劣悪なる交通事情(JR編)

今日は地元の鉄道体系の話をしたいと思います。
ご存じの方も多いと思いますが、私は電車通勤をしています。利用している路線は、JR奥羽本線(弘前−青森)です。
青森県には人口15万人以上の都市が3つ点在し(青森、八戸、弘前)、それぞれがその地域の要所となっていることから、交通体系の比較的組みやすい県ではないかと思っています。
青森県では現在、東北新幹線(八戸・新青森間)の建設工事が進められており、2010年頃の開業を予定しています。新青森というのは、奥羽本線にある駅なのですが、実はこの奥羽本線、弘前から二つ隣の川部という駅を過ぎると、あとは青森までずっと単線なのです。新青森駅は、将来的には東北新幹線の接続駅として設置されたのですが、単線にホームが一本、小屋のような待合室がポツンとあるだけの、非常に寂しい無人駅です。
この区間の複線化を望む声は、相当以前からありましたが、県やJR(国鉄)からは「前向きな検討」や「利用者の御理解を」といった、いかにも行政用語じみた、期待するには程遠い回答ばかりが繰り返されています。


以前から鬱積していたことでしたが、この数日間の降雪によるダイヤの乱れは、複線化への思いをますます掻き立てることとなりました。ひどい電車になると、半分以上の駅で「反対から来る列車との交換」のため停車するといった有様。「反対からの電車が遅れているため5分ほど停車します」のアナウンスだったはずが、気がつくと10分以上停車するのは当たり前となり、弘前に到着する頃には、15分20分の遅れは日常茶飯事の状態になってしまいました。電車の遅れとともにどんどん増していくフラストレーション。距離にしてわずか40キロ足らずのところを、時には1時間以上も要するといったこともありました。
大雪だから仕方がないじゃん。
そう思われては元も子もないわけですが、青森・弘前間は全線複線化とはいかなくとも、部分的に複線化することはできるはずなのです。ほとんど田んぼの中を、ほぼ直線で走る区間もあるわけで、地盤改良など必要ではありますが、物理的に不可能ということはないのです。問題は、金銭的なものでしょうか。
東北新幹線が八戸まで延伸した時もそうでしたが、いわゆる津軽地方に住む人達の新幹線に寄せる期待というのは、非常に醒めたものがありました。それは、弘前からJRを利用して仙台・東京方面に向かう場合、一度青森を経由して八戸まで向かう必要があり、結果的には、現在弘前・盛岡間で運行している高速バスを利用して盛岡で乗り換えしても、時間的に大差ないといったことからでした。
八戸・弘前間には特急が運行されることになりましたが、乗車率は決して良いというわけではありません。そしてこのことは、通勤の足を一部奪うことにもなり、特に18時48分の青森発弘前行きの普通電車に乗り遅れると、19時台には2本の特急列車(うち1本は八戸発弘前行、もう1本は大阪行寝台特急)が運行されるため、次の普通電車は20時25分まで待たなければならないということになり、仮に定期乗車券で19時台に弘前へ帰路に就こうという場合は、別途500円の自由席特急券も用意しなければないという不便を強いられています(弘前・青森間の運賃は650円ですので、500円が高いか安いかは皆さんの判断におまかせします)。
しかも、たかだか40キロ足らずのところを、1時間も要する普通電車もあります。これは、各駅で列車交換となるためで、そのたびに3〜5分の停車を余儀なくされるからです。
では、何がここまで複線化を遅滞させているか。
一つは政治力、もう一つは金銭の問題でしょうか。
まず、津軽地域(特に奥羽線沿線)の首長や議員を見ていると、複線化を継続的かつ声高に叫ぶ人がいません。年に一度、何らかの大会に馳せ参じ、あらかじめ用意された「複線化」をその場で叫んだらあとは終わり。結局は、パフォーマンスの域を出ていないのです。地元選出の国会議員も「東北新幹線の完成前倒し」に関しては、まるで鬼の首を取ったように意気揚々ですが、そのアクセスとなる奥羽線複線化について触れる人は誰もいません。
余談ではありますが、現在の知事は八戸市の隣町の出身。津軽地方には縁もゆかりもない方のようですので、奥羽線の複線化には全く関心がないようにも見えます。
もう一つの金銭問題。この点に関しては当然地元負担を強いられることになります。青森県では、まるで呪文のように「緊縮財政」を唱えています。新幹線への費用負担はやむを得ませんが、奥羽線の複線化には鐚一文拠出するつもりがないのでしょうか。また、これは先の「政治力」にも関連してくるのですが、受益者負担と称し、沿線自治体に費用負担を求めてくることでしょう。財政事情の厳しい市町村が多い中、一部利用者のために複線化への費用を捻出するといったことは、まず考えられないのです。
今のままでは、東北新幹線が延伸され新青森駅が開業しても、我々弘前の住民にとってはあまり恩恵がないような気がします。今のままで新青森まで延伸開業しても、何だか見窄らしい、接続の悪い奥羽線が残るだけのような気がしてなりません。
全線複線化するのは、莫大な金銭と時間を要することとなります。
ここは、部分的に複線化していくべきではないのでしょうか。
いい加減、奥羽線の区間複線化を、現実的問題として考える時期にさしかかっているような気がしてなりません。
それとも、東北新幹線(東京・新青森間)開業の暁には、山形、秋田に倣う形で「弘前新幹線」でも訴えた方が得策なのでしょうか。もっとも、新青森は途中駅ですので、通勤には利用できませんが(苦笑)。

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