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【名盤アゲイン】LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 1 / George Michael

1990年9月に発売された、ジョージ・マイケルの2作目のアルバム。VOL.1という名が付されているだけに、翌年にはVOL.2の発売も予定されていた…というか、そもそもこの作品は2枚組での発売が予定されていたのですが、先に完成していた分をVOL.1として発売したところ、後述するとおり米国での売上げがパッとせず、そのことを酷評した所属レーベルであるソニーの社長の発言に激怒したジョージが契約無効を訴えて法廷で闘争が繰り広げられるという事態になり、VOL.2の発売はお蔵入りとなってしまいました。(結局この法廷闘争はソニーに軍配が上がりますが、次作の「OLDER」が発売されるまで5年以上も費やすこととなりました。プリンスが頬に「SLAVE」と書き記したのもこの頃で、彼自身もワーナー・ブラザーズとの確執が取り沙汰された時期、この裁判の行方を見守っていたと言われています。)
Wham!としての実績、キャリアを備えてのソロデビュー、満を持して発表された「FAITH」は、どこか泥臭い中にも洗練されたR&B基調にジャズの要素も織り交ぜた作品として世界中で大ヒットすることとなり、音楽業界が最も賑わいを見せていた群雄割拠の時代にあって、ジョージがソロ・アーティストとして一級品であることを改めて印象づけることとなりました。

そしてそれから約3年後に発表された「LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 1」は、英国で初登場1位を記録し、「FAITH」を凌ぐセールスを記録しました。他方、米国での売上げは200万枚にとどまり、デビュー作「FAITH」の3分の1以下にとどまることに。この原因は、プロモーションを一切行わなかったためという見方が多かったのですが、実はリスナーの中には、恐らく「FAITH VOL.2」のような内容を期待していた人が多かったのではないかと思います。
…いや、正直言うと僕はそうでした。ダメなリスナーでホントすいません。ダンサブルでキャッチーで、それでいて煌びやかな、そんな優雅なアルバムを望んでいたのだと思います。ところが、蓋を開けてみると…
華美で派手な雰囲気すら醸し出す「FAITH」と比較すると、どこか落ち着いたような、内省的な雰囲気すらある2作目。それは、Wham!や商売至上主義に踊らされていた自分との決別、とも取れる作品でした。ジャケットを見ても彼の姿はなく、ダンスミュージック隆盛の時代に、何となく古臭さを感るような音。「偏見(先入観)なしで聴け」というタイトルも高圧的なところがあり、それもまた批評家の反感を買ってしまったのかも知れません。まあ、そういう批評家の声だけで作品の是非を決めつけるというのもいかがなものかと思いますが…。すいません、僕は完全に先入観と偏見の塊で一聴してしまったのであります。
ところがこの作品、彼の奥深さを垣間見ることのできる作品であることを徐々に知ることとなります。
シングル・カットされた「Praying For The Time」や「Freedom’90」をはじめ、スティーヴィー・ワンダーのカバー曲「They Won’t Go When I Go」(敢えてこういう曲を選択するのもジョージらしい)、さらには名曲「Heal The Pain」など、ピアノやアコースティックギターをふんだんに盛り込んだフォーク色の強い楽曲が多く、実は非常にクオリティの高い、ファンの間でもかなり評価の高い作品なのであります。だから、ジョージ・マイケルの代表作といえば「FAITH」ではなくこちらを推すファンが多いのも事実。いや、「FAITH」も素晴らしい作品なんですけどね。

この作品が発売される1年前の1989年、似たような経過を辿ることとなったアーティストがいたことをふと思い出しました。それは、テレンス・トレント・ダービー。(現在はサナンダ・マイトルーヤと改名。)
彼もまた、英国で華々しいデビューを飾り、87年に発売されたアルバムの売り上げは1,200万枚を超える大ヒット。しかし、次作では批評家による賛否両論が巻き起こり、商業的な成功を収めることができぬまま、ひっそりと表舞台から消えていくこととなりました。(今もちゃんと活動はしているんですよ。)
どちらかと言えば玄人好みといえばいいのでしょうか、この2作目を絶賛するアーティストは多く、その中にはジョージも含まれていたようです。しかも、プリンスはライブで彼の楽曲をカバーしていたとのこと、そんな不思議というか奇妙な関係があったのですね。

