月別アーカイブ: 2017年10月

エレファントカシマシ30周年記念ツアー 2017 「THE FIGHTING MAN」 in 弘前 #エレファントカシマシ #弘前 #青森

(本日、敬称略につき予めご了承くださいませ。)

高校1年の頃、深夜にテレビ放映されていた「eZ」という番組。エピック・ソニー所属のアーティストのプロモーション番組なのだが、ある日この番組を観ていた時に、目が釘付けになったアーティストが1組。当時放映された時の映像が、こちら。

ぶっきらぼうというか邪というかやる気がないというか、それでいて攻撃的、しかもステージ上はもちろん会場全体の照明(いわゆる客電)もついたまま、誰一人席を立つことなく、拍手も私語もない…。何だこれは、誰だこいつらは…。(ちなみにこの時のライブの音源は、デビューアルバムの「THE ELEPHANT KASHIMASHI」25周年記念盤に全曲ノーカットで収録されています。)

これが、エレファントカシマシとの最初の出会い。その後もこの番組に何度か登場していたけれど、客のヤジに「うるせえなバカヤロー」と返す宮本。何か怖いぞ。でも、ちょっとこのステージ、観てみたいぞ…。
いわば怖いもの見たさと好奇心から抱いた彼らへの興味。
気が付いたらあれから30年という月日が流れ、私も大人になりました…ええ。

ただ、彼らの曲を聴くときはなぜか正座したくなるというのは今も昔も変わらぬまま。

鳴り物入りで登場した割には鳴かず飛ばずの不遇の時代。
厭世的、反社会的、排他的で自己中心的、だけど近代文学的。
それでも4ピースは一度もメンバー変更することもなく、たとえレコード会社との契約を打ち切られようとも、その姿勢を貫き続けた…がしかし、やがて転機が訪れ、ドラマやCMのタイアップ、テレビやラジオへの露出が続くうちに、現代社会に対する応援歌やメッセージ性の強い曲が増えるようになり、現在に至るわけで。

ファンクラブに入っているわけでもなければ、全部の曲を知っているわけでもない。それでもこの30年間、「大好き」とまでは恥ずかしくて言わずとも、ずっと聴き続けてきた「アーティスト」。
そして今回、なんと47都道府県を回るツアーで、青森県に久しぶりにやってくる、しかも会場は、自宅から約1kmの弘前市民会館!!!

30年間興味を持ち続けてくれてありがとう、のご褒美を頂いたような気分だった。
天変地異が起きようがミサイルが飛ぼうが、何が何でも行く。這ってでも、絶対行く。

‐‐‐

肌寒さすら感じる金曜の夕方。17時過ぎに会場に到着、気になっていたグッズ販売コーナーへ。16時からグッズ販売が始まっており、既にプチ行列が。うーむ、わかっていたことだったけれど気になるアイテムが豊富。
別に購入する気のなかったアイテムもうっかり購入。まあ、いいか。エレカシのコンサートをこの会場で観ることなんて、この先ないと思うし。

客層は男性・女性比で4対6ぐらい。40代が中心といった感じかな。

入口手前には御朱印みたいなスタンプコーナーがあり、47か所+1か所で全てデザインが異なるらしい。集印帳なるものも販売されており、これを持っていなければ押すことのできないスタンプもある。がしかし、たかがスタンプのためにこの集印帳を購入する気にもなれず、チケットの裏に1個押印。

ちなみに余談だけど、チケットへの押印は表ではなく裏がおススメです。表に押印すると、印が浮いて乾かず、高い確率でブレます。

チケットは何とソールドアウト。平日だし弘前だし、正直売れ残ると思っていた。

そうそう、今回はデビュー30周年ということで47都道府県を回るツアー、平日開催は唯一この青森県のみなのですよ。

18時過ぎ、既に伸びている行列に並ぶ。この日は19時開演のところ、21時45分頃終演であるアナウンスがされている。直近にある弘前市役所の駐車場が、22時で閉鎖されるためとのこと。

 

 

↓↓↓【ネタばらしあります。閲覧注意】↓↓↓

 

 

会場に入ると、何やらスモークかドライアイスが焚かれたかのような雰囲気。
前から8列目は、ステージからかなりの至近距離。アリーナ級の会場であれば、最前列ぐらいの距離なんじゃないでしょうかねえ。ホール会場ではあるけれど、飾り気のない小ぢんまりとしたステージセットを見ても、なんかライブハウスに来たような感じ。逆に変な仕掛けがあるより、ステージに集中できるのでこれぐらいの方がいい。

