぼち畏友の顔を眺めながら酒を酌み交わしたくなってきましたな…。
父が他界して2ヶ月が経ちましたが、やはり一部から「彼は父の後を継ぐのではないか。市政のために、2010年春の補選を見据えているんじゃないか。お通夜やお葬式でのあの堂々とした口ぶり、彼ならやっちゃうんじゃないか。」という、僕にまつわる「ある噂」が出始めているそうです。というか、これは予想の範囲内。家の中でも話題になるぐらいですから。
ま、いずれにせよ、衆院解散選挙の日程で世間がやきもきしている中にあっては、まだそのことを自分の口から話す時期ではないかな、とか思ったりして(笑)。

「青森県ゆかりの文学」 斎藤 三千政




* 出版社 : 北方新社
* 出版年 : 2007.11
* ISBN : 9784892971129
* 税込価格 : 2,625円
* ページ数 : 412P
* 判型 : B6

今日は久しぶりに書籍を紹介しようと思う。
歴史や文学には人一倍疎いこの僕がこの書籍を紹介する理由は極めて明白。
僕が筆者と「知り合い」だからである。
否、「知り合い」というのは非常に馴れ馴れしい言い方だった。

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人生のほんとう

池田晶子著書の「人生のほんとう」という本を読み始めている。かなり売れているらしいが、売れているだけあってなかなか面白い内容だ。

哲学的なアプローチが多いので(ちなみに僕は哲学が大の苦手)、これはすぐ読み飽きる(挫折する)のかな?と思ってもみたけれど、これがまた意外にのめり込む。
帰りの電車の中、惰眠を貪るのをやめ、この本を読み進めることに熱中している。

偶然とは決して偶然ではなく、宿命だということ。
生きて死す。しかしその「死」の定義とは何か。人間は何故年老いるのを嫌がるのか。親とは。親戚とは。読み進めていくうちに、「自分」という存在を改めて認識すること必至。名前、性別、そして日本人であるという「属性」…その全てが、あまり意味のないものであることを悟ったとき、間違いなく「自分」はより強くそしてより大らかに生きていけるような気がする。

何度でも読み返す、という人が多いのも頷ける。

どういった内容かを垣間見るにピッタリのインタビュー記事がありました。
http://www.nttcom.co.jp/comzine/no011/wise/index.html


人生のほんとう
人生のほんとう
池田 晶子

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リア王と晴子

先週から高村薫の『新リア王(上)』を読み始めています。
この作品は、青森県を舞台に繰り広げられる政治小説です。政治家として青森県内で絶大なる勢力を誇った福澤家の父・榮から、仏道の道を究めようとする妾腹との(榮の兄の妻であった晴子との間に出来た)息子・彰之に語られる保守王国の崩壊劇は、フィクションでありながら同じ青森県に生活する者にとって魂を研ぎ澄まされるような思いに駆られます。そしてそれは、福澤榮という実在の政治家がいてもおかしくないような、非常に現実味を帯びた展開が繰り広げられていて、陰で囁かれている「モデルの存在」というのもあながちウソでないような、そんな気分にさせられます。
ご存じの方も多いと思いますが、この作品は日経紙朝刊(いわゆる「愛ルケ」の前)に連載されていた内容に大幅加筆されたものです。挿絵の著作権の問題やらなにやら色んな事情があって、突如連載打ち切りとなってしまったのですが、待ちに待ったこの本の出版にどれだけ心躍らされたことでしょう…。

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県庁の星

4093861501 県庁の星
桂 望実

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タイトルと、帯にあった「間違いは認めるな!?予算は使い切れ」という言葉に惹かれて購入した本。金沢へ出張する際、行きの車内で一気に読み終えてしまった。内容は、県庁のエリート職員が、民間企業に1年間派遣されることになったのだが、派遣されたスーパーで遭遇した従業員達と、己の持つ(役人)意識との乖離に苦悩しながらも、周囲の人たちと接していくうちに、自ら意識改革されていく…といったもの。
冒頭は、結構公務員をえぐっているな、といった感じで楽しく読めたのだが、読み進めるうちに展開がバレバレ。「全国の公務員に告ぐ」ということだったけど、そんな大げさなものでもないな、という感じがしたし、「間違いは認めるな!?予算は使い切れ」という帯の触れ込みも、本文とはほとんど関連性がなかったな。

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