閑話休題。
色んな意味で転機を迎えるきっかけとなった「LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 1」の発表から25年という時間が経過、この間、SMEとの間で和解があったり、彼自身がゲイであることをカミングアウトしたり、何度か逮捕されたりと、色んなことがありました。「FAITH」に関しては発表から25周年を記念するデラックス・コレクターズ・エディションが発売されましたが、この「LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL.1」に関しても、同様のパッケージとなるデラックス・エディションが発売されることが決定しました。

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個人的には「「LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL.2」との完全盤を密かに期待していたのですが、残念ながら(当然のことながら)その期待には応えて頂けませんでした。。。。
がしかし!VOL.2に収録されるはずだった幾つかの音源が、「レア・トラックス」のディスクに収録されているほか(といっても「レア」というほど「レア」でもないような気が…)、ブート盤で聴いたことのある「MTV Unplugged」が公式CD化、ボーナスディスクとして同梱されます(でも、これって96年のライブで、確か「OLDER」の発売に合わせたもの。版権の問題かも知れませんが、これは「OLDER」とパッキングされるべきでなかったのかな?)。
さらには、ドキュメンタリー映像をDVD化したものとPVを一緒にしたDVD(約70分収録)も1枚セット、CD3枚DVD1枚という内容での発売となります。

この作品を最後に一度SMEと袂を分かち、次作の「OLDER」(1996年)はVirginからの発売、そしてその後の「PATIENCE」(2004年)は再びSMEからの発売と経過を辿りますが、ソロとしてのオリジナル・アルバムは、たったこの4枚しか発表していません。更にこの「PATIENCE」に関しては、CDアルバムとしての最後の作品だと彼自身がほのめかしており、実際この作品の発表から既に12年が経ちますが、オリジナル・アルバムに関しては発売される気配が全くありません。しかし、「OLDER」にせよ「PATIENCE」にせよ、実は非常に評価が高いのであります。
その他は、ライブ・アルバムやカバー・アルバム、そしてベスト盤という構成で、オリジナル・アルバム4枚しか発表していないのに3枚組のベスト盤「Twenty Five」が発売される、なんてこともありました(「Wham!」時代からのオールタイム・ベスト)。
ファンの一人としては少々物寂しいところもありますが、今回、こういう形でまた名盤に光が当てられるのは、ちょっと嬉しいですね。

【あと5日】ここにきて、闘病日記など

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第2回さいたま国際マラソンまであと5日となりました。ナンバーカード引換券も無事送達され、前回は最後尾のDブロックスタートだったのが、今回は最前列のAブロックからのスタートへと一気に飛び級しました。ちなみに今回はGブロックまであるそうですが、あの狭いスタートを抜け出すのは一体何時になるのでしょう…。
一度走っているが故の期待感、一度走っているが故の焦燥感、そして、一度走っているが故の恐怖感、今、色んな感情が複雑に交じり合った、かなり不安定な精神状態に陥っています。

もう10日も前になりますが、前回から変更となったさいたま国際マラソンのコースの分析を行いました。その中で一つだけ指摘するのを忘れていたことがありました。前回は37キロ以降の旧中山道に入ってから、特に北浦和駅、与野駅周辺の混雑が思った以上で、歩行者の横断も凄かった。今回は制限時間が6時間ということで、更に激しさを増す可能性がある。…結局、それを回避するために、逆ルートにしたんですよね。それだけなのに「コースが走りやすくなった」などと謳っているんですよね、きっと。というか、スタート直後の旧中山道、超不安なんですけど。

昨年は2015年の全てをこのレースにぶつけるんだ、というぐらいの意気込みで臨みました。その結果、9度目のフルマラソンにしてようやく2度目のサブ3.5を達成し、PBを更新。難コースと言われたこの大会で結果を出せたことは、自分にとって大きな励みと自信になりました。
しかし今年は、目標にしていたこと(ハーフで90分切り、フルで200分切り)を既に全て達成しているので、前回ほど気合いを入れる必要はないのかな、と思っています。とはいえこの性格なので、多分手抜きをすることなく走ってしまうことでしょう。…いや、そのつもりです。