なぜか周囲は女性ばかり。見たところ、僕のような「おひとり様」で参戦している人も多いらしい。隣は会話から30代前半の女性二人組。後ろにはもう少し若そうな女性3人組。そのうちの一人が事前にセットリストを見たらしく、「今その順番に曲入れて聴いてるんだよね」とぶちまける。いいか、開演前にその内容は絶対に言うんじゃないぞ。例えその曲が、「ファイティングマン」であろうとも、だ!

公演は19時ちょうどにスタート。
袖からメンバー6人(キーボードとギターのサポートを含む)が現れ、会場から割れんばかりの拍手と声援。あれ?宮本がいないぞ…。と思って観ていたら、センターに立った短髪の男性はスタッフではなく宮本だった!「こんばんはエレファントカシマシです。」の第一声とともに宮本がライトに照らされた途端、会場一斉にこの日一番のどよめき。

「皆さんようこそ青森、弘前へ!オレたちもようこそ!」
「今日は満席だそうです。ありがとう、エブリバデ。っていうか一人一人が集まって、5万6千人ソールドアウトです。」 →会場から笑いと拍手。

「ここに来るときに車で見ましたよ、門。立派な門ですね。追手門っていうんでしたっけ。実に素晴らしい。興奮しました。」 →盛り上がる観客。

しかし…「桜の花、舞い上がる道を」のMCで桜の話。

いい話をするのかと思いきや、「桜を観て喜ぶなんて、よほど絶望が深いんですかね。」みたいなことを言い始める。 →自分含め、周囲の皆さん口をあんぐりしながら茫然。

「おいおい、ここ弘前なんですけど…。」

その後、何となく気まずい雰囲気に気付いたのか、「ここ弘前もね、桜があれですけどね。一つ一つの花びらが…」と口を濁すも、手遅れ。がしかし、僕自身はこの曲を聴きながら、ホロリと涙。昔、自分もこんな感じだったな、と感情移入。

「弘前は2回目なんですけど、町の中にあった本屋、もうなくなったのかな。岩波の新書とか、新書が凄くてね。古本屋だと思ったら全部新書(新刊)で、都会じゃ中古で売っているような本も普通に定価で売っているんですよね。今回は行ってないんですけどね、まだあるんですかね、あの本屋。」 →紀伊国屋書店のことかな。というか、あまり弘前の印象って良くないんだろうか(笑)。

セットリストは他で公開されているので割愛。基本的には30周年記念で発表されたベスト盤を聴いていれば概ねOK。ただし、これしか聴いていない、これしか知らないという人は、後半(終盤)辛い時間帯が続くかも。

個人的には、超攻撃的な「ガストロンジャー」、私はこのリズムが大好きなのでありますが、この曲を目の当たりにして客が引きかけたところへの「やさしさ」。この流れ、最高。またしても泣きましたとも、ええ。

正直、最初から最後まで座ったまま、それこそ正座してでも聴くつもりだったけれど、客電が落ちた途端にスタンディング状態に。周囲が何をしようとも手拍子はしないし、拳なんて小恥ずかしくて上げられるか…と思っていたけど、感情を抑えることができず、気が付いたら力いっぱい拳上げておりました。嗚呼…恥ずかしい。でも、それすらもごく当たり前のごとく受け入れる宮本、懐深くなったなあ…オレもあなたも大人になったんだなあ、と何だかしみじみ。初めて会うくせに。

「弘前中の電気を消して、夜空を見上げて…」という替え歌でまたホロリとし、公演終了。
終演は21時44分。ほぼピッタリ終わるところが凄い。いや、もしかしたら何か端折ったのかもしれない。それでも30曲近く演奏しているんだから、もう本当にありがとう、ですよ。

他に聴きたい曲もあったけれど、そんなのを言い始めたら人それぞれみんな違うだろうし、キリがないので止めておきます。
ただ、足を運んで本当に良かった。僕の周りでも涙をぬぐっている人、たくさん見た。それ見て、またもらい泣きした。弘前に来てくれて、ただ感謝。もう、それしか出てこないっす。

