鯛のから騒ぎ

釣りの話をするときは、いつも意気揚々と話をするんですが、今日は久しぶりにドヨーンとした何とも言えない失望感に(未だ)襲われております。日焼けし過ぎた肌に、ピリピリ感を覚えながら。

経験したことのないトラブルと、ある方の(恐らく悪意はないであろう)一言に傷つき、釣りがちょっぴり嫌いになりました。こんな事だったら、誰にも迷惑を掛けず陸っぱりからルアー釣りを楽しんでいた方がよっぽどマシです。

当面鯛釣りは自重しようかと思うくらい、イヤな一日でした。

昨日は、ほぼ一日海の上にいました。今回は、僕を含め6名で乗船。前回と同じく、津軽半島の北西部に位置する小泊港を朝7時に出港し、帰港したのは夕方5時でした。10時間も船上にいたことになります。

結論から申しますと、僕の釣果は真鯛1枚チダイ2枚、エゾメバル(ガヤ)1枚。全てサイズは30センチ程度。

10時間もいたのに、「たったこれだけ」しか釣れませんでした。

他5名の方々は、全員10枚以上の釣果。名人は20枚近く釣り上げたんじゃないかな。真鯛60センチオーバーは、僕を除く全員が1?2匹釣り上げていました。トータルだと、80枚前後だと思います。
船頭も驚くくらいの釣果に、船上はすっかりお祭り騒ぎ。しかし、その中にあってポツンと一人取り残されることの空しさ寂しさを、久しぶりに痛感しました。


ま、そんなに釣ったところで全て食べきれるわけでもなく、他の家に配るのも大変だということで、僕は極力自分で消費する分だけを釣り上げ、漁場の資源保護に努めた…というのはただの強がりでしかありません。

ただ、こんなに他の人たちと釣果に差が付いたのには、それなりの理由がありました。

一つは、仕掛けのロスト。昨日は、夕方になって特定のルアーで爆釣となったのですが、僕の手許にはその時点で、そのルアーはありませんでした。

もう一つは、タナの取り方。水深40?60メートルの底から3?10メートルあたりでとんでもなくアタリがあったのですが、その時点で僕は底を攻める事が出来ない状態にありました。

それもこれも全て、一瞬の根掛かりでパー。

(以下ちょっぴりマニアックな話です)
ダイワのハイドロファイン150メートル巻を2500番のリールに巻き、2メートルほどのリーダーをセットして臨んでいたのですが、昨日はいろんな仕掛けにアタックがありました。着底すれば2回に1回はアタリがある、といっても過言ではないくらい活性が高かったのですが、あとは腕の問題。なかなか合わせる事が出来ず、何とか釣り上げたのが3枚のみ。
鯛以外に釣れていたのは、赤メバル、アイナメ、マゾイ、サメなどでしたが、メインはやはり鯛。真鯛かチダイかによって、僕でも分かるくらい引きが全然違うので、ヒットした瞬間あちこちから「来たッ!」「あー!チだ!」「いや、マじゃない?」なんて声が飛び交っていました。

それはともかく圧巻だったのは、本マグロの群れとの遭遇。
アタリが減ったので場所移動する途中でのこと。
これまで、イルカの群れは幾度となく目撃したことはあったのですが、マグロが海面をジャンプする姿を見たのは初めてでした。小魚を追いかけて、目の前をジャンプするたくさんの本マグロ。大きさは1メートル足らずと小振りではあったものの、その姿を初めて見たときは、ただただ驚嘆し、そして感動していました(聞くと特に珍しい光景ではないらしいですが)。

そんな光景を見た後も、船上の鯛まつりは相変わらず続いていました。

ところが…。
駆け上がりの地点に差し掛かったとき、僕の仕掛けに問題の根掛かりが発生。
しかも、その日爆釣モードに入った時に使う予定だった唯一のルアーが根掛かりしてしまったのです(実は前回も同じルアーを同じ海で根掛かりさせています)。

こうなると、押しても引いてもダメ。泣く泣くルアーとの結び目からプツリと切ることにしました。
タオルでラインを抑え、グググと引っ張ります。
ブチン!と音がした時、イヤな予感が。何故音が聞こえるんだ?
イヤな予感は的中していました。切れたのはルアーとの結び目ではなく、すぐそこからでした。
結果、150メートル巻のラインのうち、約80メートルが海の藻屑と消えていったのです。

ガーン…

これまでも船上でのライントラブルは幾度となくありましたが、これまで経験したことのない衝撃でした。朝方、ポケットに予備のリールを忍ばせるか悩んだのです。でも、今までそういったトラブルに見舞われたことはないからいいや、と家に置いてきてしまったのです。結局、残った70メートルのラインで勝負するしかなくなりました。しかし、早い潮の流れを考えると、ラインが真っ直ぐ着底するわけもなく、となると当然の事ながら60メートルの海底は探れない事に。

この時点で昨日は勝負アリでした。他の人たちが鯛を次から次へと釣り上げるたび、その大きさに一緒になって一喜一憂していましたが、途中からその元気もなくなり、黙々と仕掛けを海に垂らし続けていました。

結局、ラインを切ってから釣れた魚は0。アタリもナシ。ただ、日焼けしていっただけ。
あのトラブルさえなければ…と悔やんだところであとの祭り。
「クーラーが一杯で入らない!」とまるで嫌味のような言葉を軽く聞き流していると、そこに決定的な一言が。

グイグイと引き込まれる竿、リールに糸を巻きながら、隣で釣りをしていた人がこちらに目を配り、嬉々としながら言い放った一言。

「鯛釣りはこの引きが楽しんだよなっ!!」

あんた、喧嘩売ってる?はさみを持って行って、あんたのそのラインを切ってやろうか、そんな悪意さえ芽生えるほどムカつきを覚えました。

その後すぐに納竿となりましたが、帰港するまで僕は完全に黙りを決め込みました。
腹立たしいのと悔しいのとショックなのといろんな思いが渦巻いていて、言葉を発する気になれなかったのです。
そして他の人と比べて明らかに軽いクーラーを片手で運び、帰路に就いたのでした。

釣った魚を刺身に捌き、他の人がいかに釣り上げたかの話をすると…。
妻曰く、「あんまりたくさん釣ってきてもさぁ、食べられないんだからさぁ…。」

ありがとう。その言葉で救われた。

2 thoughts on “鯛のから騒ぎ

  1. きっこ

    そうですよ?♪
    美味しく食べるってことに意味がありますwww?
    って、釣ったことないから、そう思うのかもしれないけど。
    釣り人を待つ身としては、そういう感じかな(^^;
    うちの舅さんも釣り好きなんですよ?。

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  2. nonvey

    まぁ、今回はうちの母が捌いてくれたんだけど、普段は僕が魚を捌くわけで、やっぱり数が多いと面倒くさいからなぁ。
    鯛釣りがイヤになった…といいつつ既に次の作戦を考えている俺。早くもリベンジしたくてウズウズしています(苦笑)。

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