ダウンロード税

iTunes Storeなどで音楽や映像といったコンテンツを購入した場合、8%ほどの「ダウンロード税」が課されるようにする、という検討が米国・カリフォルニア州で始まったとのこと。
ことの発端は「税収不足」を受けて、とのことのようだが、特定財源暫定税率の税源を失い路頭に迷っているどこかの国でも同じような検討が始まる可能性は大いにあり得る。というか、模倣する可能性は極めて高いような気がする。

ちなみにワーナー・ミュージックでは「音楽税」なるものの提唱を始めているようだが、これは単なる業界内部の統制を図ろうとするものらしく(音楽税を稼げるアーティストは大事にするが、稼げないアーティストはポイ捨てされる確率が高くなる、という意見もある)、賛否両論が渦巻いているようだ。

そういえば似たような話で数年前、日本音楽著作権協会が中心となって、iPodなど私的録音補償金制度の対象にされていない機器も対象に含めるよう政府に強く訴えた、なんてことがありましたな。こちらはハードへの課税を求めるものだった訳だが、今回はソフトへの課税を検討するもの。

そもそも、2007年は音楽産業が壊れた年とまで言いきった人もいるぐらいいろんなことが起きた年だった。プリンスの英国における新作の無料配布、マドンナのメジャーレーベルからの離脱、レディオヘッドの「価格のない」アルバムのダウンロード販売など。
もっとも、30センチ四方の芸術作品であったレコード(ジャケット)が姿を消し、「半永久的に劣化しない」と謳われたCDが席巻し始めたあたりから、音楽業界の迷走は始まっていたような気もするが…。
まあ、この辺の分析については、僕は音楽業界のプロでも何でもないので、その筋の人たちに任せるとしよう。

物的な価値が薄らぎ、CD等のパッケージ商品の売れ行きがどんどん減少傾向にある中、「ダウンロード販売」はどんどん伸びているらしい。そういった事情から新たな税収源として目をつけたということなのだろうか。

それにしてもこのダウンロード税、消費税のように確かに手っ取り早く税収を上げるにはもってこいの方法だろうが、その一方で、違法複製やダウンロードが更に横行する可能性も拭いきれず、国内で検討するのであれば、むしろそちらの取り締まりや規制を厳しくしてから検討に入るべきだろう。

といいながら、「俺はインターネット問題にはちょっとうるさいんだよ」なんていう国会議員の連中が、JASRACを巻き込んでここぞとばかりにしゃしゃり出てきそうなニュースソースだ(いや、JASRACが議員を巻き込むのか…)。

ここは誰が先陣を切るか、様子を見よう(笑)。

最初に槍玉に挙がりそうなのは、むしろiTunesやMoraで販売されているダウンロードコンテンツよりも、「着うた」のような気がする(「着うた」には消費税の課税はあるけれど、著作権絡みの課税はされているのかな?二重課税になっちゃうのかな?)。

米国の話なので日本にすぐ飛び火することはないだろうけど、個人的には、将来的に(それもかなり長期的にわたって)導入を検討することは別に構わないが、拙速に導入することだけは、是非避けて頂きたいところですが…。

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