願わくば、桜が「絶望」ではないことを、その目でしかと確認してもらうためにも、是非とも春に来てください。
願わくば、もう二度とないかも知れない、弘前市民会館でもう一度…。

「弘前・白神アップルマラソン」に物申そう。

舌の根も乾かぬうちではありますが、鉄は早いうちに打て、とも言います。こういう問題は早めに提起した方がいいんだろう、という都合のいい解釈。本日は原稿用紙10枚弱。毎度ダラダラでどうもすいません。


今年の「弘前・白神アップルマラソン」も終わり、2017年のシーズンは実質終了となりました。個人的には冬眠の準備を開始です。

今回の大会が成功裏に幕を下ろしたのかどうかはわかりませんが、参加している中で色々気になる点もあったので、個人的に総括したいと思います。これは決して苦情やクレームではありません。あくまでも、一個人としての提言です。

(1)コースの問題

当日の受付(参加賞の受取り、荷物預かり等)がゴール地点にあるのですが、ここからスタート地点に行くまでには、必ずコースを横断しなければなりません。このため、9時のフルマラソンを皮切りに次々と競技が始まると、ゴールを目指すランナーが駆け抜けるため、多くのランナーが足止めを食らうという事態が今年も発生したようです。

これ、例年必ず問題として浮上していますが、もはや改善の余地はないのでしょうか。

また、ゴール直前(追手門広場)がやたらと狭いことから、最後の最後でダラダラと前を走る(歩く)ランナーを追い越すことができないという、フラストレーションの名所となりつつあります。今回、一部コースの変更により西目屋村の折り返しポイントが少し先に伸びましたが、いっそのこともう少し先(信号ギリギリのところ)まで伸ばすなどして、追手門広場に入る直前(裁判所横)をゴールにした方がいいんじゃないかと思います。追手門広場はランナーしか入れないエリアを広く取った上で、そこでドリンク等の提供を行うなど、ランナー目線の工夫が必要だと考えます。走り終えたばかりのランナーに、狭いので早く移動してください、はあまりにも酷です。

何よりも個人的には、弘前消防署の前が通行止めとなり、ランナーで溢れかえっているということが、一番の不安と疑問を感じているところです。

(2)給水の問題

アップルマラソンは私設のエイドが充実していることで知られていますが、その一方で、大会側が準備するエイドの評判はあまり良くありません。

ランナー目線からすると一番の問題は、給水所そのものが狭すぎること。テーブルとテーブルとの間隔があまりにも狭すぎて、ランナーが一気に集まってしまうのです。今回、脚を止めずに給水することを心がけましたが、とてもじゃありませんが無理でした。テーブルの配置はもう少し間隔を広げて欲しいです。更に欲を言えば、テーブルの数をもう少し増やして欲しいです。混雑しているから次の給水テーブルで…と思ったら、テーブルがないんだもん。

そしてこれに関連して、ゴミ箱の場所があまりにも給水所に近すぎるし、数も少ないです。(僕を含め)紙コップはなるべくゴミ箱に棄てたいと考えているランナーは少なくないはず。しかし、肝心となるゴミ箱の数が足りないようでは、もはやどうしようもありません。これでは路面がゴミだらけになって苦情が出るのも仕方ありません。

ついでにいえば、紙コップにどれぐらいのドリンクを入れるべきか、あらかじめ統一した方がいいんじゃないでしょうか。それぞれの給水所で量はバラバラ、挙げ句の果てに空っぽの紙コップを掴まされたことが一度ありました。

(3)抽選会

今回はまだ暑かったので良かったけれど(走っている時は大変でしたが)、仮に雨天となった場合、屋根のないあの広場で抽選を延々と行うことを考えると、何だかゾッとします。寒空でナンバーカードを握りしめるランナーを尻目に、お偉い大会関係者は、寒さで震えるランナーなんぞお構いなしで、テントの下でのほほんとしているのですよね、間違いなく。

