Category Archives: 読書感想文

読みかけの本3冊

通勤の際には、PORTERのブリーフケースをいつも持って出かけるのだが、この中に、読みかけになったままの3冊の本が入っている。早く読まなきゃ、と思うのだが、いろんな事情があって、完読できないのだ。
本3冊だから、結構な重さにもなるし、スペースも占有している。
朝夕の電車に乗り、座席を確保した時点でいずれかの本のページを開く。ところが、なかなか先に進まない。イヤ、ひょっとしたらずーっとこのまま進めないのかも知れない。
いずれも、他の方から紹介を受けたり、他の方が薦めていた本ばかり。
こういった素晴らしい書籍を読み耽りながら、書籍を選ぶ際の自分の「選眼術」のなさに、呆れている。
ただ、本当に読んでいて「これは…」と思う機会に恵まれることが少なく、そういった意味ではこの3冊というのが、今後愛蔵書になる可能性も秘めており、早い段階で紹介しておきたくなった。

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『弥勒』 / 篠田節子

この本を薦められたのは、先月中旬の飲み会の席上でした。
「あの本はね、分厚いけど一気に読める!面白いよっ!」とおっしゃったのは、某課の課長。
正直その時点では、作者も知らないしタイトルにも内容にもあまり興味が沸かなかったのですが、ある日突然、なぜかこの本を読んでみなければという衝動に駆られ、その本を手に書店のレジに並んでいました(なぜ急にそういう切迫した気分になったのか、未だにその理由はわかりません)。かれこれ4年前の作品だったのですね…。
以前はそれなりに得意としていた地理も今ではちんぷんかんぷんで、歴史や芸術に関しても全く疎い私が、 インドとネパールの境にある架空の国・パスキムでの出来事をテーマにしたこの分厚い本(600ページ以上!)を読破することができるのか?そんな不安を抱きながら読み始めてみたのですが、この本の不思議な魅力に取り憑かれ、一気に読んでしまいました。
しかし、読み終えた後、この本の内容を皆さんに伝えたい、そして皆さんにも機会があれば一読して欲しいと思いながら、適当な言葉が見つからず、今も悶々としています。

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『海辺のカフカ』 / 村上春樹

海辺のカフカ (上)
村上 春樹

海辺のカフカ (下)
村上 春樹

今更なのだが、「海辺のカフカ」を読み終えた。いや、貪るように読破したといった方がいいかも知れない。僕が村上春樹の作品を読み始めたのは、確か高校に入学する前後だったような気がする。その頃も、とにかく馬鹿の一つ覚えのように村上春樹作品ばかり読んでいた記憶がある。その後僕は、ダニエル・キイスに目覚め、そして沢木耕太郎の「深夜特急」を経て、それ以降は現実的な新書ばかり読み漁るようになり、いわゆるフィクションの小説とはしばらく疎遠となった。それでも、「ねじまき鳥」「アンダーグラウンド」と、合間を縫って村上作品は読み続けていたような気がする(ただし、ベストセラーとなった「ノルウェイの森」と、翻訳作である「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を除いては)。

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知事―地方から日本が変わる

久しぶりに書評を。筆者は、橋本大二郎「前」高知県知事。彼が知事に就任してから3期目半ばの2001年に出版されたもの。何だかとてもタイムリーというか、高知県の知事出直し選挙が行われている真っ最中(というか、明日投票日)なのでというわけではないが、偶然かつて同僚だった方から借用したこの本を読み終えた。

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「脳を鍛える大人のドリル」

最近、というかかなり前から話題となり、たびたび取り上げられているこの本。実際店頭に行って実物を手に取ってみたところ、その大きさに「ちょっとこれでは…」と身構えてしまった。「音読」というのも、何だかちょっと恥ずかしいし…。大体にして、毎日継続することが大事と言いながら、やれる時間がないじゃないか!
そんな私のような人間のことを思ったのか、何と「携帯版」が登場していた。
電車の中で、ちょっと集中することで、脳が活性化され、老化の防止にも繋がるという。
適度な厚さの新書版サイズには、フリガナの振られた「古文」と、逆三角形に並んだ一桁の数字を足し引きする「算数」が交互に織り込まれている。
携帯版ということなので、電車通勤する人を対象としていると思われ、古文に関しては声に出さずに、黙読して下さい、とのこと。ただし、できるだけ速く。もう一つの算数は、もちろん計算機を使わず、筆算ではなく暗算して下さい、という。これによってどういう作用があるかというと、前頭葉が刺激され、頭がスッキリする、あるいは集中力が高まるなどと行った効果が実証されたという。
声に出さなくても良い、筆記用具を手にしなくても良いというのは、かなりポイントが高い。
今更ではあるが、早速僕も購入し、試してみた。もちろんブックカバーは必須。最初は、バカにしているのかこの算数?と思ったが、だんだん難易度が高くなってきており、また、時々集中力が途切れた途端にペースが乱れる。当然解答は×。古文も、速く読むということを忘れ、内容に没頭してしまうこともしばしば。簡単な現代語訳も付いているので、取りあえずは速読することを心がけ、その後で改めて内容を読み返してみるというのが一番いいようだ。というわけで、気づかないうちにのめり込み、現在15回目付近を折り返し中。ちなみに「5分でできる」というが、僕はいつも15分くらい要しているようだ。
果たして、本当に脳が活性化されているのかはわからない。ただ、朝のボーッとしたあの眠気は、あまり感じることがなくなった。どうやら、知らず知らずのうちに、わずかではあるが効果があったらしい。
例えば成功したダイエットのように明確な効果が現れないのは玉に瑕だが、試してみる価値は大いにあると思う。脳の活性化に向けた735円という投資も、決して高くはない。いつになっても成功しないダイエットよりははるかに安価で済むだろう。
毎日通勤電車で「寝る」ことを日課にしている方へ、特にお勧め。
川島隆太教授の脳を鍛える携帯版大人のドリル