争点の見えない選挙戦

何か、久しぶりに「選挙に行きたくないなぁ」っていう気分にさせられる衆院選挙が公示されました。暑い最中に、我が候補を連呼する声がドップラー効果よろしく右から左から流れてきて、うるさいことこの上なし。
今回の選挙は、郵政民営化法案が参議院で否決されたことで、小泉首相が衆議院を解散したことに伴う選挙であることは、周知の通り。
そして、衆議院での造反議員に対して自民党は、公認どころか「刺客」を投入するといった徹底振りで、結果、造反議員は離党し、新党を結成したり(その場しのぎといった見方が大半のようです…)、無所属での出馬を余儀なくされたり、中にはこれを機に引退したり…。
昨日、日本記者クラブ主催の6党党首討論会が開かれました。「新党日本」の田中康夫代表は、「知事の公務」のため欠席。まぁ、このあたりが、いかに新党結成が行き当たりばったりであるかということを垣間見ることのできるシーンでもありました。
で、その内容については多くの新聞やWebに掲載(一部抜粋がJIROさんのブログに掲載されております)されておりますので、是非目を通して頂きたいと思います。この中で、衆院選の争点というのが、非常に興味深いと言いますか、今回の選挙戦を端的に表しているといった感じです。

小泉純一郎首相(自民党総裁) 国民に郵政民営化が必要かどうか聞くため、衆院解散に踏み切った。

岡田克也民主党代表 特に強調したいのは年金と子育てだ。政権交代がなければこの国は変わらない。

神崎武法公明党代表 争点が郵政民営化であることは論をまたない。

志位和夫共産党委員長 郵政民営化に反対し、サラリーマン増税を阻止する。

福島瑞穂社民党党首 (首相の姿勢は)争点隠しだ。小泉政権の4年間で壊された平和と暮らしを立て直す。

綿貫民輔国民新党代表 解散からの一連の流れはルール無視で強引な国政が進められている。国民の関心は、郵政よりも景気回復や年金にある。

与党はとにかく郵政民営化こそ争点だと主張する一方で、野党は年金問題や他の問題が争点だと主張しています。
つまり、争点が全く噛み合っていないんですね。
今国内で起きていると思しき問題を仮定として掲げると、僕が考えただけでもこれだけ(これでも一部ですが…)出てくるのに…。
福利厚生費も負担できない企業が人員削減を断行し、それが慢性的な若者の失業やニートの増加に繋がり、結果無収入だから結婚も出来ず、当然子供の絶対数も減少しているといった仮定。
2007年になると、国内には大量の失業者が溢れかえるという仮定。
2007年以降、財政支出のうち、国民年金の占める割合が急に高くなることに伴い、サラリーマン増税はおろか消費税増税もやむを得ないという仮定。
一時的な雇用創出のために公共事業を増やしたものの、完成したハコ物からの収益が上がらないどころか、失業率の改善にも繋がらず、結局地元負担ばかりが増えるといった仮定。
アスベスト問題が各地で噴出しているにもかかわらず、環境省、厚生労働省、経済産業省など省庁間の連携が全く取れていないため、処理が後手後手に回っているといった仮定(いや、事実)。
頼む誰か。3年後5年後10年後の日本像を示してくれ!
ええと…話を戻します。
昨日の党首討論の内容に関しても、その一部がテレビで放映されていました。ご覧になった方もおられると思います。まあ、致し方ないと言えばそれまでですが、持論を展開しつつ相手の手法を批判するという、いつもの応酬が繰り広げられたワケです。何かねぇ…議論が噛み合わないんですよ。岡田党首は、小泉首相に対して「質問に対する回答になっていない」と非難していましたが、それは皆さん一緒でしたよ。
溜飲の下がる思いだったのが、代表記者からの質問。小泉首相に対する質問が多かったのですが、「郵政法案が再び参院で否決されれば、また解散するのか」とか、「首相は8月15日の靖国参拝を公約にしながら、一度も参拝していないが」などなど、聞いていてスカッとするような質問ばかりでした。歯に衣着せぬ論客ばかりを揃えたのでしょうね。
他党の揚げ足取りに終始し、あとは当たり障りのないことを話して、取りあえず選挙戦に臨もうという目論見が見え隠れしていた党首討論より、余程見応えがありましたぞ。
自民党は、刺客の女性候補を比例候補名簿に重複登載、しかも全員1位だそうです。つまり、選挙区で敗北しても比例区での復活当選の可能性が極めて濃厚。まぁ、あのメンバーのうち選挙区で勝てるのはせいぜい2〜3名でしょうけれど、それにしても何のために選挙区で戦うんでしょうね。それにしても女性候補頼みって、昔の社会党みたい。ということは…。
民主党は、自民党より分裂の可能性を孕んでいるみたい。一枚岩ではないのが何よりネック。小沢一郎副代表がまた陰でいろいろ動いているみたいだし。あと、自民党の分裂選挙の狭間にあって、顔が見えてこないというのは痛手ですね。とにかく自民対民主の構図にこだわりすぎです。自民も民主も、もとを辿れば「寄せ集め」ですからねぇ。
公明党は、相変わらず例のバックホーン頼み。比例だけは圧倒的だよね。選挙の結果によっては、民主党との連携も囁かれており、いっそのことコバンザメ党に改名した方がいいんじゃないかと…(しかしこの党の組織力は恐ろしいというか何というか)。
共産党は、「たしかな野党」を掲げて自民党との対決姿勢を鮮明にしていますが、野党第二党にしては勢いがない。現状維持できれば万々歳なんでしょうね。
社民党は、土井前党首が比例単独5位と、実質の「当選圏外」。世代交代の波が押し寄せていますね。一方、執行猶予中の辻元前議員を再び擁立するなど、全く懲りていない様子。憲法9条のことばかり口走っているけれど、大丈夫か?
新しく立ち上がった新党は、正直よくわかりません。綿貫代表は顔と肩幅のバランスが取れていないのが笑えます。ま、選挙が終わればすぐ解党しそうな気もするし。
ああ…そういえばホリエモン。大橋巨泉を彷彿させますな。何やってもパフォーマンスに見られてしまうのが哀れ。でも、彼の政治ポリシーって、一体何?
今回、無党派層ってどう動くんだろうね?既存政党は論外だし、新党なんて所詮自民党からの落ち武者みたいなものだし、そう考えると無党派層の受け皿がないような気が。ということは、投票率は大幅ダウンか?
結局争点が何なのか、よくわからぬまま突入してしまった選挙戦。
外は暑いけど、醒めた選挙戦…。早く終わらんかな。
でも…投票には行きましょうね。自分の名前書いてもいいから投票しましょうね。
しつこいようですが、投票に行かない分、税金が無駄になります。
nonvey、今回の選定基準(消去法)。
・他党や候補を徹底的にこき下ろした挙げ句、「でも私は…」というヤツは論外。
・党や自分の実績ばかり強調するヤツも問題外。
・郵政のことばかり持ち出すヤツもさようなら。
・大物頼みのヤツは即消去。

2 thoughts on “争点の見えない選挙戦

  1. nonvey

    政治家なんて、所詮私利私欲の塊ですよ(笑)。
    でも、それをヨシとして選択する有権者がいるという現実。結局その人達も、オイシイ思いをしてきたんでしょうね。

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