あらかじめ事前抽選を行い、掲示するなど、もっと効率の良い抽選会であって欲しいと思います。

(4)前夜祭

今回、ペースランナーを務めるということで初めて前夜祭に参加しました。その中で一番違和感を覚えたのが、来賓席にだけ並べられた椅子。ランナー同士の交流を広げるという意味では、ランナーは別に立食でも構わないのですが、ステージの真ん前にある来賓席にだけ椅子が並べられ、まるでランニングには興味なさそうな皆さんがこれまた偉そうにふんぞり返って座っている姿を見ていたら、無性に腹立たしさを覚えました。しかも、ゲストランナーが来たと思ったら、真っ先にウハウハしながら乾杯して写真なんか撮っちゃって。あのですね、一体誰のための前夜祭ですか?来賓のためではないですよね。あなた方こそが率先して立食すべきであり、先にお客様たるランナーを座らせてください。あるいは、壁際に椅子を並べるとか。こういうところがランナー本位じゃないってことなんですよ。ハッキリ言って、かなり見苦しかったです。

(5)目障りな黄色のジャンパー

見苦しかったといえばこちらも。大会当日、黄色いジャンパーを羽織っていたのは関係者でしょうか。必要と思しきところに全く配置されていなかったような気がします。ついでにいえば、ただ椅子に座っているだけの「マネキン」が置かれていましたね。30キロ以降は特に酷かった。ボランティアなのかバイトなのか知りませんが、ランナーの動きなどお構いなしにスマホの画面ばかりを見ている連中。声援を送るわけでもなければコースを監視するわけでもなく、一体何のためにいるのか全く意味不明でした。ハッキリ言って目障り以外の何者でもありません。ああいうのを見ると、心底ガッカリします。やりたくないなら、You,とっととお家に帰りなよ,yo。

(6)救護車はもっと段取り良く

大会当日は晴れ、日中の気温が上がることも、あらかじめ見込まれていました。新聞などでは5名の方が熱中症の症状で救急搬送されたとのことですが、搬送されなかったにせよ熱中症を発症し、リタイアされた方がたくさんいたようです。ゴールしたとき、皆さんの顔の汗が乾いて塩が浮き、粉吹き芋のように白くなっていたのがその証。

人手の問題もあるのでしょうけれど、今回は何となく救護に回る方の数が手薄だったように思われました。

救護車は各所に配置されていましたか?聞いたところでは、1キロ以上にわたって片側通行となる14~15キロ付近、弘前方面から西目屋方面に向かう救護車がズラリと並んで通行可になるのを待っていたとのこと。

もう少し段取り良くできればいいのに。

(7)来年はもっと大きく!

これまで長年にわたって申し添えて来たことが、今回一つ実現しました。弘前駅での「歓迎」の表示。改札口付近にポスターが数枚張られ、「歓迎 ランナーの皆さん」と紙が貼られていました。前日にはエスカレーターの上に横断幕ならぬ「横断紙」も。

ただ、残念だったのはフォントが明朝体なのでしょうか、字が細くて非常に見づらいという。何だか仕方なくやったやっつけ仕事みたい。どうせやるなら太ゴシック体で、もっとデカデカと掲げてください。お願いします!

(8)市中の飲食店、会場の飲食ブースは充実していましたか?

腹を空かせて帰ってきたランナーも数多くいたようです。相変わらずゴールで手渡されるのはリンゴ1個。今回アミノバリューはあらかじめ参加賞の袋に同梱されていましたね。もっとも、これで空腹を満たせ、ということではないと思いますが、どうも飲食ブースでは販売数を足りなくする店があるなど、今年も不評だったみたいですね。

他方、会場の近所にある食堂では、ゼッケンを見せると50円引き、というサービスを行っていたそうですが、これをもっと市内一円に広めることはできないのだろうか、と思うのです。

今回は弘前駅からシャトルバスの運行が行われ、好評だったとのこと。ただしこれでは、駅前と会場の間を車両で移動することとなるため、途中にある土手町などはあまり恩恵を受けなくなる、という弊害も発生します。

とはいえ全員がバスに乗り込むわけではないと思いますので、例えばゼッケン見せたら50円引き、大盛りサービスなど、そしてそういったサービスを提供する飲食店を地図などに記す、そんなほんのちょっとサービスで、この日の客足が変わる(商売に繋がる)と思いますし、また違った賑わいを見せると思うんですけどね。


幸いにして、今のところはRunnetに掲載されたランナーからのレポート&評価の評点も思ったほど低くないみたいです。それでも、90点台に到達していないということは、まだまだ改善の余地がたくさんあるということ。

ランナー人口はこれから減少の途を辿るはずです。一方で、未だに新しい大会が開催されていることを鑑みると、これからは大会同士の「潰し合い」が始まると言っても過言ではないと思います。(ちなみに今年、弘前・白神アップルマラソンと同日に「松本マラソン(長野県)」「東北復興マラソン(宮城県)」が新設されています。)

