アルティメイト・ベスト プリンス Amazonで詳しく見るbyG-Tools

ちょうどWB在籍時の「黄金期」とも言える時期から「選りすぐり」の曲をかき集め、2枚組に仕上げた、初CD化音源を多数含むPrinceのベスト盤。

新作『3121』の発表時期と重なったためか、一旦発売中止となり、そのままお蔵入りか？と思われたものの、何とか発売までこぎ着けた。

発売中止決定前に僅かに出回ったオーストラリア盤が、オークション等でかなり高額で取引されていたらしいが、落札した人たちは今、相当悔しい思いをしているんだろうな、とか思ったりして。

これが「ベストだ」と言われれば何か違うような気もするし、やっぱり彼の楽曲というのはシングルにならなかった曲に名曲が多くある事を考えると、どうせならオリジナルアルバム丸々１枚デジタルリマスターしてもらって、それにボーナストラックとして12インチ音源を収録してもらった方が、個人的にはとても嬉しいと思う（散財必至ではあるが）。

賛否両論ある中で、12インチ盤の楽曲が11曲もCDに収録されたことは素直に喜ぼう。大体、20年以上も前に発表された12インチシングルが今頃になってCD化されるアーティストなんて、そんなにはいませんぜ。
 

個人的には、1枚目の「シングルバージョン」についても、これはこれで嬉しいと思う（『Very Best Of』でも収録されていたけれど）。「I Would Die 4U」のいつ聴いてもあの強引な曲の終わり方、いいじゃないですか。3分にも満たない「I Wanna Be Your Lover」も、不思議と3分以上に聞こえるじゃないですか（笑）。

Rhino編集ということではあるが、この作品は少なくともマニア向けではないと思う（ホントか？）。
確かに12インチ音源が収録されたことでマニア向け、と見る向きもあるが、だったらいっそのこと全て12インチ音源でまとめてしまった方がよかったのだ。その方がよっぽどマニア向けだと思う。
つまりこの作品については、ディスク1枚目が本編で、2枚目はボーナスディスクだと割り切れば、この作品もそれなりに楽しめるのではないかと思う。せっかく購入したんだし、聴き惚れないと（笑）。

80年代の音楽が大好きで、プリンスなら何回か聴いたことがあるよ、という人（嫌いじゃないけどのめり込むほどじゃない、というような人）にお勧めしたい。プリンスって、こんな格好いい音楽作っていたんだ！と感心してもらえるのならしめたもの。あとは『3121』『Musicology』とたたみ掛けて、ハイ。プリンスファンのできあがり♪（多分）

ただ、ここからは難癖つけまくり（笑）。これだから自称長年のプリンスファンはイヤなんだよね（苦笑）。
やっぱりこの収録曲だと、「帯に短したすきに長し」といった感じで、何か物足りなさを感じるのも事実。彼のキャリアを考えると、全ての年代からまんべんなく収録、となるととても1枚に収まるわけもなく…。

1枚目の音源は、どうしても既発の『Very Best Of』の焼き直しのようにしか思えないし、権利上の問題があるからだろうが、サントラ『BATMAN』からは結局今回も全く選曲されていない。
2枚目にケチをつけるならば、『LOVESEXY』からの12インチ盤はゼロ。少なくとも「Alphabet St.」は、12インチバージョンでしょ（笑）。
もっとも、マニアな人たちなら既にこのCDに収録された音源はもちろん、他の12インチの音源やデモ盤、未発表曲もブート盤で蒐集しているだろうから、あまり食指は動かないといったところだろうか。

多分、同じような感想を抱いている人（とりわけ長年のプリンスファン）は多いんじゃないかと思う。この収録曲じゃ不満だとか、こんなのベストとして認めたくない、とか。
でもさ、よく考えてみると「究極のベスト」なんて人それぞれ違うんだから、そんな自分の好みに合ったベスト盤を発表しろなんていう方が図々しいってものよ（笑）。そんなに自分の好みに合ったベスト盤が聴きたいなら、自分で編集しなさい。ってこと。

でもってこれ、もしも第二弾が発表されるのであれば是非望みたい。というか、シリーズ化希望（笑）。
聞いちゃ貰えないことを承知で注文を付けるならば、CD化されていない音源（12インチ音源はもちろん、アルバム未収録のカップリング等）は、どんどんCDにしちゃって下さい。これ、本望。

でもって、『Around The World In A Day』は、アルバムに収録されているバージョンと12インチの音源を全て差し替えて発表して欲しいですわ。物凄い聴き応えがありそうな予感。

それはともかくとして僕は、まだまだ彼の作品について知らないことが多すぎることが、この作品を聴いた後で色々背景なんかを紐解いてみてよーく分かった。
発売されなかったサントラ盤（I’ll Do Anything？よくわからん）があるっていうし、大体にして彼がプロデュースしたという他のアーティストの作品は、あまり聞いたことがありません。

ところで、ブックレットを開くと過去の作品のジャケットやら何やらがまさにドバドバッと掲載されていますが、あれ、ほとんど持っているという方おられましたらご一報を。是非お友達になりましょう（笑）。