青森県は67市町村が合併して現在40市町村になっているんですが、僕が青森県で生まれ育った今日まで行った（通った）ことのない村が2つあります。一つが、「キリストの墓」があるとしてマニアには有名な新郷村（しんごうむら）。
もう一つが、下北半島の東端に位置する東通村（ひがしどおりむら）。

今日は、このクソ忙しい時期に東京から遠路はるばるお二人がお見えになったので、鞄持ちというわけではございませんが、随行兼案内役として一緒に東通村に行ってきました（ちゃんとした仕事ですので念のため）。

青森市から車で約2時間半。
ここは東京電力と東北電力による原子力発電所の建設が進められていて、村へはいわゆる原燃交付金が潤沢に支給されていることもあり、周囲の貧乏市町村とは合併する気なし（というか東京電力よ、何故関東圏ではなく東北は青森のそれも東通に原発なのだ？ん？）。

とても村には似合わない、ナウシカに登場する芋虫みたいな建物を併設した役場やら、こんなに生徒がいるのか？と思いたくなるような巨大な敷地の小学校やらその他施設があちこちにあるのは、隣村の六ヶ所村にも似たところがあります。六ヶ所村も交付金がハンパじゃないからねえ。

役場に通じる無駄に広い村道で発見した最初の村人は、歩道のゴミを拾う腰の曲がった老婆でした。
その隣では、ダイエットに勤しんでいるのか、ウィンドブレーカーに身を包んだやたらと腕の振りのいいオバちゃん三名が歩道をブンブンと闊歩していました。奇妙な光景だ…。

村の東端、太平洋と津軽海峡がぶつかるところには尻屋崎という岬があり、ここには寒立馬（かんだちめ）と呼ばれる自然放牧の馬たちがいます。一時期絶滅の危機に瀕した馬たちも、保護や繁殖を行った結果、現在は30頭ほどになったとか。

尻屋崎周辺の広い草地には牛馬が放牧されており、そのなかでも目を引くのが、周年放牧されている「寒立馬」です。
粗食に耐え、厳寒の季節、力強く立ちつくす姿は命の尊さとたくましさを、温暖の季節にはにじみでる愛らしさで、人々の目を引き付けます。
寒立馬は、自然の躍動を感じさせてくれます。

…とまぁ、寒さに耐える馬たちの精神力を讃えているわけですが、実はオチがあります。

◆尻屋崎◆冬期閉鎖期間：12月１日?３月31日

…寒立馬、寒い時期に見られないじゃん。（笑）

というかハッキリ言って、今年は少雪だったからよかったものの、冬季に尻屋崎まで行こうなんて考えは絶対にやめた方がいいです。
無事辿り着ける保証はありません。

そしてもう一つ東通村の密かな名物。それが、蕎麦。
ちなみに東通村は、青森県で最も蕎麦の収量が多い地域なのであります。

村でも有名な「田や」という店に行きました。
まず、テーブルに置かれていたのは「ご自由にどうぞ」な蕎麦かりんとう。セルフサービスのお茶は勿論そば茶（それも韃靼蕎麦茶で飲み放題！）。

僕は天ぷら蕎麦を頼んだのですが、小エビの入ったかき揚げが乗っかって700円。
石臼挽きの10割蕎麦はコシがあって、ダシとの相性が抜群でした。寒かったこともあって温かい蕎麦を注文してしまったのですが、せっかくなら「ざる蕎麦」を注文すればよかったな、と後悔。

全ての用務を終えたのが13時10分過ぎ。
帰路は飛行機に間に合うように、との僕の心優しい配慮で青森空港へ直行、飛行機は17時10分発でしたが、15時35分には空港にお二人を下ろしてとっとと職場に戻ってきました。

イヤ、別にキレてるわけじゃないですよ。ただ、あれほどこの時期は来られても困るといったのに、半ば強引にやってきたお二人の、その神経を疑っただけですよ。飛行機出発の時間までお付き合いするほど、俺もヒマじゃないんでね。

そんなワケで移動時間が車で往復5時間、村への滞在時間2時間30分（昼食時間含む）。
東京のお二人もさぞかし満足して帰路に就いたことでしょう。あー疲れた。