今年、弘前・白神アップルマラソンは15回という節目を迎えましたが、今後も20回、25回と更に回を重ねていくために、ランナーの声に耳を傾けるとともに(…といっても全部聞き入れろ、という趣旨ではありません。中には自分本位のものもあると思うので)、弘前市だけではなく周辺地域が一体となって大会を応援する、ランナーを出迎えるような空気が醸成される必要があると思います。このためにも、実行委員会の皆さんには今一度、兜の緒を締め直していただき、関係各団体としっかり協力しながら、改善すべき点はしっかり改善していくべきだということを、僭越ながら提唱したいと思います。

4時間ペースランナーの重責 - 第15回弘前・白神アップルマラソン

言い訳を ゴール手前で 考える - のりを

原稿用紙約12枚の世界へようこそ。今日もだらだら長文、スタートです。

前々から話していることではありますが、僕にとって「弘前・白神アップルマラソン」は、生まれて初めてフルマラソンを完走した大会であり、地元開催の大会ということで、地元を盛り上げるという意味での御恩返しの場と位置づけています。これは、亡父が生前アップルマラソンの運営側に関与していたことも一端にあります。まあ、早い話が違った形で父と同じように大会に協力したい、という思いがあります。

今回は2年ぶりのペースランナー、それも4時間。やる以上はちゃんと役割を果たさなければならないという思いから、大会3日前からアルコールを抜き、2日前からカフェインを抜いていたはずなのに、前日の昼にうっかりランチでコーヒーを飲んで後悔するなど、普段の大会とは違う緊張感に包まれていました。

ちゃんとペースを保って走りきることができるだろうか。途中で挫折しないだろうか。果たして、どれぐらいのランナーの背中を後押しすることができるだろうか…。

普段、4時間を切って走るのは当たり前なんだから、4時間なんて楽勝でしょう、とおっしゃる方もいます。

しかし、逆に普段走り慣れないペースで、しかも一定のペースを保ったまま42.195キロを走るのって、正直かなりキツイものなのです。

遡って、大会前日は仕事のため普段通りの始動。朝練に参加できず、6時30分過ぎの電車で青森へ向かい、そこから車でむつ市へ。夕方16時30分前には弘前市へトンボ返り、17時からの前夜祭へ参加。

ペースランナーの紹介も兼ねてコースの見どころ、留意点などについて一言ずつコメントを求められ、15キロ地点のコースが若干変更となり、折り返し地点が少し遠くなったことをお話しさせて頂きました。

その後、憧れのランナーでもある吉田香織選手と念願の記念撮影。

「明日、頑張ってくださいね!」
キラキラした表情で声を掛けてくださる吉田さん。
「じ、じ、自己ベスト目指してが、が、頑張ります!」 (←仕事を忘れている)

迎えた大会当日は、絵に描いたような晴天。暑くなることを確信。

7時30分には会場に到着、準備を始めます。
直前に急遽用意されたヘリウム入りの風船を背中に付け、集合写真を撮影したあと、いよいよスタート地点へ。

「目標:4時間」のラインに並び、後ろを振り返り、「よろしくお願いします。」と挨拶。

その後、周囲にいる人たちに聞こえるように、大体5分40秒前後のペースで走ること、最後は我々の前を走って欲しいことなどを伝え、勢い余って「頑張るぞ!」と声を上げたら「おー!」と気勢が返ってきました。みんな気合い充分です。

9時にスタートし、入りの1キロからほぼ5分40秒と安定したペースを刻んでいきます。オバラさんが後方から支援に回り、僕の隣にはカズヤさんがいて、3人のペースランナーで一団を引っ張っていく感じ。5キロ手前の給水ポイントで係員がビックリするぐらいでしたので、相当数の一団になっていたようです。

しかし、この辺りから我慢できなくなり、我々の先へ前へと進む人が徐々に出始めます。

(頼むから、あとでうちらに拾われないことを願います…。)

ランナーの背中を見ながら心の中で念じつつ、ポイントではコースの注意点を伝えます。下りで飛ばさない、緩い上りだけど我慢して、給水ポイント近いよ…などなど。この間カズヤさんは、1キロ毎のラップタイムを私に伝えてくるのですが、距離表示の場所が若干ずれているところもあり、正確なタイムを取るのが難しかったです。

