再始動、ジョイポップス #弘前市 #JOY-POPS のこと


今は昔、弘前市内には数多くのレコード店があったそうな…。

市の中心部、下土手町にあった日弘楽器、代官町のタカムラ、その向かいにあった家電量販店「電巧堂」の2階にもレコードが数多く置かれていたし、イトーヨーカドー内の5階には新星堂もあった。確か、イトーヨーカドーの向かいにもレコード屋さんがあった記憶があるのだが、これはうろ覚え。(駅前マルサンの隣にあったレンタル屋ではなく、だ。)
時の移ろいとともにインターネットの普及やデジタル音楽台頭することとなり、これらの店は徐々に姿をしていった
今でも弘前市内でレコード店として店舗を構えているのは、さくら野弘前店にあるバンダレコードぐらいしか思い浮かばない。
更に時は移ろい、ストリーミングやサブスクリプションといった新たな音楽提供の形が定番化される一方、新型コロナの影響で、数々のコンサートやライブが中止を余儀なくされた。
何となく人にも街にも疲弊や閉塞感が漂い、時には鬱蒼とした雰囲気、更に時には殺伐とした空気すら漂う中、一つ大きなニュースが飛び込んできた。
「タカムラ」から「ジョイポップス(JOY-POPS)」に店名を改め、弘前市中土手町で店を構えていたヒロシさん(齋藤浩さん )が、14年ぶりに店舗を再開するという。しかも、「終活」と称してご自身のコレクションをメインに販売していくというのだ。


昔むかし、その昔…
ヒロシさんとの御縁は、僕が高校生だった約35年前に遡る。
当時、限られた小遣いや、ちまちまと貯めたお金の行き先の多くは、その後において僕のあれこれを支える「素晴らしい音楽達」に費やされた。

JOY-POPSに通っていたのは月に2,3回程度だったが、今でも聴き続けている音楽の多くとは、ここで出会ったといっても過言ではないし、僕自身の音楽に対するアンテナを拡げるきっかけとなった。
邦楽だと、まさかここまでハマるとは思ってもみなかった岡村靖幸を筆頭に、The Street Sliders、今はあまり聴かなくなったが渡辺美里なと、ドーナツ盤に8cmCD、CDアルバムVHSビデオなど色々買い漁ったし、洋楽であれば、Princeはもちろん、当時あまり名が知られていなかったAnita BakerやLuther Vandrossなど、様々なアーティストのレコードやCDを手に入れた。

そこに行けば、僕の知らない音楽がたくさん眠っていた。
だからJOY-POPSは、僕の音楽遍歴の基礎を築いた場所、といっても過言ではない。
昨今当たり前となったストリーミングやサブスクリプションは僕も利用しているが、やはり本当に聴きたいと思った音楽は、実際に手に取ってみたいと思う。つまり、レコードやCDといったマテリアルを手にしたいと思ってしまうのだ。

だから今でも本当に聴きたいと思った音楽はCDやレコードを購入しているし、結構な数のCD、レコードが部屋を占拠している。 ただし、その入手先はもっぱらインターネット。しかも、外資系の大手がほとんど。当たり前のことだが、そこに、店員と客の会話は発生しない。
「○○がお好きなんですね。じゃあ、こっちもお勧めですよ。」とか「あ、そうそう。この人の関連で今度□□が発売されますよ。」みたいな情報のやり取り、キャッチボールがないのだ。
「弘前の音楽番長」との異名を持つヒロシさん。ライブの会場でも顔を合わせる機会が結構あったし、経営する隠れ家のようなバー「ASYLUM」には、年に一回程度ではあるが、足を運んでいる。(ちなみにASYLUMには「亡命」や「保護施設」といった意味があります。
そんなこんなでヒロシさんとの御縁は、細く長く続いていたわけだ。

そしてその御縁の媒体は、Princeだったり岡村靖幸だったり、いずれにせよ高校の頃に没頭した音楽の数々だということは間違いない。
2021年3月21日、 いよいよJOY-POPSが14年ぶりに再オープン。なかなか足を運ぶことができなかったが、4月になった先日、ようやく店を訪れる機会を得た。


店舗のある3階へと続く階段の壁には、かつての店内を飾っていた懐かしのポスター等が所狭しと貼られ、店内には非売品の販促グッズも数多く飾られている。そして、段ボール箱に収められたレコード盤やラックに収まったCDの数々は、かつてのJOY-POPSを思い起こすに充分過ぎる光景だった。
しかし、うわぁ、懐かしい!…という感情よりは、どんな掘り出し物が眠っているんだろう、というワクワクドキドキが溢れ出てくる。音楽が好きな人たちにとっての、いわばテーマパークみたいな感じた。

並べられだ商品に最近の流行りものはほとんどなく、1970年代から2000年初頭のものが中心。
様々なアーティストのレコードジャケットを眺めながら、なぜかニヤニヤが止まらなかった。
ふと見ると、足元には封の開いていない段ボール箱が並べられ、まだまだニヤニヤが続くことを予感させる。
最近の音楽にのめりこんでいる人には全くお勧めしないが、一度足を運んでみる価値は絶対にあると思う。
ご本人は70歳まで、つまり最低5年は営業する気満々とのこと、実際この日も少しだけお話を聞かせて頂いたが、「いやあ、楽しくて仕方がない!天職だわ!」と言いながら嬉々としていた姿がとても印象的だった。


でも正直言うと、マニアにはあまり足を運んで欲しくないという気分になったのも事実。だって、「これ、売ってもいいのか?」という凄いのが色々紛れ込んでいたので…いやホントに。(レコードの帯に「見本品」の文字!マジか!)

14年ぶりに営業再開したJOY-POPS。個人的には「齋藤浩ミュージアム」と勝手に名付けたい。

青森県弘前市土手町 112−1 3F
金曜~日曜 12時~18時営業

(店主の齋藤浩さん。3年前、ASYLUMにて。)