風光明媚 -紅葉とパーク&ライド-

【ふうこうめいび】
自然のながめが清らかで美しい・こと(さま)。「―な土地」

僕の風邪、そして鼻水は小康状態となり、ほぼ回復の目処が立った。
しかし、その風邪を思いがけず移された妻の方が、症状が酷いようだ。
しかも、追い打ちをかける形で仙台出張を余儀なくされ、乾燥したホテルの空気に晒された結果、咳が止まらない状態が続いている。
こんな日は、うちでゆっくりしているのが一番。
というわけで昨日は、二人でそれぞれテキストを突き合わせながら、来月の簿記検定のため勉強。
進み具合からすれば、帰りの電車にちょっとした勉強時間を作り出すことが出来る僕の方に分があるが、理解度からすると、妻には叶わないかも知れない。
ま、こうなったら合格しようがしまいが、どっちでもいいや。といいつつ、実は検定の申込すらしていないのだけれど(笑)。

そんな中母は、朝から「紅葉を観に行く」と言い、友人と日帰りで秋田県に出かけたまま、日が暮れてもしばらく戻ってこなかった。


土曜日の日経新聞(NIKKEIプラス1)に、「行って楽しい紅葉の名所」ベスト10が掲載されていて、その第1位が青森県の奥入瀬渓流だった。それも、2位の香嵐渓(愛知県)に倍以上のポイント差をつけた、ダントツの1位。

http://www.nikkei.co.jp/p1/
(恐らく土曜日になると記事が更新されます)

奥入瀬渓流は、秋の紅葉だけではなく、春の新緑、そして夏も涼を求めて大勢の人が集まる人気の場所だ。

僕も何度か訪れたことがあるけれど、最後に訪れたのは、もう7年くらい前の話だ。
といっても、紅葉を観に行ったわけではない。
仕事の関係で、幅約200メートルに渡って土砂が崩落した現場に足を運んだのだ。

未だ雪も残っていたこの時は、途中までバスで移動し、現場まではヘルメット着用を義務づけられ、徒歩で移動した。
大量の土砂は道路の一部や渓流を飲み込み、何事もなかったかのような静寂がそこにはあった。

自然の力をまざまざと見せつけられたことに驚きを覚えながら、その静かな佇まいに不思議な居心地の良さを覚えたものだった。

数年前、奥入瀬渓流でパークアンドライドの実験を行っていたけれど、最近では実験を行っている話も聞かないし、導入の話も聞かなくなった。
今思えばあれは一体何だったんだろうか。
結局のところ、「こういう実験をしたんだぞ!」という、一部関係者の自己満足に過ぎないような気もする。

奥入瀬渓流はこれから見所を迎えるというが、更に道路は混雑することだろう。
しかし、あのような場所であればあるほど、車の乗り入れは規制すべきだと思う。
それはもちろん、自然環境への配慮が必要なことも理由の一つではあるが、もう一つは、「音を楽しみ、香りを楽しむ」ためでもある。

渓流や滝の音、鳥の鳴き声、葉が風に揺れる音、踏みしめる落ち葉の音、そして香り…。
紅葉を楽しむのであれば、移動する車中からそれをパッと眺めるというのは、本来の楽しみ方ではないと思う。
紅葉は単に観て楽しむものではなく、音を聞いて、そして匂いを嗅いで楽しむものでもあるだろうから。

どうでもいいことだが、妻は紅葉が嫌いだそうだ。理由を問うと、「寂しさを覚えるから」とのこと。
紅葉が終わるとやがて木々は丸裸となり、そして寒風に晒される。

もうすぐ、その季節がやってくる。

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