それでも、中間地点までのラップを見ると、多少ペースの誤差があったとはいえ、概ねターゲットのペースで進んでいたようです。折り返しを終えて先行する仲間のランナーを見るとテンションが上がってペースも上がるのですが、そこはちゃんとカズヤさんと牽制しながら、ペースを抑えます。折り返しで後方からくるオバラさんとの距離がどれぐらい空いているかを計りながら、西目屋村の中間地点通過は、わずか30秒のアドバンテージ。

ここでカズヤさんに先導をお願いし、やや距離を置きながら、底上げに回ることにしました。

しかし、ここで僕にピタリと付いていたランナーにそのことを伝えるのを忘れたため、突然ペースダウンしたり、かと思うと一気にペースを上げたり急に立ち止まったりする僕の走りに、かなり戸惑った人もいたようです。本当に申し訳ありませんでした。

28キロまでは下り基調なのでペースが上がるのはやむを得ないことと思っていましたが、旧道へと左折するポイントで、一人のランナーが倒れているのを確認。近くで声援を送る方が困った表情で電話をしようとしていたため、見るに見かねて一度足を止めました。まずはその方の状況を確認したところ、反応は返ってきますし、自力で起き上がることも何とか大丈夫みたいです。どうやら熱中症と思しき症状のようだったため、少しでも日陰に移動することを勧め、声援を送る方が持参していた水を頂くよう指示し、再びコースへ。

この間、ロスは30秒もなかったと思いますが、再びペースを上げてランナーを鼓舞し、先を走るカズヤさんの風船を確認。

(風船って結構目立つんだな…。)

29キロ過ぎまで緩い下りが続いていたため、再び上りに差し掛かるポイントで立ち止まり、駆け抜けるランナーへ「ここ、踏ん張りどころ!バス停まで我慢!」と声を掛けます。

しかし実はこの時、自分の身体の中に異変が発生。

(うう…これ、最後までおしっこ我慢できないな。)

前半の向かい風で少し身体を冷やし、折り返した後の追い風で暑さを感じるという環境の中、身体のコントロールがうまくできなかったようです。

30キロの給水ポイントでこっそり風船を隠してコースから離脱、仮設トイレへ駆け込みます。ここで、知り合いのランナー数名と遭遇し、ここでリタイアする旨を耳にしました。

(やっぱり今日、きついんだ…)

昨年も暑くて苦しい大会でしたが、今年もそれに匹敵するぐらい大変な状況でした。そりゃそうだ、この時期の予想最高気温が26度って、ちょっと暑過ぎです。大体、数日前は最高気温が15度を下回って暖房に火を入れたぐらいなんですから。

予想していたことではありましたが、31キロを過ぎた辺りで、僕に付いてくるランナーはほとんどいなくなりました。

ここからは、落ちてくるランナーを「拾っていく」(ハッパを掛ける)作業。

「お願いします、引っ張ってください…。」という方が、数名。中には足が攣ってしまい、緊張状態が切れた(走る気力が萎えた)と思しきランナーも。併走するランナーの表情を伺いながら、ちょっと呼吸が苦しそうだな、注意力が散漫になっているな、走りに集中できていないな、歩きたがっているな、といった感じで、周囲の状況を見ていました。

そんな中、36キロ付近で前を走る一人のランナーをロックオン。時計を何度も気にしながら、明らかに注意力が散漫になっていて、でも4時間以内にゴールしたい!と、もがき苦しんでいるランナーは、ヒロミさん。弘前公園RCのメンバーですが、人知れず練習熱心な彼女とはいえ、まさかここまで頑張って走るとは、正直思ってもいませんでした。(ヒロミさんごめんなさい。)

スゥッと横に付いた際に、一言二言声を掛けます。何も考えるな。時計も見るな。そして、背中を追いかけてきて、と。

こちらが声を発すると返事をしたくなるのが人の常。しかしここは走りに集中して欲しいということもあり、手だけで合図を送ります。

「ペースちょっと上げます、下げます。そのまま抑えて。」

そのまましばらくヒロミさんと数名を牽引。残り3キロと4キロを間違えるという凡ミスをやらかした後、時計を見たら、思ったほど余裕がないことに気がつきました。

下手をすると自分自身も4時間に間に合わなくなると思い、ちょっとだけペースを上げました。風も強く吹き付けてきます。ヒロミさんの姿が後方に少し離れたことは、すぐにわかりました。