実はここ数日、SNSからも少しだけ距離を置いていたのですが、正直、文字を追うのも辛い(面倒くさいと感じてしまう)ぐらいの状態だったのであります。
先月29日に人間ドックがあり、その前後から風邪気味に陥っていましたが、11月2日になってその燻りが一気に爆発した感じ。その夜開催された職場の飲み会はテンションが全く盛り上がらないどころかティッシュペーパーが離せず、帰宅後から酷い体調不調に。熱はなかったものの(いや、測っていないだけで実際はあったのかも知れません)、最初は喉の痛み、鼻水に悩まされ、その後咳と頭痛が酷くなるという状況に。
翌3日は文化の日で祝日でしたが、あまりの体調不良で外出する気分にもなれぬまま、終日静養に充てていました。翌4日は休暇を頂いていましたので、この日も静養していたのですが、さすがに3日間何もしてないというのはマズい、という焦燥感に急に駆られることとなり、午後から一念発起して鼻水を垂らしながら約14キロをランニング。結果的にはこれが徒となって、またしても風邪をぶり返すという最悪の状態に陥ってしまいました。しかも、5日の土曜日は早朝からアップルマラソンで伴走を務めたAさんからリクエストにより、今年最後の伴走ということで弘前公園内をジョグ。約10キロを1時間30分と、かなりのスローペース(早歩きにも近いペース)になり、良い練習にはなったのですが、途中から小雨に降られるという憂き目に遭い、身体が冷えまくり、その結果、6日の日曜日は3日と同様何もすることができずに静養という、文字通り踏んだり蹴ったりの4日間。とても1週間後にレースを控えている人とは思えない堕落の日々を過ごしていました。
ところがこれがまたあら不思議、アルコール抜きをしたら一気に楽になり、周囲の人からは辛そうに見えるようなので当面はそれを演じつつ(笑)、大会まで残り1週間となった7日から最後の調整を開始し、今日に至っています。
しかしながら調子はまだ病み上がりといった感じで、体調の回復は7割程度ですが、今のところ走る上での支障はなさそう。(道中は鼻を垂らしながら走ることになるのかも知れませんが。)
よく考えてみると今年は3本のレース(いずれもハーフマラソン)の出場を取りやめており、うち2本は自分の体調不良によるものだったことをふと思い出しました。結局、自己管理がまだまだ甘い、ということなのでしょう。

静養中にある調べ物をしていたら、面白いデータを発見、今はそれを励みにさいたま国際マラソンに臨もうと思っています。(何のデータなのかについては、大会が終わった後でまた改めて。)
いろいろ思うところがある中で臨むさいたま国際マラソン…初開催となった昨年もこんな感じだったんですが、何でさいたまの前は緊張の度合いが高くなるんでしょう。どうもこの大会は戦々恐々としてしまいます。正直言ってかなり怖いです。怖じ気づいていますが、昨年みたいに気合いを入れすぎることもなく、あくまでも淡々と走ろうかと思っています。

マラソンは結果が全てなので、「たられば」の話はしてはいけません。
でも、北海道マラソンは、15キロ地点でトイレに立ち寄らなければ、脚が攣っても昨年の記録は軽くクリアしていました。
田沢湖マラソンは、36キロ過ぎの激坂を慎重に越えた後で結構歩きましたが、それでも3時間17分台で乗り切りました。でも、あの時歩かなければ…という思いがよぎります。
10キロもハーフも、今年に入ってから1分以上タイムを縮めています。ということは、ランの底力はきっと押し上げられているはず。さいたまのコースはアップダウンの続く難コースとは言うけれど、田沢湖マラソンのそれに比べたら、全然大したことがない。そう考えると、気も楽になるってものです。今なら普段通りに走れば、昨年の記録だって更新できるんじゃないのか?…なーんてね。
その日の調子はスタートラインに立ってみないとわからないので、一体どういう結果になるのかはわかりませんが、今はとにかく、全て都合のいいように解釈したいと思います。

きおわない、きばらない、きにしない。

一方、そしてここに来て衝撃の事実発覚。「さいたま国際マラソン」、なんと今回はランナーズアップデートの導入が見送られた模様。他の同規模の大会は導入していますよね。ということは、「ジャパン・ツアー 2016」最終公演の模様は(残念ながら?)「生中継」されない、ということに…。これはいかがなものかと。

11/9追記
応援naviによる位置情報サービスが提供されるとのことでした。