(頼む…今の心を切らさないでください…。)

多少ペースを乱しつつも、周囲に大声を張り上げます。

「まだ大丈夫ですから、ここで自分を信じて!」

…これって、自分自身に対する鼓舞だったのかも知れません。

とうとう残り1キロとなりましたが、結局ペースランナー3人がまとまる気配はありませんでした。

そして、最後の坂を登り切ったところで、一度落ちかけたヒロミさんをはじめ、何人かが僕の背中を追ってくるのを確認。残り時間を確認し、多少時間に余裕があるのを確認した上でペースを下げ、残り500m。こちらも必死でかなりテンションが上がっていましたので、多分「ラスト!ラスト!」とか「4時間、行ける!行ける!」とか声を張り上げていたような気がするのですが、あまり覚えていません。(翌日になって声が枯れていたのは、それが原因だったようです。)

残り150mでようやくカズヤさんと合流、数名をゴールへと先に送り出し、ランナーを鼓舞しながら自分もゴールへ。

(ゴール後。テンション上がっています。)

タイムは3時間59分59秒。計ったようなタイムでしょう?そりゃそうです、計って走っていたんですから。

これにて今年もお役御免。無事サブ4を達成した仲間のランナー(もちろんヒロミさんも)と握手を交わし、ペースランナー同士でハイタッチ。

(オバラさん曰く「お遊戯」)

数名のランナーからは「お陰でサブ4達成できました!ありがとうございました!」と声を掛けて頂きました。

少しは大会の盛り上げに協力できたかな?

それにしても今回は、何だか本当に大変でした。2年ぶりのペースランナーということで、ちょっと気負っていたところもあったかも知れません。

ということで、今回の反省点を幾つか。

・個人的には、ほぼイーブンのペースで走るつもりだったのですが、折り返してから周囲に何も伝えることなく突然ペースを乱し、ランナーの皆さんにとっては全くもって迷惑なことをしてしまったと猛省しています。

・30キロ地点、まさかの尿意で一時離脱。ちょうど給水所で皆さんが足を止めたのを見計らってのこととはいえ、最後まで役割を果たせるように、事前に準備すべきでした。

・全般を通じて、あまり声を出せなかったような気がします。元気づけるはずが、途中から経過の時間ばかりを気にすることとなり、大したアドバイスもできずじまいでした。

・暑さや足の痛みなどで離脱したペースランナーもいましたが、そこは仲間で補完し合いました。

・一方で、事前にペースランナー同士でちゃんと打合せしておくべきでした。大会中に発生した予期せぬ「トラブル」も、こういった意思疎通が欠けていたからこそ起きてしまったのだと思います。

・正直、我々の中にも「もう3度目だから」という慢心があったような気がします。そんな心の隙を突かれたというか、綻びが一気に露呈した感じ。役割の重要性を改めて全員で認識すべきだったな、と。

・ただその「トラブル」、たった一人のペースランナーの暴走は、我々も制御することができませんでした。一緒に走っていた他のペースランナーが、「速過ぎる」と何度もお伝えしたのだそうですよ。だから申し訳ないけれど、この話にはこれ以上触れたくありません。ペースランナーは14人だった、ということにしようと思います。皆さん、すいませんがこちらでの抗議は一切受け付けません。

今回のことを機に、来年以降のペースランナーをどうするか、という議論があるかも知れません。せっかくここまで築き上げたのに…。

しかし、個人的にこの役割だけは、何としても続けて欲しいと思いますし、またペースランナーを務める機会を頂けるのであれば、幸甚の至りです。

改めて、第15回弘前・白神アップルマラソンに参加された皆様、本当にお疲れさまでした。

あの暑さの中で果敢にチャレンジし、しっかりと結果を出した皆さんはもちろん、残念ながら不本意な結果に終わった皆さんにも、最大級の賛辞と拍手を送りたいと思います。

思い通りに行かないのがマラソン。だからマラソンは面白いんですよね。

会場で「ブログ、楽しみにしています!」と声を掛けてくださったランナーの皆さんにも感謝です。ありがとうございます。(実はこれが一番ビックリした。)

もしよろしければ、来年もまた弘前にいらしてください。心よりお待ちしております!
皆さん、ナイスランでした!!